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凡庸”レンタル”雑記「PSYCHO-PASS  PROVIDENCE」

Amazonプライムビデオで「PSYCHO-PASS PROVIDENCE」を観た。

映画館で上映していた時、大好きなPSYCHO-PASSシリーズなので、絶対観るべしと誓っていた。が、やっぱり映画館では早々と上映が終わり、見逃してしまった。

そのうち、数ヶ月か数年後には、AmazonプライムかNetflixで配信されるだろうと、諦め時を待つことに。そうして、数ヶ月後Amazonプライムで有料配信が始まった。

でも、姑息ながら、もう何ヶ月か待つと、無料(正式には会費を払っているから違うのだけど)で、配信されるやもしれない。そう、我慢。

だけど、やっぱり、この一人の正月休み(離婚とか物騒な話でなく家族はこぞって田舎に帰省中)こんな時にしか、大っぴらにリビングのテレビにfireTVを繋いで、快適に鑑賞することができない。そして、何よりも暇だ。などなど、理由をこねくり回し、個人的には少々お高い五百円で、レンタルすることにした。Amazonプライムで。

近所の、大手レンタルショップが軒並み潰れていた。少し前ならば、意を決して、自転車に乗り仮に走っていた。おまけに、人気作だと、全て借りられ玉砕なんてことに。それが、ポチッとするだけで、確実に観られるのだから、厳しくなるのは必然だろう。少し寂しいけれど。ちなみに、併設していた本屋も消えていた。こちらは、ショックを受けるほど寂しい。

さて、話は戻り。

せっかくの「PSYCHO-PASS」新作。この、ハリウッドのSF大作かと見紛うほどの品質。(人によって異議を唱えるかもしれないが)こちらとしても、本気で観なければ、申し訳ない。それに、五百円もかかっているからね。(姑息)

陽の光が入らぬ様ように、カーテンをすべて閉め、電灯を消し、TVの前に座椅子を置いて、いざ、鑑賞。映画館とは行かぬとも、それに近しい形で集中して観ることができるように準備。

予定通りというか、やっぱり、初めの一瞬から、もう、いいに決まっている。そう思えるほどの、内容。絵にしても、動きにしても、演技にしても、何にしてもちょっと一味違う。

ファーストが超名作だから、それ以降の作品は色々と言われてしまうが、この作品全体作りの良さにほいつも感心させられている。

この作品、相変わらずよく練られた脚本で、全く飽きせない。それに嬉しいのが、一見別の物語の様だったシーズン3の関係性が見事に繋がったこと。

なんたって、シーズン3で、大好きな常守朱が、刑務所に入っているのだから、どうして?なぜ!とびっくりしたが、それがどうしてなのかこれではっきりとした。

それと、シーズン3で主人公的に扱われていた、3名の立場と関係性もはっきりと。

こうして、PSYCHO-PASSは円環しているのだと、作者の頭の良さを実感した。ただ、話の途中で、必ずと言ってほど、聖書やら哲学書やら、小説やらの引用が差し込まれてくるのだけど、バカな僕にはちょっと辛い。

今回も問題なく、僕は楽しめた。やっぱりこんな作品は日本にとって必要だ。意識して社会問題や、人種問題、それを踏まえた人の幸福の方向を、強固なSFで作り上げることは、創作活動の質を一つ上に引き上げるに違いない。

大人な作品を何も引かず、大人気なく突っ込んでいく姿勢。それが、アニメどころか、日本の創作を広く深く育んでいくだろう。ハリウッドの模倣とか、平和ボケの日本人の戦争ごっこなんて、後ろ指を刺されて、グサグサとなってしまうかもしれないけれど、出来れば、数年に何作かはこんなものを作って欲しい。

閃光のハサウェイなんかもそうだった。あんまり面白くて2回観た。僕には珍しく。次回作がとても楽しみ。早く出来ないか。

なんて相変わらずかっこつけのアホ話。

内容はともかく、まあ、まともな内容説明なんてきない。ただ、この作品のすごいところ、一番の肝は”声”。

なぜか全体を覆うように、深くて重いベールが被さっている。”気合”?みたいなものが。誰もが愛おしく、狂おしく、演出し作り上げていることに専念している。

その象徴として、よく現れているのが”声”その抑揚と響き。物語の臨場感と切迫感を表している。主人公の一人、狡噛慎也の関智一は相変わらずカッコ良い。びっくりするのが、ひ弱な青年の声が、櫻井孝宏なんだから。それと、妙にしっくりと色っぽい唐之杜志恩役の沢城みゆき。いつもより本格的に色っぽいのがこの物語の深みを感じたりしたりして。

さてと、ここから本命。常守朱の声をやっている花澤香菜。

これは、完全に、花澤香菜がやっている役なんてものでなく、常守朱の皮膚に花澤香菜の命がへばりついているほどの、生命感がある。(下品な表現か)

可愛らしい風貌で、柔らかな、かわいい女性などの声を行っている彼女とは裏腹に、抜き差しならない現実の中で、苦悶しつつ、それでいて自信を持って決断し前進する世にいう大人の女を演じている。

初め、こんな女性を彼女が演じることに違和感を感じた。ただ、過去にも少々黒く落ち着いた女の子を演じて、それに、感銘を受けた。きっと、愛らしい声の奥には、裏には、力強く頑な創作力が息づいているのだろう。

そうでないと、声優の世界の一線を画す存在にはなっていない。なかなかの食うわせものの天才。

ただ、残念ながら、徹底してPSYCHO-PASSシリーズで、感動を与えられた僕は、彼女の他の近年の作品で、全く、触手が働かなくなってしまった。どうも、どんな声でも、常守朱の声を思い出し、素面に戻ってしまう。

本当は、他にも彼女に同じような”大人の女”を演じて欲しいと願っている。そうなると、PSYCHO-PASSレベルの濃厚な作品が必要だから、今の状況では厳しい。それほどの才能。それ以上に資産が必要だから。

なんだか、話が変な方向に行きそうなので、こんなところで終わり。

もっと細かく、深い、批評は巷にたくさんあるので、そちら、プロにお任せして、僕としてはとにかく花澤香菜の”声”が良かったと言うところで。

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