Dellの新ノートPC(XPS)発表会参加レポート&2024年度のDell機の第一印象
2024年2月、東京某所でDell(デル)の新製品の発表会が行われました。
複数の新製品があり、それぞれ別の日に発表会が行われたのですが、私が参加したのは個人向け上位ノートパソコン「XPS」の新型の発表会です。
その模様をレポートしたいと思います。
XPS 13、XPS 14、XPS 16 の3種類が登場しており、それぞれ13型、14型、16型のノートパソコン。
すべて最新のCPU「Core Ultra 7」を搭載しています。
Dell は Core Ultra を搭載したノートパソコンをいち早く発売しましたが、その最初の製品「Inspiron 13」は個人向けの安価型で、上位モデルではありませんでした。
今回発表された2024年モデルの XPS は、高価で最新のCPUである Core Ultra を上位モデルに初めて盛り込んだ製品となります。
Core Ultra の特徴を簡単にまとめると、省電力性能に優れ、NPUと呼ばれるAI機能専用のコアを持ち、新型の内蔵グラフィック機能も搭載すること。
詳しいことは CPUロードマップの記事(1月版)をご覧ください。
新 XPS の見た目の大きな特徴は、ファンクションキーがないこと。
と言うか、ファンクションキーがキーではなく、キーボード上部に並んでいるアイコン型のランプになっていて、それをタッチする形になっています。
そして Fn キーを押すと、このアイコンランプが機能表示とF1~F12の表示に切り替わります。なんかカッコいい。
そしてキーボードの下にあるタッチパッドに、なんと枠がありません。
見た目、タッチパッドも何もないようにしか見えない。
「みんなタッチパッドの位置は見なくても把握してるから、あえて枠を無くした」とのこと。
押し込んだときには、軽い振動が指に伝わるようになっています。
なかなか思い切ったデザインで、キーボードもキーとキーの間にすき間がない、最近あまり見ないタイプ。
かなり先進的でスマートなデザインになっています。
正直なところを言うと、意識高い系というか、Apple 的と言うか…… そんなイメージ。
Dell は実用性を優先している印象だったので、タッチ式ファンクションキーや枠がないパッドという、デザイン優先の作りにしているのは意外な気がしました。
でも、デザインはもちろん大切だし、ミニマルデザインは流行でもありますね。
WEBカメラはフルHD(200万画素)、スピーカーはグラミー賞を数回受賞したというプロデューサーが監修したとのこと。
接続端子は最新の Thunderbolt 4 を2つ備えますが、それだけしかなく、こちらもミニマル。
展示会では Core Ultra の AI 機能(NPU)もアピールされていましたが、NPU はまだ有効活用できる段階ではなく、生成 AI や Office、Photoshop などの対応待ちと言ったところ。
Core Ultra の内蔵GPU(グラフィック機能)は GeForce RTX 1650 並みの性能を持つのですが、中身が Intel Arc という、まだソフトウェア側の対応が整っていないものであるため、性能を発揮できないケースが多いです。
ただ、対応しているゲーム(龍が如く8など)では、高画質で普通に遊べるレベルのパワーを発揮します。
Core Ultra がもっと普及すれば、ソフト側の最適化も進むでしょうから、今後快適に動くゲームやソフトは増えていくと思われます。
XPS 13 は 1.17kg という軽量で持ち運びに便利、バッテリーも55Whで、13型としては大きめです。
モニターは高発色かつリフレッシュレート120Hzの高速描画。
お値段は Core Ultra 7 155H でストレージ 1TB だと約28万円。
2.5Kのさらに美しい画面にすることもできますが、価格は上がります。
一方、XPS14 は 1.68kg というのがネック。
XPS 13 とサイズ的に大きく違わないのに、0.5kgも重いのは……
Dell 的にはもう14型は、携帯向けPCではないのかもしれません。
バッテリーが69.5Whで、約70Whの大容量なので、その影響もありそう。
値段は上がりますが、3KのOLED(有機ELディスプレイ)を搭載できるのが長所でしょうか。ビデオカードも搭載可能。
お値段は同構成なら XPS 13 と同じ。OLED にする場合は約30万円。
XPS 16 は約2.1~2.2kgほど。やはり重い。
また、16インチなのにテンキーがないのが作業用としてはネック。
海外メーカーらしいと言えばそうだけど……
バッテリーはさすがに99.5Whという、約100Whの超大容量。
カスタマイズで4Kの有機ELディスプレイにすることができ、ビデオカードも搭載できるので、ターゲットは写真家や映像配信者などの、クリエイター系の人だと思います。
お値段は約32万円から。
なお、このお値段は定価であって、DellのWEB販売はセールなどでよく割引するので、安くなっているときもあります。
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展示されていた Dell 機の感想
会場では新製品の XPS だけでなく、他の Dell 製品も展示されていました。
というわけで、ここからは2024年2月時点の、展示されていた Dell 機のファーストインプレッション(第一印象)をお伝えしていきたいと思います。
まず、ゲーミングモデルのブースにあったコレ。
PCゲーマーにはおなじみ「エイリアンウェア」のデスクトップ用の最新型、「ALIENWARE AURORA R16」。
ゲーミングモデルだから光り輝いています。
輝くことこそがゲーミングモデルの真骨頂です。
……という冗談はさておいて、光らせなかったり、単色の光にすれば、形がオーソドックスなボックス型になったこともあり、R16 はエイリアンウェアとしてはそこまで派手ではないです。
前のモデルより一回り小さく、エアフロー(通気性)が強化されている一方で、今回は静音性にも気を使っていて、以前ほど爆音ではなくなった…… と、去年秋の東京ゲームショウで広報の方がおっしゃっていました。
無理を言って中を見せてもらったのですが、こんな感じです。
例によって水冷CPUクーラーの宇宙人👽が存在感をアピール。
ビデオカードなどはガッチリ固定されていて、マザーボードも電源もすべて Dell の特注品。さすがは世界企業。
前面ファンの裏(画像右下)に箱状のものが付いていますが、これがエアフローと静音性改善のためのパーツなのかな?
拡張性は思ったほど高くなく、空きのM.2スロットは1つ、HDD/SSDを収納する3.5インチベイも1つだけ。
以前、エイリアンウェアが小型化したとき、アメリカのゲーマーが拡張性が下がったと怒っていて、大型に戻ったという話を聞いたのですが……
もうアメリカでも、拡張性重視の時代ではなくなっているということでしょうか。
なお、自分で拡張したら Dell のサポート対象外になるとスタッフの方が言っておられました。念のため。
価格は構成次第。
Core i7 + GeForce RTX 4060Ti なら24万円辺りからなので、以前のエイリアンウェアと比べると、だいぶ下がりました。
マウスやドスパラのゲーミングモデルと比べると、それでも安くはないのですが、Dell 独自のゲーミング補助機能も備わっているし、魅力のあるマシンであることは確かです。
一方、ノートのエイリアンウェア「Alienware X16 ゲーミングノートPC」も展示されていたのですが……
正直、こっちは高い。
Core i7-13700H + GeForce RTX 4060 で約30万円なのですが、この構成だったら20万円前後のマシンもあります。
そして、めっちゃ重いです。2.7kgとか3kgとかある。
たぶんアメリカ人にゲーミングノートを軽くしようという考えは毛頭ない。
エイリアンウェアのノートPCはかなり作りこまれており、独自の謎素材による冷却ユニット、ゲーム用に改良を重ねたメカニカルキーボード、独自のチューニングソフトウェアなどを持つのですが、それでもコスパ的にお勧めとは言いづらいですね……
なお、海外のゲーミングPCなのでテンキーもない。
Dell のライトゲーマー向けノート「Dell G シリーズ」と言う製品もあって、こちらはテンキーがあるのですが、やはりエイリアンウェアと同じく大きくて重くて、ちょっとお高め。
個人向けの低価格モデルや、ビジネス向けのモデルやも展示されていましたが、これらに大きな変更はない模様。
ただ、世界初の Core Ultra 搭載機「Inspiron 13」は、安いこともあって人気が続いてますね。
ビジネスノートやモニター一体型の製品も新型が予定されているようですが、こちらは Core Ultra ではなく「Core U シリーズ1」を搭載する模様。
この Core U は、第13世代 Core の省電力型CPUとほぼ同じで、名前が変わっただけのものです。
ちょこっと性能がアップしていますが、担当者の方も「大して変わらないでしょうねぇ」的な雰囲気でした。
なお、一般/ビジネス向けの小型デスクトップ(Inspiron)も展示されていたので、こちらも無理を言って、中身を見せてもらいました。
会場の担当者さん、お手数をかけて申し訳ありませんでした……
お優しい方でした。
CPUから背部まで繋がっている黒い通気ダクトがすごい存在感。
構造的に前部や側面から吸気できないため、背面から効果的に吸気できるようにダクトが付いているようです。
ストレージを収納する部分が見当たりませんが、必要な場合、HDDやSSDは前面部に張り付けるらしい。だから前面ファンはない。
窮屈な作りなのは否めませんが、PCIeスロットは x1 と x16 がそれぞれ空いているので、ビデオカードや拡張カードは付けられます。
とは言え、空気が籠りやすそうなので、あまり高発熱にすべきではないでしょう。
空きのM.2スロットはない模様。
スモールデスクトップの方は、意外にもはっきりわかる形で3.5インチベイ(HDD/SSD収納部)が用意されており、こちらの方が増設しやすそう。
ただし、M.2スロットはこの収納部の向こうにあり、NVMe SSD に手を出すには周囲の部品を外さなければなりません。
CPUには、側面から吸気を行うためのダクトが付いています。
こちらもPCIeスロットは x1 と x16 がそれぞれ空いています。
ただ、x16 スロットのすぐ下が電源ユニットなので、ビデオカードの装着は考えない方が良さそう。
入り組んでいますが、スペースを有効に活用している構造です。
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以上、新 XPS 発表会レポートでした。
新製品の詳細リンクなどは、おすすめノートパソコン のページに追加しているので、そちらから辿って頂ければと思います。
個人的には、軽くてデザインが良く、Core Ultra なおかげで相応のグラフィック性能も持つ新 XPS 13 は、かなり魅力的でした。
ただ、お値段はちょっと…… いや、けっこう高いよね……
まあ、モバイルノートは軽量化のため高級素材を使う必要があるので、安いものはなかなかないんだけれども。
国内メーカーの dynabook や VAIO と同じぐらいなので、それを買うんだったら、今なら Core Ultra の本機の方が…… というのはあります。
デスクトップの中身が見られたのも満足でした。
Dell 機を買いたいと思っている方の、参考になれば幸いです。