凡庸”レンズ”雑記「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」写りの素晴らしさと痛み
名レンズの名を欲しいままにしている
前から欲しかったNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sを手にいれた。このレンズで、ひとまずカメラ・レンズ沼から脱出だ。正直、他を買えるほどの財力がないだけの話だけど。
日々の労働の対価で、小金が転がり込み、楽天ポイントがそれなりに貯まり、タイミング良く、手頃な値段の中古が楽天で見つかった。そして、衝動買いをしてしまった。
正直なところ、他に欲しいものが色々とあり、どれにしようか散々迷った挙句、考えるのがつくづく嫌になったから手を出してしまった。そんなところ。スタンリー・キューブリックの映画でそんな題名の映画が。同じく僕も、あれこれ考えるのをやめて、思考を停止し、前々から心に決めていた、Nikonでは評価がすこぶる神がかっている、この単焦点レンズを愛することにしたのだ。
重いか大きいか
愛用のNikon Z6につけてみる。初見として、想像以上に、かなり重く大きくなった。これはわかっていた事なのに。それなのに、やはり重い。かなり重い。今までプラスチックの塊の40mmを使っていたので、雲泥の差。
大砲と言っていいぐらいの迫力と存在感。否が応でも、こんなでかい顔しているのだから、きっと、絶対、胸がすくような写りをしてくれるのだろうと期待する。とにかくこれだけでかいのだから。
デカい重いなんて、ぐだぐだ文句を言ってはいけない。この重さと大きさは信頼の証。それを、信じ、期待して、このレンズを買った。なんたって、写真家の上田夫妻が、一本選ぶならば、このNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sと言わしめた、すごい、レンズなんだ。
それに、この間YouTubeを見ていたら、うら若い写真系女の子のYouTuberが、NikonZfとこのレンズを組み合わせた、スナップ写真風景を配信していた。その時彼女は、多少大きいが、持った感じはとても軽い。これで、この写りだから、もう最高!とベタ褒めしていた。
僕は、十分重くてど肝を抜かれてしまったが、人によっては天にも昇るほどの軽さなのだろう。僕も、使っているうちに慣れるのだろうか、軽く思えるようになるのだろうか。
兎にも角にも、やっとの思いで手に入れることができた。これからこのレンズをつけっぱなしの主人公扱いとして、メイクドラマを繰り広げてやったろうではないか。結果、この重さと大きさの意味と価値がわかってくるだろう。きっと。
メイクドラマを心おきなく
さっそく、満開の桜を撮りに行く。
久しぶりに晴れ渡った空の下で、輝く桜をようやく撮ることができた。
夢中になって、写真を撮るのは久しぶり。とにかく殺人的に仕事が忙しく、気持ちの余裕がない日々。体力も限界。絶賛、絶不調。古傷の腰痛がぶり返し、数日ぶっ倒れていた。今でも完全には回復していない。そんな体を鞭打って、騙し騙し生きている日々。しかし、こんな多少の困難など、楽しい楽しい写真撮影なら別腹。胸を膨らませ、撮影におもむき、シャッターを押す。
陽が翳るまで、夢中で写真を撮っていると、日頃の悩ましい現実が、桜の花びらの如く、はらはらと吹かれて落ちて、気持ち晴れやかになる。三文小説のような言葉が浮かぶ。
浮世の重みを脱ぐ趣味の価値
趣味が必要か否か、人類が知性と組織を得てから続く、重大かつ永遠の課題。結論はまだ出ていない。生きるためには(銭を稼ぐには不必要)、いやいや、本当に人として獣から一歩抜け出たそん際になるたためには、絶対的に会得すべき至宝。うんぬんかんぬん論争列車は突き進む。
我が身を振り返るに、やはり、趣味は必要ではないか。それどころか、人は本来、心を透き通らせ、喜びと自由を満喫することができる趣味のみを行うべきだと、考えてしまう。(ちょと仕事をすると息切れして、疲れ、怠惰になるのに、趣味となると、噴出する情熱で疲れを忘れて、脱兎の如くなれるのが、証明しているではないか!)
そんな戯言はさておき。
期待通りの良き伴侶
期待通りの超精細、出てくる絵は癖ない、スッキリ感。レンズの基本を具現化した、まったき良きレンズ。名だたるカメラの盟友たちが、諸先輩たちが、口にするだけはある。あっさりとした表現で、おもろさも何もないが、何もない良さが、クセのない優等性ぶりが、このレンズの好感の全て。
慎ましく傍にいて、必要な時に間違いなのい描写を差し出してくれる。そこんところの奥ゆかしさが素晴らしい。これからの、良き伴侶としては、大正解。
が、かなり厳しい現実が
が、いいことばかりではないのが世界のことわり。軽量短小の40mmを使っていたときは全く影響がなかったのだけど、この、強大重厚なレンズを付け、鼻息荒く街を闊歩し撮影をしていたら、かれこれ半年は悩まされている、右親指付け根から手首あたりの腱鞘炎の痛みが、ジンジンひどくなってきた。こりゃいかん。
これは、かなり厳しい現実。
多少の困難は乗り越えて
この素晴らしい描写を、今更捨てるなんて愚行は考えもつかない。と言うか6万以上大枚はたいたのに、放すわけには忍びない。許されない。そして、腹だたしさこの上ない。かくなるうえば、少しでも早く腱鞘炎を克服するためにYouTubeで、完治の術を調べるつもり。もちろん、医者にも行くけれど。
これが、ようやく手に入れた、名レンズの名を欲しいままにしているNIKKOR Z 50mm f/1.8 Sの所感である。