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「0083夜 Line問題だけではない、クラウド」
今回のLINEの情報管理問題が報じられてから丁度1週間が経ちました。「パソコン千夜一夜物語」でも、「0076夜 気になるニュース、情報管理」ですぐに投稿しましたが、LINEの問題に矮小化されていることに懸念を感じて、今日もとりあげてみます。
ようやくサーバの設置場所に関心が、、、
昨日の記者会見で、「ユーザ感覚との乖離(かいり)」という趣旨の発言がありました。本音なのだろうと思います。これを受けてニュースキャスターが「ユーザの期待を裏切る行為は許されない」という趣旨のコメントをしていましたが、「そうだよね」と思った一方で、LINEに限らずIT系サービスはもともと個人情報を預けることができるような信頼のおけるシステムではないということにユーザは気づいていないといけない、とも思いました。LINEに限らず、です。
だからこの話をLINEだけの問題のように報道するメディアの情報を鵜呑みにすれば、同様の問題がまた起きる(表面化するだけ?)でしょう。
LINEの問題が明るみになって、世の中の関心が少し高まったことは良かったのだと思います。中でも、サーバの設置場所が国内に限らない(むしろ海外にあるのが当然)ということが知られるようになったのは前進でしょう。
ヨーロッパが懸念するのはアメリカ企業
ヨーロッパ出身のテレビコメンテータが、出身国と比べて日本の個人情報の管理の甘さを指摘していました。今回の問題で、「中国からの個人情報のアクセス」や「サーバが韓国に設置されていること」が注目されている訳ですが、オンライン上に個人情報を最も蓄積しているのは米国であることを忘れてはいけません。Facebookが上陸してmixiの座を奪ってしまいましたし、Amazonは日本企業ではないからと消費税を無視していたことは記憶にあると思います。日本では中国や韓国などにはセンシティブなようですが、やっていることを見れば米国企業も同様に警戒すべきです。GAFAとMSが巨人という意味で代表ですが、米国は新しい企業がどんどん出てくる風土がありますから、今の大手だけをマークしていてもダメでしょう。
ヨーロッパは国内産業を脅かす米国企業を独占禁止法違反で訴えるというやり方で伝統的に闘ってきましたが、IT系の巨人に対しては個人情報保護も大きな理由づけになっています。見習うとすれば、こうしたヨーロッパの態度ではないでしょうか。
Lの方のクラウドに注意
さて、ようやく「サーバ」に関心が集まった、と書きました。ユーザがクライアントで、サービスを提供するものがサーバですね。それをつなぐのがネットワークという訳です。つまり、ネットワークを介してユーザの手元から離れた場所にサーバはある訳です。そのサーバがどこにあるのか、日本にあるのか外国にあるのか。プラットフォーマーと呼ばれている大手IT企業は、米国企業だったり、仮に日本企業であってもグローバル企業ですから、サーバが国内にあることは(あるいは国内だけにあることは)、期待薄なのです。
しかし、生活の一部、インフラになってしまったメッセージサービスが海外依存しているということは、一般ユーザの想像を超えていたのでしょう。これが会社側の「ユーザ感覚との乖離に思いが至らなかった」という趣旨の発言、テレビキャスターの「ユーザの期待を裏切る行為は許されない」という趣旨の発言につながったのでしょうが、筆者からすれば、「表面化しただけの問題」と思えます。
「0024夜 Lのほうのクラウドについて」でも言及していますが、クラウド(cloud=雲。クラウドファンディングはcrowdfundingと綴り、crowdは群衆の意味)という言葉がテレビCMでも当たり前に言われるようになりました。今回のLINEの問題でクラウドと関連付けて考えることができないと、同様の問題(の表面化?)で再び「ユーザの期待を裏切ることは許されない」などというコメントを耳にすることになるのだと思います。クラウドというと目新しく聞こえるかもしれませんが、「ネットワークの向こうに依存している」ということが本質ですから、今回と同じような情報漏洩の問題が起きうるでしょう。LINEを「クラウド」と呼ぶことはないようですが、これを機会に「クラウド」にも注意を向ける必要があると思います。
2021年3月24日のコメント
今回の投稿を書きながら、「そういえばシンクライアント(thin client)ってあったなぁ」と思いましたが、別の機会に書きたいと思います。それにしても、カタカナにすると元の単語が特定しにくくて困ります。
それでは、また、明日。