【鉄拳】ジュリアの66LP(虎身肘)先行入力の話
※本記事の一部の情報(硬直の最終フレームと先行入力について)は古くなっています。最新情報は下記記事も参照してください。
今回は鉄拳シリーズの「6n6+ボタン」入力の技について、先行入力がどうなっているのか、について解説していきたいと思います。
Twitterアンケートの解答
さて、先日このようなクイズ形式のアンケートを採らせていただきました。
アンケートにご協力いただいた皆様、ありがとうございます。
さっそくアンケートの解答ですが、これは回答(3)の
12F(6,n,6まで先行入力可能)
……が正解となります。
先行入力虎身肘が12Fである証明
まず本当に虎身肘が12Fで出るのか確認します。
仁の追い突き(立ち途中RP)がガード-12Fなので、確反に虎身肘を決めてみましょう。
すると(入力は簡単ではありませんが)このように確定しており、確反練習の課題はクリア扱い、PUNISH表示も出ています。
理屈はともかく、先行入力した虎身肘は最短12Fで発生することがわかります。
この点については、フレーム情報を公開されているいぐにすさんのサイト、TEKKEN7 INCOMPLETE CONQUESTでも、各技の備考欄に記載されていたりします。
http://geppopotamus.info/game/tekken7fr/julia/data.htm#multi
6n6入力の先行入力は一体どうなっているのか?
鉄拳をプレイする上での常識として「6n6の入力は先行入力できない」というものがあると思います。
先ほどのアンケートでも、48%(59人)の方が13F(6,nまで先行入力可能)を選ばれていて、最多得票となっていました。これは常識に沿って、発生F云々よりも「6,nまで先行入力可能」の部分が正しい、と考えたためではないかと思われます。
この常識はおおむね正しいのですが、じつは例外があります。
硬直の最終フレームに6を入力する
それは「硬直の最後のフレームにビタで6入力がされたとき」で、この場合、前ダッシュの先行入力が成立します。
以下に入力を図示します。
硬直の最後のフレームに「6」入力が入っており、1F稼げているのがわかるでしょうか?
この記事では「硬直の最後のフレーム」のことを、便宜上「0F目」と呼びます。
なおこの「硬直の最後のフレーム」をプラクティスモードの硬直表示で見ると、硬直中を示す青色ではなく、硬直解除を示す無表示になります(実際には硬直中です)。
この入力は、仮に「6」入力を1F長く伸ばしてみても成立します。
ただこれだと攻撃判定が発生するのは13F目となり、ガード-12Fの技に確定させることはできません。
成立しない場合
似たような入力でも、成立しない場合があります。
このように、0F目より1Fでも速く「6」入力を入れてしまうと不成立となります。
かなりシビアですので、この難しさを考えると「6n6入力は先行入力できない」という認識は、おおむね正しいと言えます。
下記二つも不成立です。
ただし、これはタイミングの問題ではなく、2回目の「6」と「LP」が完全同時になってしまっているためです。
この点については後でもう少し詳しく解説します。
実戦値は?
6n6+ボタンの技を先行入力ができる方法がある、として、実戦的にはどのくらい有用なのでしょうか。
入力の難しさを体感するには、プラクティスの確定反撃練習などを活用し、6n6+ボタン技の「発生+1F」だけガード硬直のある技に対して、実際に確定反撃を入れてみるのが手っ取り早いと思います。
やってみれば分かりますが、正直、けっこうシビアです。
たとえば「平八の鬼神拳(66RP)のガード硬直-16Fに対して、ドラグノフのロシアンフック(66RP:発生15F)を決めて相手をわからせたい」といった特殊な事情がない限り、狙うのはあまりオススメできません(4LKでいいんじゃないかな~)。
ただ「なんらかの事情(主にガード時の距離)で6n6入力の技を確反で決めないといけない」という場面は存在しえるので、いちおう知識として知っておいて損はないと思います。
またコンボでつなぎがシビアの場合にも、この入力が有用なことがあります。
硬直から最速で出す場合もそうですし、最速で前ダッシュする場合、最速で6n6入力してさらに一瞬引っ張らないと成立しないコンボの時などにも使えるはずです。
一部確反やコンボの猶予Fを考える時にも、この考え方を応用できます。
一例として、ジュリアには「霞陰掌(3LP、かいんしょう)のしゃがみヒット時に+14F(相手しゃがみ状態)になるので、驚天衝腿(66LK:発生12F)を確定させる」という地上コンボがありますが、この時、驚天衝腿は3LPの硬直中から最速13F発生となるので、「1Fの猶予があるな」とわかります。
先ほどの鬼神拳(ガード-16F)への確定反撃も、たとえばレオの上歩撞拳(66RP)は発生14Fですから、ガード硬直から最速入力すれば発生15Fとなり、猶予が1Fあります。
その他の解説
6n6の先行入力については、先述のいぐにすさんのサイトでも、鉄拳6BRを例に解説されていました。こちらもわかりやすい解説になっています。
http://geppopotamus.info/game/tekken6br/system/system01.htm#12
なおここまでの内容を検証するのは、コマコン等を用いて1Fずつ入力できる環境がないと、ちょっと面倒だと思います。
よくある勘違い
6n6+ボタン入力の技に関して、よくある勘違いについて解説します。
(1)6n6の2回目のレバーとボタンを完全同時入力で66技が成立する
これは誤りです。
鉄拳の6n6+ボタン技の場合、2回目の「6」入力を最低1F引っ張らないと成立しません。
硬直中から最速で出すときも同様です。
多くの人の場合、ボタン入力の部分をそんなに急いで入力しておらず、これのせいで困るとか、コマ化けするとかいったことはほとんどないと思います。
(別の格ゲーで、逆に「2回目のレバーとボタンが完全同時でないと出ない」技があったのですが、安定させるのめっちゃ難しかったです)
自分がどういう入力をしているのか、というのは60fpsで録画できれば簡単に調べられますので、プラクティスのキーディスプレイを出した状態でキャプチャし、コマ送りしてみるとわかりやすいと思います。
どうやら鉄拳のダッシュ系コマンドでは「状態を作るのに最低1Fかかる」ようです。
6n6入力が完成して前ダッシュが成立したはいいが、もう1F待たないと前ダッシュ「状態」にならず、したがって「前ダッシュ状態でボタンを押す」技が出せないわけですね。
いわゆるスラッシュ入力、「6n6n6+ボタン」技でもおなじことが起きます。
たとえばキングのシャイニングウィザード(666RP+RK)を最速入力すると上の図のようになり、「1Fズラしてボタンを押す」必要があります。
これが、上記のようにボタンと完全同時だと成立しません。
やはり前ダッシュ「状態」から、走り「状態」に遷移するために、1Fかかっているようです。
密着ではこの「1Fズレ入力」がポイントになってきます。
よく知られているように、密着でのスラッシュ入力(のボタン部分)は、すこしでも入力が遅いと成立しません。
したがって、このボタン部分に関しては「完全同時は避け、ぴったり1Fだけズラしてボタンを押す」というのが正しい入力であり、難しい理由と言えます。1F速くても遅くてもダメです。
しかし、じつは手前の前ダッシュの方はちょっぴり引っ張っても大丈夫です(その分、発生は遅くなりますが)。
もし「密着スラッシュが苦手なんだよな~」という方がいたら、この「1Fズレ」の部分だけを意識してしっかり入力できるように練習すると、安定度が増すと思います。
ドラグノフのロシアンフック・アサルト(666RP)なども、「ガードさせて有利を取って密着でもう一度出したい」といった時には、発生速度よりも安定度を取って「1Fズレ」を意識しつつ入力しても良いと思います。
(手入力で最速気味の6n6n6入力は非常に難しいです)
ちなみにスラッシュ入力の技が暴発すると、「6+ボタン」の技が発生します。このボタン部分を同時押し技に変えたり、派生技を入れ込んでおくことで保険をかけるテクニックもよく知られていますね。
たとえばドラグノフなら「6n6n6RP+LK」と入力しておけば、暴発したときに「6RP+LK」のコマンド投げに化けますし、「6n6n6RP+RK」ならロングレンジスローに、「6n6n6RP,RK」と入力しておけば「6RP,RK」の派生が出てごまかしがききます。
(キャラによって色々あります)
ドラグノフが密着でやたら6RPRKを出してきたら……そう、アサルト入力に失敗しています。
(2)ボタン入力のあったフレームから技モーションが開始する
「ジャブは発生10Fだから、LPを押した瞬間から10F目で攻撃判定が出ているはず」という認識ですが、これも誤りです。
虎身肘で言えば下図のようになっているという理屈です。
これは誤りで、立ち状態からは、ボタン入力があったフレームから常に1F遅れで技が出ています。
「じゃあ、ジャブが11Fで出るってこと?」
そうです。
ただし、先行入力時はこの限りではなく、ちゃんと10Fで技が出ます。
(なので確反が1F遅れたりはしません)
ジャブの場合で見てみましょう。
下記画像は、鉄拳タッグトーナメント2のプラクティスで、ジャブを出した録画の切り出しです。
縦長でちょっと見づらいですが、上から順に追っていってください。
ボタン入力のあったコマの画像ではなく、その次の画像から数えて10枚目でようやく攻撃判定が発生していることがわかったでしょうか?
この記事で最初に示した虎身肘を先行入力した場合で考えてみると、ボタンを押したフレームは先行入力期間には収まっておらず、立ち状態から出したものとなっていますから、立ち状態からジャブを出した場合とおなじく、1F遅れでモーションが再生されます。
したがって、計算としては「発生11F+1F遅れ=最速発生12F」となります。
それでも立ちから出す場合と比べるとだいぶん発生が速いですね。
もしボタン入力のあったフレームから技が出ているとした場合、硬直から虎身肘を先行入力すると下画像のようになっているはずです。
上記の6n6入力部分は間違っておらず、たしかに虎身肘が先行入力で出せる、というのはここまで見てきた通りです。
この画像の理屈でいけば、硬直からの虎身肘の最速発生は11Fにならないとおかしいはずです。
しかし、虎身肘の最速発生は12Fで、ガード-11Fの硬直にはどうやっても確定しません。
虎身肘の全体モーションをコマ送りで確認しても、たしかにモーションに入ってから11F目のコマで攻撃判定が発生していますから、1F遅れているのは間違いない、という結論になります。
なおプラクティスのキーディスプレイ表示は、鉄拳7家庭用のどこかのタイミングでこの1Fズレ表示が修正されていて、今では「モーションに入ったフレームと同時にボタンが表示される」仕様となっています。
だからと言って硬直からの先行入力虎身肘が発生11Fになっているということはなく、これは単純にキーディスプレイの表示を1F遅らせているのだと思います。
このため現在ではわかりにくくなっていますが、ボタン入力からモーションに入るまでにズレがあることは確実で、たとえばSteam版鉄拳7のプラクティスで、キーボード入力を感知するソフトとゲームを同時に60fpsで録画し、挙動を確認すると、入力があってから1~2F遅れてキーディスプレイにボタンが表示される(=モーションが開始する)ことがわかります。
PC対応のアケコンなどといった入力デバイスでもおなじことが確認できます。
ただし、この方法では1~2Fとズレがあって安定しないのが気持ち悪く、デスクトップキャプチャの録画品質にも疑問が残ることから、確実な調査をするにはもう少し良い環境を作る必要があると思います。
(上記はNVIDIAのShare機能でデスクトップ録画)
まとめ
とても長くなってしまいましたが、以上となります。
硬直からの虎身肘の最速発生は12Fである
硬直の最後のフレームに6を入力することで、例外的に6n6が先行入力可能
これを実戦で狙うのはかなり難しい
「6n6の2回目のレバーとボタンが完全同時で66技が成立する」というのは誤り
立ち状態においては、「ボタン入力のあったフレームから技モーションが発生している」というのは誤り
※先行入力時はこの限りではない
疑問点などありましたら、筆者のTwitterまでお寄せいただければ回答できる範囲でお答えいたします。
けっこうややこしい話だと思いますので、お気軽にどうぞ……。