あのミットに向かって2nd 43話(103話)「隠された秘密」
1回戦を勝利したその夜、ホテルでは
〇〇:まず謝らせて下さい!
すみませんでした!
勝っていいムードで次の試合へ向かおうって時に
監:こうなったら話すしかない
これから話すことは事実だ
しっかり聞いておくように
何があっても騒ぐなよ
史:はぁ?
何やってんのよ💢
〇〇:ごめん!
ジャッジとスレバーに会ってしまったからつい…
史:もうホントに…
バカ!
バカ!!!
〇〇:わかっております…
史:これは〇〇のために今まで隠してきたんだよ
〇〇:はい…
史:話してしまったら周りがこの事をどう思うか…
〇〇:史緒里、本当にすまん
でも、いつかは話さないといけない事だった
逆にいい機会だと思ってる
史:なんで、アンタが開き直ってんのよ!
マジ意味わかんない💢
〇〇:こうなってしまったら…
史:はぁ😩
こうなったら全て隠さず話す事!
あぁ!!!
〇〇:はい…
史:絶対に許さないから
〇〇:え〜〜〜〜シュン😔
ピッ
〇〇:それは怒るよな
さくらに話す時にも怒ってたし、それが全員にってなると…
😔
史L:〇〇ママには絶対に言う事💢
プルルルル
プルルルル
〇〇:もしもし
◯母:〇〇から電話なんて珍しい
何かあったの?
と言うか、2回戦進出おめでとう
〇〇:あ、ありがとう
そんなことはどうでもいいんだ
あのさ…
◯母:アンタってホントバカね
グサっ
〇〇:それ史緒里にも言われた
◯母:当たり前でしょ?
1番近くにいたのは史緒里ちゃんでしょ?
これまでのこと全て水に流すつもり?
〇〇:いや、そんなつもりは…
◯母:わかってるわよ
でも、そのくらいのことをしてるの
〇〇:はい…
◯母:でも、話すとなったらしっかり話しなさい
それが後に悪い方向になったとしても
その中でもわかってくれる人は必ずいる
〇〇:わかったよ
◯母:それと史緒里ちゃんには後できちんと謝ること
〇〇:それはわかっております
◯母:そしたらじゃあね
2回戦から観に行くんだからちゃんとしてね
パパは準々決勝からなら行けるらしいから
楽しみにしてるってよ
〇〇:はいよ
ピッ
ふーっ
よし行くか…
〇〇:まず俺が休学したのはわかりますよね?
雷道ナ:コク
〇〇:皆さんには病気と伝えておりましたが違います
あっ!ん〜病気か…
雷道ナ:えっ?
ざわざわ
監:おい!
シーン
〇〇は遂に話す…
〇〇:俺は二重人格(解離性同一症)なんです
雷道ナ:はぁ?
春:〇〇君、何を言ってるの?
西:ウソだろ?
拓:………
さくら:………
〇〇:ホントです
雷道ナ:……………
〇〇:俺も最初は知りませんでした
これを知ったのは春の大会途中、突然親から言われました
最初は俺もみんなと同じでした
でも、話を聞いていくとその節がありました
俺が偶に怪我をするのはもう1人の俺のせいでした
西:全然話についていけねぇよ
〇〇:その気持ちわかります
でも、事実なんです。
西:ってことは1年の時の最初の怪我に、甲子園後の怪我もか?
〇〇:そうです
全ては二重人格であるもう1人の俺がわざと怪我をするようにしていたんです
だから、俺は休学したんです
もう一度怪我をする前に
次、怪我をさせられたら終わりだから
高橋:漫画の話?
高津:そう思っても仕方ないよな
大:………
〇〇:そして俺は休学の間、二重人格を克服するためにある人のところに行きました
その人の名前は伏せます
伏せないといけないので
その人のところで1ヶ月以上二重人格と戦っていました
それは思い出したくもないほど苦しい日々でした
そこで語られた残酷な話を聞いた全員は、話すことを忘れたかのように誰も口を開かなくなった
さくら:ウッ…
遥香:さくちゃん!
さくら:大丈夫
佑美:美月…
美月:ちょっと衝撃的過ぎて…
麻:監督はここまで詳しく知られていましたか?
監:俺も知らないことはある
だが、今はあいつの話を聞こう
〇〇:でも、俺は今ここにいます
生きてます
春:ってことは…
〇〇:克服したと言いたいところだけどしてはいません
共存していると言った方がいいですね
もう1人の俺は野球をしている時にしか出てきません
共存してからは支障はないので今のところは大丈夫です
でも、もし暴走したら誰かが止めて下さい
これは俺からのお願いです
どうかよろしくお願いします🙇
雷道ナ:……………
〇〇:話を進めます
そして、俺は共存した後、ジャッジ達が言っていたようにアメリカに行きました
高津:どうして?
〇〇:強くなって帰ってくるためです
そこで健吾のお父さんである大谷翔平さんと御幸先輩のお父さんである御幸一也さんの元で修行をしていました
雷道ナ:!?
西:御幸!
拓:………
西:お前、知っていたのか?
拓:少しはな…
親父からも聞いていたし
橋:なら何故俺たちに教えなかった!ガッン
拓:教えてどうなる?
監督からも詮索は禁止されていただろ?
橋:………
小笠原:そうだったな
ってことは監督が数日休まれていたのは
監:そうだ…
森田の様子を見に行ったんだ
春:そうだったんだ
健吾君は知ってたの?
大:最近知ったね
でも、ここまで詳しいことは知らなかったよ
〇〇:そこで練習している時に今日の2人ジャッジとスクバーに会いました
あの2人の父親もメジャーで活躍している選手だったので一緒に練習していると言ってました
そして、そこで1打席勝負をしました
高津:それでどうだったんだ?
〇〇:言われるまでもなく完敗でした
〇〇:ンァ!
シュルルルルルル
ジャッジ:ブン!
ガン!
サクッ
ジャッジ:オモイケドナンテコトナイネ
〇〇:簡単にホームランを打たれました
雷道ナ:マジ?
拓:〇〇のクセ球を完璧に運ぶってどんなパワーしてんだよ
大:もう1人の人は?
〇〇:スクバーはピッチャーです
打席で見ましたが球速、落差、高低、どれをとっても一流でした
春:〇〇君が言うってことは相当なんだろうね
〇〇:アイツらは愛知の高校にいると話してました
それが…
拓:東峰
〇〇:そうです
多分アイツらのことなんで牛耳ってると思います
アイツら中心の野球チームだと思います
春:でもあの時、仲良さそうだったよね
〇〇:あれは俺を舐めてるだけです
またぶっ飛ばせると
だから俺は予定より少しだけ長くアメリカにいました
アイツらに勝つために
小笠原:と言うことはあのチェンジアップもか?
〇〇:あれは違います
違うってもアイツらには見せていないのでどうなるかはわかりませんが
あのチェンジアップは俺の幼馴染と作った変化球なので
春:作ったの?
〇〇:なんか作れました
雷道ナ:意味わかんねー
拓:あんな日本の野球を侮辱されたままアメリカに帰すわけにはいかねぇよな
〇〇:だからお願いします
もし対戦する時はよろしくお願いします🙇
そして、二重人格の事は誰にも話さないでください
これはみんなだから伝えようと決めたんです
俺の我儘ばかりだけどこれだけは守ってほしい
どれだけ俺のことをイジってくれても構いません
嫌いになってくれてもいいです
だけどこの事だけはお願いします
お願いします…
〇〇は自然と涙が出ていた
雷道ナ:…………
大:わかった
春:健吾君…
大:なんかお前があの2人にやられたせいで雷道というか日本の野球が弱いみたいじゃねえか!
ふざけんじゃねえ
〇〇:……
大:次負けたら許さねぇからな
〇〇:あぁわかってる
西:はぁあ!
そうだよな!お前が二重人格かどうかなんて関係ねぇよ
お前は今、ここで俺たちと野球している
なった時は…
えっと…その時だ!
その時なんとかしてやるよ!蹴ってでも戻してやるよ
春:そうだね
僕もあの2人は許せないから
でももっと早く知りたかったな
友達なのに
〇〇:春いっち…
拓:な?言っただろ?
あの時もお前の敵はここには居ないって
西:やっぱ知ってたんじゃねぇか!
拓:アメリカのあの2人以外のことは知ってたよ
こいつから聞いてたし
小笠原:はぁ?
御幸には話せるけど他の俺たちには話せないってか?
〇〇:いや、これは信用してないってことではなく
広まるとやばいと思ったので
西:そういうことじゃねぇか!
ボコッ
〇〇:いったい!
拓:俺たちはお前の味方だよ
あとはおまえがそれに気づくかだ
"敵は己の心にあり"
拓:監督が言ってただろ?
お前が自分の心に勝てばいい
それがどんな時であっても
共存してんだろ?
後はお前がそれをどうするかだ
そのままずっとやっていくのか
それとも、もう1人のお前をも全て取り入れて野球をするかのどちらかだ
それは俺たちが決めることではない
今言ってどうこうなる話でもないしな
お前が決めろ
〇〇:…………
わかりました
まだ俺は甘かった
現状維持しようとばかり考えていました
これでようやく新しい1歩を踏み出せます
ありがとうございます
拓:あぁ腹減ったー
小笠原:飯だ飯!!
西:食わないと力つかないからな!
麻:ホントなんて子達なんでしょう
普通なら拒絶したっていい
関わりをやめる人たちだっている筈
なのに受け入れて尚且つ共に野球をする
私はこの子達をみくびっていました
監:俺も同じだ
俺たちが思うよりずっとコイツらは成長している
野球ができるなら良いじゃないか
共に全国制覇を目指して戦ってきた仲間
どんな事だろうと仲間は見捨てない
コイツらは強いぞ
麻:そうですね
西:森田!後でお前の女の事話してもらうからな!
〇〇:えっ!?関係ないじゃないですか!
西:どうせ連れて行ったんだろ!
俺たちが練習してる間に女とアメリカなんて許されるわけないだろうが!
〇〇:何もしてませんよ!
大:あれ?前なんか言ってたような
小笠原:はぁ?
〇〇:お前!嘘を言ってんじゃねぇよ!
大:ぷい
〇〇:おい!健吾!
西:どういう事なのか話すまで部屋に帰さないからな
〇〇:うぁ〜〜〜〜〜〜〜〜
大:〇〇はこうして天にいなくなりました
〇〇:勝手に殺してんじゃねー
西:ほら行くぞ!
〇〇:あ〜誰か〜
時間は経ち、2回戦当日朝
拓:寝れたか?
〇〇:まぁまぁですね
拓:俺もそんな感じだ
〇〇:今日は秋大以来の凪高ですから
リベンジにみんな燃えてると思いますよ
2人が話していると
ゾロゾロゾロ…
西:お前らも来てたのか
〇〇:おはようございます
橋:はぁあ🥱
拓:眠そうだな
橋:そうだね
昨日天宮のビデオ見てたからね
小笠原:静哉が1番遅くまで見てたもんな
春:自分も見ようと思ったんですけど眠さに勝てませんでした
〇〇君、調子はどう?
〇〇:ん?俺?
最高の状態だね✌️
みんなに話したことで今まで背負っていた十字架みたいなもんがなくなって肩の荷が降りたのもあってさ
身体が軽いよ
まぁ楽しみにしといて
1点もやらないから…
春:ゾクッ
(今のは…
セカンドから見とくね
〇〇:おう!
拓:〇〇!
〇〇:はい!
拓:朝食の後、監督のところ行くから
そのまま残っといてくれ
〇〇:はい!わかりました
拓:監督、連れてきました
監:お、ありがとな
森田、今日のピッチング楽しみにしてるからな
〇〇:はい!
監:相手はあの凪高だ
確実に1人ずつ抑えてこい
観に来てる観客たち全てを巻き込むつもりでマウンドに立て
〇〇:いいんですか?
俺、やりますよ?
監:あぁ構わん
俺がそれを望んでいる
拓:俺も気合い入れないとですね
コイツに振り落とされてしまいますから
〇〇:俺は御幸先輩たちを信じてるので
拓:そっか…
それぞれのリベンジの為に
史:おはよう!
岩:おはよう🥱
梅:蓮加、さっき起きたでしょ?
岩:そう😪
史:どうせ朝までゲームやってたんでしょ?
岩:ゲームはしてたけど朝までしてない
史:じゃあなんで眠そうなのよ
岩:コレ!
そこには可愛くデコられたうちわがあった
梅:これ作ってたの?
岩:うん!
やり始めたら楽しくなっちゃって終わった時には朝だったの
史:うちわの真ん中になんて書いてあるの?
岩:〇〇君大好き
2人:はぁ?
岩:こういうのには愛を込めて作らないと
梅:っていうか1人に向けてやってんの?
普通、「雷道高校ファイト!」とかじゃないの?
岩:もちろんそれも作ったけど、これを作る時が1番楽しかったの!
梅:流石に史緒里も…チラッ
史:これは私も作らないと…
梅:いや、なんで対抗心燃やしてるの
アンタの彼氏だよ
史:蓮加がやってるのはファンのやることだからやめてとは言えないもん
これは私が蓮加に負けないグッズを作るしか
梅!この後作るよ!
梅:はぁ😔
こうなったら止まらないもんね
それは置いといて〇〇君はどうなったの?
チームに話したんでしょ?
史:うん…
岩:どうなったの?
史:何もなかったって
逆に受け入れられたと
梅:なら良かったじゃん
史:それはそうなんだけど
怖いのはこれからなの
岩:えっ?
史:これから絶対無茶するの
まだ〇〇は完全に克服したわけじゃないの
それで無茶をし続けると…
梅:またってこと?
史:コク
岩:それはやばいね
止めないとじゃん
史:言っても聞かないよ
梅:史緒里が言えば聞いてくれるよ
だって史緒里の彼氏でしょ
それなら聞いてくれるよ
聞かなかったら私たちが取り押さえてでも聞いてもらう
史:いや、そんな接触する時間なんて無いんだから
梅:それでも知っておかないとまたやるんでしょ?
これは〇〇の為だよ
史緒里、絶対後悔するよ
もうあんな姿見たく無いんでしょ
史:うん…
梅:なら伝えないと
どんなに否定されてでも
岩:私達も一緒にいるから
史:2人ともありがとう
必ず伝えるね
梅:それでこそ史緒里だよ
はい、この話はここまで
〇〇、先発なんでしょ?
応援しないとね
史:うん!
To be continued…
チームに受け入れてもらえた〇〇
〇〇はまた1歩、前に歩み始めた…
いよいよ2回戦
いろんな想いが交錯する
雷道高校は凪高校に勝つことができるのか?
果たして進化した〇〇のピッチングは見られるのか?
リベンジマッチがついに始まる…