フロントエンド商品を見つけたUSEN
今日は不動産事業者目線でみる、USENについて。
多くの方にとってUSENは、有線放送を提供している会社として認識されていると思います。後はネット回線等を提供している会社というイメージでしょうか?
この有線放送はiTune等の登場以来、お店のBGMとして選択肢に選ばれる事がなくなり契約件数は低下の一途を辿っています。
そのような中、なぜかUSENの株価は順調に推移。
いまどきモンスター・チャンネルなど低価格な有線放送事業者もありますし、そもそも飛び込み営業自体が嫌われる風潮がありますよね。
それなのに売上も株価も上昇しています。
この事について不動産仲介会社なら気づいているかもしれませんが、USENが2つのフロントエンド商品を開発した事に端を発します。
1つは2018年2月に発売開始した火災保険「お店のあんしん保険」。
もうひとつは家賃の保証会社事業です。
お店のあんしん保険は、月額980円という低料金の火災保険ながら、施設賠償、借家人賠償責任などが付帯されている店舗向け保険で保証内容が充実しているのも特徴です。
実際、私もお世話になりました(加入2ヶ月目で階下に3000リットルほど漏水させてしまい、数百万の賠償金を払って頂きました。)
そしてもう1つが保証会社事業です。
USENは2020年4月の改正民法施行に伴い、事業用家賃債務保証の提供を開始しました。保証会社とは借主が家賃滞納した時、貸主に代位弁済(代わりに支払う)するという保証人的役割を果たすサービスです。
この2つの商品、実は不動産仲介会社の多くが代理店になって売りさばいています。またUSENの営業マンはこれらの契約時にお店に訪問する事を足掛かりにして、ネット回線や有線放送、クレジットカード決済など自社で提供している様々なサービスも同時に契約を取ってくるのです。
ちなみに火災保険のバックマージンは一般的な商品の2倍程度あります。
また保証会社を契約した場合のバックマージンも、契約賃料✕○%といった具合に。さらに勝手に追加契約してきた分までバックマージンをくれるので不動産会社にとってUSENはありがたい存在なのです。
つまりUSENは音楽配信だけではない、店舗の開業支援を軸にした企業体として変貌しています。
また顧客へのアプローチ方法として、不動産仲介会社に目をつけ、不動産会社が売りやすいフロントエンド商品を開発したことで、売上がうなぎのぼりという訳です。