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あのミットに向かって2nd 56話(116話)「背番号1」

〇母:史緒里ちゃん!史緒里ちゃん!起きて!○○が!

史:おはようございます…

〇母:○○がいないの!

史:はい?

〇母:○○がいないのよ!

史:えっ

〇母:どこにもいないの!

史:○○!

史緒里たちが起きた時にはベットに○○はいなかった

そして史緒里の手には一つの手紙が握られていた

○○:史緒里、お父さん、お母さんへ
さっき目が覚めました。
カレンダーを見たら今日が決勝だということが分かったので甲子園に行ってきます。怒られるのはわかっています。
でも今は野球がしたい
みんなに感謝がしたい
なので今はそっとしといてくれませんか?
あとからたくさん怒ってください。
史緒里、我儘でごめんな
掛けてあったユニフォーム着ていきます
お母さん、綺麗に洗濯してくれてありがとう
お父さん、心配ばかりかけてごめん
甲子園で待ってます
森田○○

〇母:ウッ…😢
あなた…○○が…

〇父:あぁ…これは夢なのか…😢

史:○○…😢
手に温もりを感じる…

ピコン

真美子:史緒里ちゃんにこれを送ります
○○が戻ってきたよ!


そこには○○がボールを投げている姿が動画に収められていた


史:うぁああああああああああ😢

〇母さん、これ…

〇母:○○だわ…
ちゃんと私たちの○○が戻ってきてくれたんだわ😢

〇父:あ、わかりました。ありがとうございます。

〇父:○○は翔平さんたちが病院の前で拾ってくれて今一緒にいるそうだ

〇母:よかった…

私たちも病院の先生に話してすぐに甲子園に向かいましょう

史:うん



数時間後

実況:さぁ決勝戦も終盤7回に入ってきました

雷道高校 vs 南山大附属高校

2ー0とリードをしているのは南山大附属高校

雷道高校は南山大附属のエース山本から中々得点が奪えません

解説:そうですね、ここまで2安打ですか
雷道高校のピッチャーの大谷君も踏ん張ってはいますが初回の2失点これが痛いですね

実況:今大会の山本投手に2点、これは大きいですか?

解説:球威、キレどれをとっても今大会の山本投手は素晴らしいですからね
雷道高校は諦めずどんどん攻めていって欲しいですね
まずはここを無失点に…


カキーーーン!


実況:打ったーーーーーー


7回表、雷道高校のピッチャー大谷からフォアボールと連続ヒットーーーー
ノーアウト満塁とチャンスをつくります

大:ふぅ〜
(くそっ、ここを踏ん張って攻撃に…)


さくら:大谷君…

遥香:頑張って…

麻:大谷君はよく投げているわ
でも、南山大附属の打線が簡単にアウトをくれない。甘い球は徹底的に打たれてるわ

美月:幸四郎も準備はしているけどこの状況では監督も代え辛いと思う。今ウチのピッチャーは健吾君と幸四郎の2人のみ、森田君が抜けた穴を埋めることができていない

流石に…キツイ…


拓:健吾も準決勝の疲れで本調子じゃない
打線も追いつけるかわからない
どうする…

監:伝令を!九条!

九条:はい!

タタターッ

九条:まずは深呼吸をしよう

雷道ナ:すぅ~~
はぁ~~

九条:もう1点もやれないのはわかってるよね。前進守備をとる。外野も。何がなんでも止めろと

拓:それしかないな

九条:俺たちは森田が起きるまでは負けられないんだ。約束したよな?勝って報告するために

大:はい

春:ここを凌いで次の攻撃に






??:監督

監:ん?
お前!?

佑美:!?

雷道ナ:えっ!?

??:行かせてください。俺しかここを抑えられません。詳しいことは後で話します

監:お前は本当に

〇〇

なのか?

〇〇:はい…
今はとりあえずお願いします…

監:わかった…
信じられないがお前に託すぞ…
行ってこい


〇〇:行ってきます

カタッ…カタッ…


ウ:ここで選手の交代をお知らせします

拓:!?

ウ:ピッチャー大谷君に代わりまして

6番、ピッチャー


森田君



背番号1、森田〇〇君



さくら:えっ…

遥香:えっ…

麻:どういうこと?

美月:意味わからなすぎて…夢?

和:ぎゅぅ~

痛い
ってことは現実

茉央:○○先輩だ


拓:おま…

九条:森田が…何故ここに…

大:なんで〇〇が…

春:どういうこと

西:夢か…

高津:何が起きてるんだ…

橋:どうなってる


〇〇:驚かせて申し訳ありません
事情は後で話します
それよりも健吾、俺と交代してくれ


この試合ずっと観てた
お前のピッチング痺れたよ
お前の想い、全て俺に預けてくれないか?


必ず抑えて戻ってくる


大:あ、あぁ


観客:ザワザワ

実況:どういうことでしょうか?
東峰戦で倒れた森田投手がマウンドに立っているではありませんか

飛鳥:なんでアイツがいんの!?
出ないって


〇〇の突然の登場に球場、いやこれを観ている全国民が驚いていた


〇〇:ふぅ〜
何負けてんすか?
飛鳥に負けてどうするんですか?
たった2点じゃないですか
ウチってこんな弱かったですっけ?

拓:あ、いや

西:あはgjwp…

春:ホントに○○君なの?

〇〇:俺だよ…春いっち

春:あぁホントだ…うん、お帰り

〇〇:御幸先輩ノーアウト満塁ですよね

拓:おう…

〇〇:俺は御幸先輩のリードを信じますから頼みます
バックの皆さんもよろしくお願いします
俺に力を貸してください


審:もう時間だ!戻って

雷道ナ:あ、はい!

〇〇:御幸先輩、俺は二重人格の誰でもない御幸先輩の知っている森田〇〇ですから

拓:!?

〇〇:俺のことは気にせず、取り敢えず抑えるためだけにいきましょう

拓:おう…


実況:状況は分かりませんが、ノーアウト満塁で打席には3番、前川が入ります

前川:復活して1発目でこの状況、飛鳥ぶっ飛ばしていいんだよな?

飛鳥:終わらせよう


拓:頭は整理できていないけどまずは様子を見た方がいいか…
いや、それを〇〇は望んでいない
抑えることだけに集中している


信じるぞ


〇〇:コク
(いや、起きて数時間後だけど自然と体は軽いし状態はなんなら今までの中で1番いい)
俺は起きて病院を出た時…


史緒里たちが起きる1時間前

ウィン

〇〇:よし行くか…

一也:お前、何してんだ?

翔平:起きたのか?

〇〇:げっ!?翔平さんに一也さん、それに真美子さんまで

真美子:お見舞いに来たんだけど
一生目を覚まさないと聞いていたのに

〇〇:あの…先程目が覚めて病室から飛び出してきました。今日試合だったので

翔平:お前、悪いやつだな

〇〇:いやいや

一也:そうだろ
今、大パニックなんじゃないのか?

〇〇:そうだと思いますけど、手紙は置いてきました。詳しいことは話しますのでどこか連れていってくれませんか?体ならしたいので

翔平:お前試合に出るつもりなのか?

〇〇:そうですけど

一也:そうですけどじゃないだろ

〇〇:とにかくお願いします

真美子:わかったわ。少し離れたところに行きましょう


バタン

翔平:で、どういうことなんだ?
話してくれ


〇〇:俺は寝ているときに起きたことを全て話した


一也:今はもう二重人格ではないと…

〇〇:そうですね

翔平:お前の弱さが生んだ二重人格ね…

〇〇:はい

真美子:なんか前と雰囲気変わったわね

〇〇:そうですか?

一也:言われてみれば…

〇〇:あの、投げたいんでどこかの広場に行ってくれませんか?

翔平:わかったよ


バタン


翔平:マジで投げんの?

〇〇:はい

一也:俺たち捕まりそう

〇〇:俺が悪いんで
手紙にも甲子園に行ってきますと書いてますから
後から死ぬ程怒られるとは思いますけどね

翔平:〇〇のお父さんには俺から連絡しておく

〇〇:すみません。ありがとうございます

ところで観に来て良かったんですか?

翔平:俺が今日始球式するんだよ

〇〇:だからか

一也:俺はお前のお見舞いと息子の最後を観ようと

〇〇:拓也先輩には🤫で

一也:わかったよ
でも間に合うのか?

〇〇:間に合わせます
そのために俺に付き合って貰えないですか?

翔平:そこまでしてなんで出たい?

〇〇:勿論ただ出たいのもありますけど、先輩達との最後の試合、それと感謝をしたいんです

一也:感謝

〇〇:そうです。俺がこうなってしまったのも自分のせいですし、俺のためにここまでしてくれたチームメイト、監督、マネージャー、それに、俺に関わってくれた人たち、両親、そして
史緒里に感謝のピッチングをしたい
俺の本当の姿を見せたいんです!

お願いします!

俺が出ても勝てるかは分かりません
それでも俺が生きてきた17年間をマウンドで示したい…

翔平:そっか…
勝つためじゃなくて周りの為にか…

ならいいんじゃねぇか?

一也:そうですね

俺がボールを捕る
真美子さん!

真美子:何?

一也:動画撮ってもらってもいいですか?
撮ったら確認したいのと…コソコソ

真美子:あ、そういうことね!わかったわ

一也:よろしくお願いします

〇〇!時間がない
やるぞ

翔平:俺もアドバイスできることはしてやる

〇〇:ありがとうございます!


〇〇:そこから俺は手伝って貰い
今、このマウンドに立っている
さぁいこう

生まれ変わった俺の姿を…


拓:どんな球がくる…

〇〇:ザーッ(脚を高くあげる)

ギュッ(右手の壁)

ドン(右足はベースに)

グググッ(溜めた力を)

腕は強く振る


ココ!



俺はみんなと野球をしたいんだぁああああああああ


ンァ!

ゴゥジュ


ジューーーーーーーーーーーー


前川:(絶好球!!!!!!!!!


ブン!


一也:そんなんで打てるわけねぇよ😏


ズッパァーーーーーーーーーン



拓:!?

監:!?

飛鳥:!?

観客:!?

史:はぁはぁ…

〇〇が戻って来た…🥺


前川:あ………


152km/h


と表示されていた


観客:うぁあああああああああああああああああ

ヤバすぎるだろ!

これが復活1球目かよ!

進化してんじゃん!

球場からはあり得ないほどの響めきが起きていた


梅:史緒里!

岩:史緒里!
〇〇君が!〇〇君が!

史:良かった…本当に良かった…😢

梅:史緒里お疲れ様😢
よく頑張ったね

史:うん
元の○○が帰ってきてくれた

梅:○○とは話したの?

史:まだ

梅:あいつ本当に許さない

史:でも起きた時に感じたんだ
○○が起きた時に私の頭撫でてくれたんだろうなって

ごめんねとともに…

岩:よかったね…😢

梅:ほらしっかり観てあげて

○○も史緒里に一番観てほしいと思ってるはずだから

史:うん、瞬きせずにみる!

岩:それはしなよ


翔平:これはちょっとな…

一也:俺も受けたときに思いました
以前までの○○とは比べ物にならない

拓也もそう思っているはず…


拓:(なんだよこれ?まだボールがミットの中で暴れている)チラッ

○○:(そんなによくないな)

拓:って顔してんな
何があった…

前川:おいおいおい、なんだよ今のボール…

○○:最速か…
キレに重点を置いていこう

ンァ!

ビューーン

グイ

パァーン

審:ットライク!2

実況:インコース高めに変化球
バッター、手が出ません

飛鳥:なんで振らないんだよ

拓:わかる…○○の球が以前より曲がりが遅くなっているんだ
だから急に変化したことについていけてないんだ

やべぇ

俺も応えないとな

(お前が起きた時にまたバッテリーを組もう)

ふっ


○○:久しぶりに感じる…このリード
ありがとうございます…

俺はあのミットに憧れてここに来たんだ

いつも大きいその構えに
俺は最高のボールで応えたい

ンァ!!

前川:ン!?


グワン…

スパァーーン!!



実況:空振り三振ーーーーーーー

観客:うぉおおおおおおお

史:これが本当の〇〇の姿…

〇〇:1アウトーーーーー

雷道ナ:1アウトーーーーーーーーー

実況:森田君と言ったらこのコールアンドレスポンスですよね
思わず私も言いたくなります
1アウトとりましたが、満塁は変わらず

ウ:4番、キャッチャー、北條君

北條:去年も俺たちの前に立ちはだかったやつ
俺は去年出場してなかったけどビデオは飽きるほど観させてもらった
構わずぶち込むぞ

〇〇:相当振ってきたんだろうな
見ただけでわかる
対策もしてきただろうな
でも関係ない

俺はあのミットしか見えていないから…

スパァーーーーーーン

北條:!?

シューーーーーーーーー

グイン↙

審:ファール

実況:またしても2球で追い込んだ

解説:本当に無駄がない

拓:最後はアウトコースに…

〇〇:コク🙂‍↕️

目の前のバッターを打ち取る。俺がやるのはそれだけだ

北條:コイツ!ビデオで見るより

数段…


ヤバイ


ズッバッーーーーーーーーーン


実況:空振り三振ーーーーーー

遊び球なし!最後はキレのある真っすぐ!
これで2アウト

春:2アウト!
あと1人しっかり抑えよう

小笠原:最後までや!(涙で前が見えへん)


拓也は昔を思い出していた


拓:麻衣ちゃん、今日の試合はこれで終わり?

麻衣:そうだけど

拓:麻衣ちゃんはいい選手の目星はつけた?

麻衣:つけたわよ
申し訳ないけどこの試合にはいないわね

〇〇:1アウト!

拓:声でかいな

麻衣:あの子はピッチャーの子ね

拓:森田…

麻衣:声が大きいことはいいことだけど内容がね…

拓:そっか、じゃあ帰ろっか

麻衣:そうね


拓:ゾクッ(なんだ!?)

〇〇:ザーッ(脚を高く上げる)

拓:あのフォーム…

麻衣:どうしたの行くわよ…

〇〇:グググッ

ドン


ンァ!!!


シューーーーーーーーーー


バーン!!!!!ボロッ

拓:…………

麻衣:何よ、いきなり立ち止まって

拓:麻衣ちゃん、この森田ってやつスカウトしてくんない?

麻衣:えっ、何よいきなり

拓:うけてみたい
俺はこういう投手を求めていたんだ

(あのミットに向かって プロローグの話へと続く)


お前を初めて観た2年前の夏の試合
あのマウンドでの立ち姿に俺は野球人生で初めて目を奪われた


今、俺はまたあの頃のお前を見ているようだ
あの本気の目
抑えるためだけに目の前のバッターを打ち取る
本気で野球を楽しんでいる…


最高じゃねぇか!


拓:お前とならいける…

どこまでも

実況:またも追い込みました!


○○:俺のことを待ってくれる人がいる
俺のボールを待ってくれる人がいる

俺はそれに応えたい


史緒里、観てるか?


ありがとう


俺を救ってくれて


今は史緒里に会う顔はないけどいつかまた君を惚れさせるような選手になるよ


そこから絶対、目 逸らすなよ…


(史:私はもう惚れてるっつーの)


○○:

さぁラストピッチングだ


To be continued…

次回、堂々完結
果たして雷道高校は優勝することが出来るのか?
そして〇〇が思い描く未来とは

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