B級感ふんぷんの邦題に騙されることなかれ。「ブラックフット 羆地獄」は傑作なり。
吉村昭の名著「羆嵐」をご存知だろうか。大正時代に三毛別で実際に起きた羆害を元にした小説だ。氏の真骨頂である、緻密な取材に基づいた抑えた筆致の、それ故に背筋の凍るような話なのだ。世に羆ジャンルと言う物はさほど存在しないだろうが、今作「ブラックフット 熊地獄」は羆嵐の向こうを張る傑作だと僕は思う。邦題のB級感に騙されてはいけない(原題はBACK COUNTRY)、羆モノとして名高いグリズリーなんて卵ボーロ並みに甘ちゃんだ。余り書くとネタバレになってしまうので控えるが、尺の2/3はしっかりと人物描写を行って観るものに感情移入させておいて、とうとう事件が起こるのである。ジュラシックワールドで気の良いメカニックがティラノサウルス夫婦に真っ二つにされるのもその手の演出だが、あれとて卵ボーロがビスコに格上げされた程度である。アマゾンプライムに入っていて尚且つこの投稿に興味を持った方は是非ご覧ください。傑作と申し上げましたが気に入らない点が3つあるので、是非語り合いたい。
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