備える編【社会人シリーズ】〜経済のことよくわからないまま社会人へなってしまった人へ〜池上彰
⬛︎あなたの掛け金が困った人を助ける
生命保険会社はお金の活用方法が2つある
①「保険」としての役割
加入者の身に何かあったときに、医療費や生活費を補助してくれる
受取人を誰にでも指定できる為、万が一の時大切な人を守るために加入することもある
⬛︎保険会社も金融機関だ
②投資をする金融機関としての働き
企業にお金を貸したり、土地を買ったり国債を買っている
銀行とは違い、お金の出入りが安定している
⬛︎掛け金には二種類ある
①積立型
払った保険の掛け金が積立られ、満期になると利子がついて戻ってくる
②掛捨型
満期払い戻しがない
一見、お金が戻ってくる積立型の方がお得に見える
景気が良く、保険会社の金利が高いのならば、積み立てておけば満期になった時戻ってくるお金が多くなる為得
しかし、今はデフレの時代の為の積立型の金利の金利が低く得をしにくい
⬛︎不景気の時は「掛捨て」でも
掛捨ては加入者から少しずつ集めたお金をどこかで困っている人のために使うという単純な原理の為、掛け金が安くて済む
掛け金は安くても何かあった時の保障はあるので、保険としての機能は十分果たす
⬛︎契約時の金利は変わらない
昔から加入していて、契約したときの金利が高ければあえて変更する必要はない
しかし、保険会社としては契約の時に約束した高金利を維持していると、実際の資金運用の成果より高い利子を払い続けなければならず、大変な損になる
金利をなんとか下げる為に、政府は過去に一旦約束した金利を引き下げることができる制度をスタートさせた
⬛︎保険会社は「引き下げ」を言い出さない
金利の引き下げができるのは、生命保険会社の経営が苦しくなった時だけ
しかし、金利を下げるということは自社の経営状態が悪化しているということを認めたようなもの
つまり、新規顧客の獲得が見込めず、契約者が解除する可能性もある
そのため、金利引き下げを簡単には言えない
これを「保険会社のジレンマ」という
⬛︎保険会社の体力を示す「ソルベンシーマージン」
銀行の健全性を表す基準として自己資本率があるように、生命保険会社にも体力の度合いを表す数字がある
「ソルベンシーマージン比率」という
これは支払い余力という意味で、予測を超えるリスクに対して、どれだけ支払い能力があるかを示す数値
⬛︎数字が大きいほど安心だ
計算式は複雑だが、簡単に言えば一般的に200%以上あれば、その保険会社の経営状態は心配ないということになる
⬛︎「円」を持つリスクもある
円で持っている財産が増えても、円自体の価値が下がったら自身の財産も減ってしまう
今国債を発行し、それを銀行が購入しているが、国債は国の借金のため、銀行に売れば売るほどいずれ返さなければならないお金が増える
国が破産すれば、円はただの紙切れになる
このような観点でリスク分散を考えるなら、円が価値を保っているうちに財産の一部を他の国の通貨に替え預金しておくという手がある
⬛︎自分で国際情勢も判断しよう
中国がめざましい経済的発展を遂げ、豊かな国になればら中国の商品は今ほど安くなくなる
すると、中国の商品(労働力を含む)を安くても飼っていた円の価値は相対的に下がる
そのため、円を持っていることにリスクを感じたら、自分で国際情勢を研究して判断する必要がある
・外貨を持つ際の注意点
生活上必要なお金には手を出さないこと
ペイオフの対象にならないということ
その他の方法として、証券会社で扱っている「外貨MMF」を利用することもできる
これは、証券会社を通じて米ドルのMMFならアメリカの、ユーロならばヨーロッパの国債や企業の社債を購入して運用するという方法
用語:機関投資家
投資家には大きく分けて2種類ある
①個人投資家
②機関投資家
業務として、投資を行う組織
外貨MMF
Money Marke Fund の略で、国債、社債等で運用する投資信託のこと
投資信託とは、専門家か一般の顧客の資金を集めて株に投資したりすることで資金を増やす仕組み
外国の国債や社債は、日本より金利が高いので、外貨MMFは高利回りであることが特徴