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あのミットに向かって2nd 55話(115話)「本当の真実」

俺は目を覚ますと、目の前にもう1人の俺がいた


〇〇2:起きたか…

〇〇:ここは?

〇〇2:生死の狭間だ

〇〇:俺って…そっか…倒れたんだった…

〇〇2:ジャッジを三振にとって倒れたよ

〇〇:あとアウト1つだったのになぁ
結果はどうなったんだろう

〇〇2:勝ったらしいぞ

〇〇:良かった…勝ったのなら

〇〇2:最後まで投げたかっただろ?

〇〇:まぁね、でも悔いは無いかな

〇〇2:それは本気で言ってるのか?
本当にお前の本心か?

〇〇:……………

〇〇2:あの後お前は救急車で運ばれて今も意識不明の重体だ
今お前のそばにはお前の両親や"史緒里"がいる
それにチームメイトもみんな泣いてるぞ

〇〇:史緒里やみんな…
悪いことしたなぁ
最後くらいみんなの顔見たかったなぁ

〇〇2:お前この状況わってないのか?

〇〇:不思議だとは思ったけど生死の狭間でも喋れるんだな

〇〇2:まぁそれはわかるけど
そんなことじゃねぇよ
この線

〇〇:ん??なんだこれ?

〇〇2:生死の狭間と言っただろ?
これより少しでもこっちに入ったらお前は本当に死ぬ
一生戻ることはない

〇〇:そうなんだ。俺ギリ生きてんだ
ん?生きてんのか…
生死の狭間を理解してなかった
もうてっきり死んだものだと
あの制約の時いってなかったっけ?
死ぬって

○○2:あれはお前が俺の話を遮って勝手に死ぬって勘違いしたんだ
本当は意識を失うって言いたかったんだ

〇〇:そうだったんだ
俺の悪い癖が出た

ということは俺はまだ野球できるのか?

○○2:そうだよ

そういえば、お前ってバカだったな
忘れてたわ

〇〇:ごめんな!こんなバカの二重人格でよ

〇〇2:で、どうするんだ?戻るのか?

〇〇:なんか軽くね?

○○2:そんなもんだよ

○○:ん〜
ひとつ聞いていいか?
俺とお前の関係はどうなる?

〇〇2:そうだな…

それを答える前にこの質問に答えてくれ


"もう俺がいなくても大丈夫だろ?"


〇〇:!?

〇〇2:俺の力なんて使わなくてもお前は戦える
なのにお前は俺に固執して無理して共存を使って今この状況
本当のお前の力は俺の力なんて必要なかった

〇〇:そんなこと思ったことなんて一度もねぇ!
お前がいなかったら勝てない試合も多々あった!
俺はお前と共存して更なる高みを体感できた
楽しかった
俺は…

お前に"感謝"している!


〇〇2:そうか…
それなら良かった…
でも俺はお前を中から見て、共存して感じたことがある


”お前はまだ更なる高みへ登れる”



誰も見た事のない世界へ


〇〇:………


〇〇2:それでお前の質問の答えだが、
完全に解消され、お前1人だけになる


〇〇:!?

〇〇2:簡単にいうと俺は死ぬって事だな

〇〇:いやだ!!!

○○2:いやだと言われてもな…
お前が5回使ったんだろが

○○:それはごめん…
でもどうにかならねぇのかよ!

〇〇2:無理だな

〇〇:なら俺も死…



バチン!!!



〇〇:えっ…

〇〇2:その言葉二度と口にするな
お前はこの状況になってもまだ気づかないのか!?
俺はお前が生んだ

お前の弱さだぞ!

〇〇:えっ…

〇〇2:お前が負けを怖がっているから俺が生まれた!わかるか!?


俺はお前の二重人格になる予定はなかったんだ

〇〇:えっ……

〇〇2:お前が野球を始めた頃はお前は勝ち負けなんて厭わずただがむしゃらに野球を楽しんでいた
夜遅くまで史緒里ちゃんとキャッチボールをして

けどお前が中学最後の試合であの負け方をしてからお前は変わってしまった。
いつしか負けるのが怖くなっていったんだ
そこからだ。俺がお前の二重人格になったのは

〇〇:!?

○○2:全てはあの試合の敗戦からお前が変わったんだよ
あの苦い敗戦がお前を苦しめた
それからお前は無茶な練習をすることが多くなった。
いつしか練習することだけがお前を楽にさせてくれた。負けや弱さを隠してくれた。
でもそれでお前は怪我が多発
両親は二重人格のせいだと言ったが、全く違う!
お前の弱さが原因なんだ


〇〇:俺の弱さが…お前を生んだ…

〇〇2:そうだ
トドメになったのは去年の甲子園決勝

〇〇:!?

〇〇2:無茶して負けたあの試合
記憶がないのは当たり前だ、俺がお前に負けを痛感してもらうためにやったんだからな
気づいてもらいたかったから

でも、お前は気づいてくれなかった

〇〇:…………

〇〇2:お前が俺に固執するのは自分の弱さを隠すため、お前は心から野球を楽しんでいないんだよ!

〇〇:!?

〇〇2:いつもみんなの前では楽しそうにやって、いい子ぶって
カッコつけているがそれは偽の顔
本当はただの弱虫なんだよ
そんなに負けることが嫌か!?

○○:いやだよ!!
勝ちがすべてだろ!!


○○2:じゃあ聞く
負けて得られたことはひとつもなかったのか!?
お前は勝ちだけでここまで来たのか?

○○:!?

お前はこれまで何を学んできたんだ!


お前は負けたからこそ強くなれたこともあんじゃないのか!


〇〇:ガクッ


〇〇2:お前を1番に想っているアイツ(史緒里)は気づいていたぞ


お前が負けに囚われているって…


〇〇:ウッ…😢


〇〇2:アイツ(史緒里)はお前が楽しそうに野球してる姿に惚れたんじゃないのかよ

お前が史緒里ちゃんを遠ざけてどうすんだよ!?
一番の味方からも逃げてどうすんだよ!?


こんな終わり方を史緒里ちゃんが許すわけないだろ


史緒里ちゃんはお前を心の底から止めようとしてたんだ


だけど、お前はそれを無視をした


史:〇〇!私に隠し事してるよね?

〇〇:してないよ

史:私は〇〇を信じてるけど〇〇は私の事どう想ってるの?

〇〇:意味わかんねぇよ

史:〇〇はいつからおかしくなったの?
このままだと取り返しがつかないことになるの
私は〇〇を止めないといけない

ガシッ

〇〇:やめろよ!

史:きゃっ!ドン

〇〇:俺はおかしくなってなどいない!
俺はただ勝ちたいんだ
もうやめてくれよ…

史:わかった…
試合頑張ってね…


〇〇:ああ…
史緒里は… 最初から…俺を… 助けたかったのか…

なのに…俺が…自分勝手に…

〇〇2:そうだよ
お前は全てから逃げてたんだ
それが

本当の真実だ


〇〇:はぁ…はぁ…

俺はぁああ

弱い…


弱いんだ…


〇〇2:そうだ…自分の弱さを認めろ

〇〇:史緒里に謝りたい…
みんなに謝りたい…


〇〇2:今の姿がお前の本当の姿だ
それを知っても共存を選ぶか?
今、決めろ
もうそんなに時間はない

〇〇:選ばない…

○○2:聞こえない!!

○○:

選ばない!!!!


○○2:そうだよな

なら俺はもういらないな


○○:コク

俺、決めたよ


新しい俺(○○)になるよ



○○2:それがいい

○○:もうこんな自分には2度となりたくない


〇〇2:そっか…

〇〇:あぁ…
もう1人の俺…気づかせてくれてありがとう…
俺はこれから負けも弱さも全て受け入れて生きていくよ
本当にありがとう


〇〇2:それでこそ森田〇〇だ
お前は誰よりも強い
お前はまだ力を隠し持っている
持っている力を全て出してこい


〇〇:わかった…
もう迷わない


〇〇2:行ってこい
みんなが、そして史緒里がお前を待っている
新たな自分を魅せてこい…

〇〇:おう…

○○2!最後に我儘を言っていい?

〇〇2:なんだ?

〇〇:お前と生まれ変わった俺とでもう一度だけ野球をしたいな…

〇〇2:!?


〇〇:じゃあ!行ってくる!
今までありがとう!!!!!!

〇〇2:ふふっ…
楽しんでこい…








8月23日、決勝の日
雷道高校 vs 南山大附属高校

朝5時32分

401号室

〇〇:ツー(〇〇から涙が出る)

そして〇〇がゆっくり瞼を開ける

ふぅ…

(本当に戻ってきたんだな)

〇〇は横を見ると史緒里が俺の手を握ってぐっすりと眠っていた


〇〇:今までごめんな史緒里…
ありがとう…
もう大丈夫だからナデナデ


史:ニコッ


〇〇:笑ってるよ
よし行くか…


〇〇はユニフォームに着替えて401号室を後にした

To be continued…

あと2話

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