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多様な身体性への挑戦 〜オリパラ統合計画〜

オリンピックとパラリンピックをテーマにして新しいスポーツ文化の形成を促すような作品を制作しました。
我々の社会は男性・女性,若者・高齢者,健常者・障害者とカテゴライズをすることで社会を効率的に運営してきた側面は否めません。しかし人間は全て同じなどあり得ませんし,個々に多様な身体性が輝きを放っているわけです。その多様な身体性が一堂に会し,ぶつかるのがオリンピックのあるべき姿です。

今回の作品には「今は」平行なオリンピックとパラリンピックの角度を変えて,ゆくゆくは1つにしていく必要があるよね,という想いを込めました。

工夫した点

今回の作品で利用した「ツェルナー錯視」という錯視は多少のズレがあると錯視効果が生じないケースがあるので,微調整にかなり時間をかけました。無理やり錯視をねじ込んだという印象にならないよう,広告に込めた理念と合致するような錯視効果を探し出すのも手間のかかる作業でしたが,多くの人の心に届くような共感性溢れる作品になれば嬉しいです。

『ねぇ、いつまで平行(パラレル)でいるの?』というキャッチコピーも広告を目にした人への問いかけを行うことで,「自らの問題」として真剣に向き合って欲しい,という想いを込めて考えました。

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オリンピックとパラリンピックをテーマにして新しいスポーツ文化の形成を促すような作品を制作しました。

パラリンピックの語源は「パラレル(parallel)」という説が有力です。言い換えれば,[健常者]と[障害者]は未来永劫交わることがないということでしょう。それはあまりにも寂しくありませんか?少しでも角度を変える必要があると思います。

我々の社会は男性・女性,若者・高齢者,健常者・障害者とカテゴライズをすることで社会を効率的に運営してきた側面は否めません。しかし人間は全て同じなどあり得ませんし,個々に多様な身体性が輝きを放っているわけです。その多様な身体性が一堂に会し,ぶつかるのがオリンピックのあるべき姿であり,近代五輪の創始者・ピエール・ド・クーベルタンの思い描いた理想だと思います。

今回の作品には「今は」平行なオリンピックとパラリンピックの角度を変えて,ゆくゆくは1つにしていく必要があるよね,という想いを込めました。

また,錯視部分には「ツェルナー錯視」という実際には平行な2つの直線(オリパラ)が平行には見えない錯視効果を利用して,広告に込めた想いを反映させました。

プロジェクトを終えて

公共広告を錯視効果を利用して作るということで,社会性のある広告に錯視効果を取り入れるのは中々難しいなと思っていましたが,「ツェルナー錯視」という錯視に出会い,この錯視ならずっと抱いてきた「五輪への違和感」を上手く表現してくれるのではないかと思って,今回の作品の制作に至りました。

違和「感」は違和「感」でしかなく,自分だけにしか理解できないものです。今回の制作を通じて,違和感を「誰が見ても理解できる形」にすることが出来ました。初めてアートを通じて社会を見通す力の凄まじさを生感覚で実感しました。アートは社会変革の大きな原動力になると確信した有意義な制作活動でした。

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