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あのミットに向かって2nd 52話(112話)「足音」

史:○○~

○○:おう!史緒里

史:久しぶり!

○○:そうだな

史:この前の試合、ノーヒットノーランおめでとう

○○:もうさんざんLINEでいってくれただろ?
もう言わなくていいよ

史:直接言いたいじゃん

○○:あれだけ言われたらもういいってなるよ

史:そんな言わなくてもいいじゃん
言いたいから言ってるんだよ

○○:あ、ごめん

史:今日はあの2人とでしょ?
負けないでね

○○:おう
何としてでも勝つよ
だから観てて…

史:(この思いつめた表情…この言い方…)
もしかしてこの試合が最後になるわけないよね?

○○:!?

史:○○、私に何か隠してることない?

○○:何もないよ
本当にないって

史:私、あの2人に会ったって聞いて嫌な予感がしてたの
また無茶しそうな気がして…


○○:………


史:○○は噓を付いてるとき無口になる
私は梅と蓮加に言われたの
何かあったら○○を止めてきな?って
ちゃんと応えてよ



○○:はぁ…”うるせぇな”…


史:!?

○○:意味わかんねぇよ
俺を止めたとしてそのあとどうすんだよ
史緒里に何かできんのかよ

史:………

○○:できないだろ
なら口を挟まないでくれ

もう行くわ…試合前に気分が悪い


史:○○はいつからおかしくなったの?
このままだと取り返しがつかないことになる気がするの
お願い!私はそれを阻止しないといけないの!
わかってよ!


ガシッ
🤝


○○:やめろよ!!!


史:きゃっ!

ドン

○○:俺はおかしくなってない
俺はただ勝ちたいんだ…
もうやめてくれよ…
いい加減面倒臭いんだよ…


史:!?


史:わかった…
試合頑張ってね…


タタターッ🏃🏻‍♀️‍➡️グスッ😢



○○:ごめん、史緒里…
許してくれ…



すべてが崩れていく…



実況:今日から甲子園は準々決勝
昨日でベスト8が決まりました
まずは、去年の覇者石川県代表、藤巻高校

今大会もノーエラー、守備力光る、
北北海道代表、メリゴーリ学園

今年、快進撃で2人の外国人助っ人擁する
愛知県代表、東峰高校

去年の雪辱果たせるか西東京代表、エース森田率いる雷道高校

春の選手権大会準優勝、兵庫県代表、暁高校

初出場ながらベスト8、その名を轟かせるか
山梨県代表、東海航空

南から新しい風を吹かせる
沖縄県代表、興北高校

春の選手権優勝、春夏連覇かかるエース山本擁する、宮城県代表、南山大附属高校

以上8校となりました

今日2試合、明日2試合でベスト4が決まり
明後日準決勝、1日空いて決勝となります
夏の大会も残すところ5日
5日後には優勝校が決まります

楽しみですね

付属間違えてます。すみません附属です

そして第1試合も最終回を迎えています
藤巻高校 vs メリゴーリ学園
5ー2で藤巻高校がリードしています

ここまで藤巻高校の1年生一条宗獅が全打点をあげています
宗獅選手は現在日本ハムにいらっしゃいます一条正宗選手の弟さんになります

〇〇:雰囲気似てる
あれで1年生ってバケモンですね

拓:トイレ長かったな

○○:すみません、ちょっと混んでて

拓:そっか…大丈夫か?

〇〇:大丈夫ですよ
それよりも勝てば次っすね

拓:あ、そうだな

西:もう終わるぞ

拓:準備しろよ

雷道ナ:はい!


カキーーーン!

実況:打ち上げてしまった〜

遠藤:パシッ

実況:ゲームセットーーー
藤巻高校、ベスト4進出!

観客:パチパチ👏

宗獅:勝てましたね

澤村:お前のおかげだな

宗獅:いや、俺の前にランナーを貯めてくれたおかげです
明後日も勝ちましょうね

澤村:そうだな
どっちが勝ちあがってくるか

宗獅:俺個人としては雷道としたいっすね
兄ちゃんが認めた森田さんと対戦したいですから

澤村:去年から化け物だったからな
ベンチで見てたけどあの先輩たちが全然打てなかったからな

宗獅:楽しみっすね

澤村:でもその前に東峰の4番ジャッジをどうするのか?
俺たちも次の試合しっかり見とかないとな


拓:おめでとうございます

澤村:ありがとうございます
次頑張ってください

拓:ありがとうございます。

宗獅:はじめまして。森田さんですよね?

○○:あ、うん…そうだけど

宗獅:次楽しみにしてます

○○:勝ったらな
そういえば、正宗さんの弟だよね?

宗獅:はい
兄ちゃんからよく聞いてます

○○:あの人もいきなり話しかけてきたし似てるね
まぁ試合観ててよ

本気だからさ…


宗獅:ゾクッ

澤村:おい、宗獅!もう練習されるからどけろ

宗獅:あっ、はい!

澤村:どうだった?

宗獅:もしかしたら予想以上かもしれないです
早く観たいっすね


スクバー:ようやく来たな

ジャッジ:またボコボコにできるからな
何本打とうかな~

スクバー:もちろん全打席ホームランだろ

ジャッジ:この前の事もあるからな
ボコス…

スクバー:お前らも俺たちの足引っ張んじゃねぇぞ

阿部:スクバー、それはわかってるけどちゃんとリードには従えよ?

スクバー:首を振らなくていいようなリードをしてくれよ
お前のリードでいいことないんだけどな
ハッハー

阿部:…ㇰッ…

スクバー:俺らの指示に従うのももう少しだから頑張れよ

ジャッジ:オマエラ、ルイデロヨ

古川:なんで俺たちの楽しい野球を奪うんだよ…

川島:こんな野球したくねぇよ

稲本:俺たちは我慢するしかない

スクバー:陰で言ってないで直接言えよな
だからお前たちは弱いんだよ

東峰監:ジャッジにスクバー、君たちも勝ちたい気持ちは同じだろ?それならもう少しチームに寄り添うことはできないのか?

ジャッジ:オレタチハドウデモイイ

スクバー:監督、何をとぼけたこと言ってるんですか?
俺たちは鼻から勝ちには興味ないですよ
俺たちは最初から”この国の野球に興味ないんで”

負けてもいいんですけどそれでもいいなら
あっ、でもそれは次の試合にしてくださいね
今回はどうしてもぶちのめしたい奴いるんで

この試合に勝ったら俺たちはもう試合にも出ませんしね

東峰ナ:!?

監:何を勝手なことを

スクバー:ここまで来れたのは俺たち2人のおがげってわかってますよね?

ジャッジ:ハッハー
コイツラバカダカラワカラナイゼ

スクバー:そうだな


東峰監:お前ら…

稲本:監督、俺たちは監督の指示に従います
アイツらに何言われようが構いません。

東峰監:わかった
勝つために指示を打す
いつもそれだしな…

東峰ナ:はい

東峰監:勝つぞ

東峰ナ:しゃあ!!!!!!!!

スクバー:この弱者が…




○○:ふぅ…

拓:お前、この日を待ってたもんな

○○:そうですね

拓:俺たちの野球、日本の野球を魅せつけてやらないとな

○○:はい…この試合は何としてでも勝ちます

拓:なんかあったのか?

○○:あっ、いや何もないですよ

拓:そっか…でも一人で野球すんなよ
そんな奴は勝てないからな
あと怠慢なピッチングしたらすぐ交代させるからな

○○:!?

拓:勝ちたいのはお前だけじゃない
みんな同じ気持ちだ
だから変なことで崩れんなよ

お前もあいつ等と同じになったら意味ないからな

○○:はい


拓:じゃぁ頼んだぞ




○○:御幸先輩…ごめんなさい…
この試合だけは譲れないんです…


また一つ崩れていく…



そして運命の試合が始まる
ウ:1回の表、東峰高校の攻撃は
1番、ファースト、稲本君

審:プレイ!!!


ウ~~~~~~~~~


実況:さぁ注目の初球

○○:ふぅ…

ンァ!


シューーーーーーーーー


稲本:叩くなら初球だろ!

カキーン


〇・拓:!?


ダァン

実況:まさかの初球攻撃ーーーー
前回ノーヒットノーランをした森田から早速ヒットを打ちました

稲本:しゃあ!!!!!!!!


ジャッジ:あらあら

スクバー:もしかして俺たちの出番要らないのかもな


拓:初球からストレート狙ってやがったか
塁に出したくなかった

○○:……

ウ:2番、レフト、伊月君

コン

実況:しっかり送ってきましたね

〇〇:シュッ

小笠原:パシッ

審:アウト!

拓:1アウトとれたのはよかった

ウ:3番、センター、古川君

古川:お願いします

拓:コク
1アウトで迎えるのと2アウトで迎えるのでは全然違うからな

○○:ふ~

まずは目の前の打者を…


史:……

梅:史緒里、何かあった?

史:大丈夫だよ

岩:目元赤いし、○○君と何かあったの?

史:……

ごめん…

梅:どうしたの?

史:止められなかった…

梅:そっか…

岩:○○君、どうしたのかな?

梅:何があっても彼女を泣かせる奴は許さない

史:大丈夫だから
試合観よ?


さくら:かっきー…

遥香:我慢するしかないよ

さくら:苦しいよ

遥香:○○君がそうして欲しいと頭さげたんだから私たちは何もないことを祈るしか出来ないよ


〇〇:ンァ

シューーーーーーーー

拓:甘い!

カキーン!!!!

○○:!?

実況:三遊間抜けるーーーーーー

二塁ランナーは三塁を回っ…


三塁コーチ:

ストップ!!!!!


稲本:!?


ビュン!


拓:ズバン!

全員:!?


○○:!?


大:何やってんの?
そんなピッチングするなら代るよ?


実況:レフト大谷の好返球でホームに返しませんでした
森田投手、今日はボールが走っていないんですかね?

解説:そうですね
それにボールが高いですよね
本来の森田君のピッチングではないです

実況:ここでキャッチャーの御幸君が早くもタイムを取ります


拓:お前、こんなピッチングをするためにマウンドに上がったのか?俺はこんな奴のボールなんて捕りたくない
うけたくない
代れよ

○○:!?

佑美:監督

監:御幸に任せよう

拓:お前、誰と戦ってんだ?
あの2人とか?

バッターに集中してないだろ?
言ったよな?
一人で野球すんなって
理由はそれぞれあるかもしれないけど
勝ちたい気持ちは見方も相手も皆同じじゃねぇのか?
お前はあの2人を倒すために野球してんのかよ

○○:……

拓:違うよな?
俺は今のお前とバッテリーを組んでも楽しくない
それにこんなピッチングを誰も望んでなどいない
このままだと絶対に負ける
雷道に泥を塗るつもりか?

○○:!?

お前が何考えてるか知んねぇし、試合前何があったかも知らねぇ
けどこれだけは言える

お前の考えていることは間違っている


拓:お前は負けた選手からの言葉はなんも残ってないのか?

〇〇:!?

美馬:東京代表として俺たちの分も頼む…
必ずテッペン獲ってこい…

○○:そうですよね
すみませんでした

ふっ

何に囚われていたんだか

俺の個人的な理由でみんなを巻き込んで、迷惑かけてそれでもエースかよ

何がエースだ…



○○:御幸先輩、チャンスをください
次同じようなピッチングをしたら自分からマウンド降ります

拓:わかった
切り替えろよ、次は4番だ
あの2人を倒しに行くんじゃなくて東峰全員を倒しに行こう

○○:はい


ジャッジ:何をやっても同じだよ

拓:SHUT UP(黙れ)

ジャッジ:!?

拓:You don't know what he's really like.(お前はあいつの本気を知らない)

ジャッジ:💢


○○:ドン!🤛🏻
よっし…

ふぅ…


シーン…


○○は観客の声が聞こえないほど自分の世界に入っていた

ゾーン(極限集中状態)

もちろん当本人はしらない


拓:ホント迷惑かけるやつだよ…
まずはあいさつ代わりの1球を

○○:コク

スクバー:(雰囲気が変わった)


○○:……

ジュッ


スパァーーーン


ジャッジ:!?

審:ットライク!


監:任せてよかったな

佑美:はい
(でも気になることがある…○○君の今の状態
これが最初から最後まで続くはずがないし、なにか鬼気迫るものを感じる)

さくら:たぶんあれで残り1回だよね?

遥香:うん…


〇〇:スーッ
ジュッ…

ジャッジ:!?

スカっ

ジャッジ:What!?
(チェンジアップなのか?サークルチェンジだろ)

スクバー:ジャッジは何してんだ

実況:2球で追い込みました

〇〇:…

ジュッ

シュッーーーーーーン

カーン!

ファール

拓:軽く飛ばすな…

〇〇:……

”つまんねぇな”


ビューーーーーーーーーーー


ズバァッン


ジャッジ:!?

スクバー:!?

東峰監:!?

観客:!?


実況:見逃し三振ーーーーーーーー

観客:うぉおおおおおおお

西:ナイスピーだ

春:2アウト、2アウト

大:やるなら最初からやれよ

麻:完璧だったわね

美月:はい

和:すごいね

茉央:うん

〇母:○○、すごいわね
最初どうなるかと思ったけど

〇父:そうだな
(昔の○○に戻っているように感じるのは気のせいか?
この違和感はなんだ?)

史:怖い…


ジャッジを見逃し三振に打ち取った○○
喜ぶ雷道ナイン、このまま無失点で終われるのか
そしてさくらと遥香が話していた残り1回とは何のことなのか?
○父や佑美、そして史緒里が感じている違和感
それは決していいものではないと…
崩れていく足音が少しずつ少しずつ…
いったいどうなるのか?

次回決着

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