OM-10を連れて(sd Quattro Hでフィルムデジタイズ編)
こんにちは。
前回の記事が「note編集部お気に入りマガジン」で取り上げられ、たくさんの人に見ていただけることになりまして、とても嬉しい限りです。
note編集部様、見てくださった皆様、スキをしてくださった皆様、誠にありがとうございます。今後もボチボチと記事を書いていきたいと思いますので、機会がありましたら見に来ていただけると幸いです。
さて、今回はいつものfpはお休み。
ふとフィルムで撮影がしたくなってOLYMPUS 「OM-10」を持ち出しました。
私が小学生か中学生くらいの時に譲り受けたもので、本格的なカメラとしては初めて持った機体です。その後、写真を本格的に始めた時にはデジタルが主流になっていたため、出番は少なめでしたが、思い入れのあるカメラです。
今回の写真は全てOM-10+ZUIKO AUTO MACRO 50mm F3.5の組み合わせで撮影しています。フィルムはKodak PORTRA 400です。
そして、フィルムのデジタイズ(PC上で編集できる状態に変換すること)にはSIGMA sd Quattro H + SIGMA 70mm F2.8 DG MACRO + NIKON ES-2を使用しました。sd QuattroシリーズはFOVEONセンサを採用しており、フィルムと相性が良いかなと思って選択しました。
早速写真を、と言いたいところですが、その前にフィルムデジタイズにまつわるお話をしたいと思います。
写真を見たい方は「では写真を」の項まで飛ばしてください。
フィルムデジタイズ
フィルムデジタイズする方法は私の調べた感じ、主に3つかと思います。
①写真屋さんにお願いする
②フィルムスキャナを使う
③デジタルカメラを使う
①はフィルムを現像に出した際に、一緒にCDにデータとして焼いてもらう(最近はスマホに転送してもらうこともできる)方法です。これが一番簡単、というか自分でやることは何もないので手間はかかりません。
私もずっとお店でやってもらっていたのですが、デジタルカメラの方でRAW現像するようになってから、JPEGでしかデータをもらえない事に不満を覚えるようになりました。JPEGでデジタル現像ができない訳ではないのですが、RAWデータに比べたら自由度は下がってしまいます。
加えて、写真の色味なんかは写真屋さんの調整に依る所になってしまいます。自分でデジタル現像を行うようになってからは、自分の好みの調整がしたいと思うようになっていましたから、なんとかならないかなぁ、と他の方法を探しました。
②は専用のフィルムスキャナを使う方法です。
自分でフィルムデジタイズを行う中ではメジャーな方法かと思います。
フィルムホルダにフィルムをセットして、スキャナにかける。これだけ書くと簡単そうですが、調べると「ピントが合わない」「埃が入りやすい」などの問題があるとのことが判明。
さらに、高性能なスキャナはお値段がはる。
それに、それほどフィルムで写真を撮る頻度が高くないのに、専用機を置くスペースももったいない。
ということで、この方法は諦めました。
そしてたどり着いたのが③の方法。
デジタルカメラを使用して、フィルムを直接撮影し、デジタルデータにする方法です。この方法なら、前述のスキャナの問題点をクリアすることができる。さらに、機材も安く、省スペースで済む、一石で何鳥も落とすことが可能になります。
デジタルカメラでフィルムを撮影するための機材は「NIKON ES-2」を選択しました。
使い方は簡単。カメラのレンズにつけて、フィルムをホルダにセットし、撮影するだけ。
と、書いてみましたが、イメージがつきにくいかと思いまして、図にしてみました(概略図ですので、実際の製品とは形状が異なります)。
ES-2の径と70mm MACROのフィルタ径が異なるため、間にステップアップリングをかませてあります。ES-2推奨レンズ・カメラを使用すればこちらは必要なくなります。
そういった形でフィルムを撮影したものがこちら。
PORTRA 400はネガフィルムなので、色が反転しています。
そちらを編集ソフトで戻して、色を調整して、不要な部分をトリミングして。
こんな感じ。
ここまで来るのに大変でした。
何せ「撮影するだけ」と一言でまとめましたが、フィルムをホルダにセットして一コマ一コマ撮影するのは慣れないと結構手間取ります。
そしてネガの色の修正も大変。単純にネガポジ反転だけでは思った色にならず、色温度やら各色トーンカーブやらをいじってなんとかこういう形に持ってきた次第です。
これまでフィルムしかなかった時代に写真をやっていた人や写真屋さんの苦労に思いをはせつつ、撮った写真を見ていただく事にします。
では写真を
フィルムで撮った写真にはなんとも言えない味があります。
やはり光をアナログ情報として受けている分だけ、デジタルでそぎ落とされてしまう部分が表現されているのかな、と思います。
ただタイルを撮っただけなんですが、なんとも情報量が多い気がします。
撮影する時の目の付け所はFOVEONと同じような気分になります。
今、フィルムで撮影する理由
デジタルカメラが主流になり、その後の性能向上はめざましいものがあります。解像度や色の再現度など、画像としてはフィルム以上のものになっている部分も多いと思います。それに、撮ってその場ですぐ見られる、何枚も撮れる、ミラーレスなら露出を事前に確認できる・・・。利便性ではデジタルが明らかに勝っています。
それでも、フィルムで撮りたいなぁ、という時があります。
単純にクラシカルな物に触れたい、不便を楽しみたいといったノスタルジーへの憧れが一つの理由かと思います。フィルムを巻き上げるときの感覚や、撮った時にはどう写っているかわからないドキドキ感なんかですね。
もう一つはやはりフィルムそれ自体の画質を求める時です。先述しましたが、フィルムではやはりアナログ情報ならではの写し撮りができます。センサが高性能になって、高画素化しても、フィルムの写りを完全に再現しているといえるデジタルカメラはまだ無いと思います。
それに、フィルムで撮るなら早いほうが良いと思うのです。
デジタルカメラが主流になり、やはり、フィルム自体は少なくなってきています。価格も大分高くなっています。
フィルムが完全に過去の物になってしまう前に、体験しておくことも一興かなと。デジタルでは撮れない物が撮れるかもしれません。
この後の撮影で、私のOM-10は故障してしまいました。
幸い今回は修理でなんとかなるものでしたが、やがてそれもかなわなくなるでしょう。何事にも終わりは来るので、その時まではできることをしようと思うのでした。
皆さんも今できることを。