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凡庸”写真機”雑記「GRにいたる病」効果的なワクチンの無い抗う術のない病
左膝が終了してしまう
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時々無理すると調子が悪くなっていた左膝が、この間から完全に終了してしまい、まともに歩くこともできなくなった。
まったく歩けないことはないから、大袈裟なことでは無いかもしれないが、今まで何不自由なくせっせと歩いていた身としては、結構、ダメージを受けている。
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写真はひたすら歩くこと
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ご存知の通り僕の趣味は写真を撮ること。それは、ひたすら歩くことと同義。まともに歩けなくなるのは、趣味の存亡にも関わる一大事だ。
特にメインのスナップ撮影は、どれだけ歩けるかで出来高が変わる。凡庸な才能の僕は、ひたすら歩け歩けと、数打ちゃ当たるを実践し、距離と時間をかけるしかない。
だから、撮影し始めたら、一度も休む事なく何時間も歩き続け、撮り続けている。
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歩けない写真家は役立たずの人間
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この膝の痛みは、自業自得なのか天罰なのか、神のみぞ知るだが、せめて無理せず気遣いながら歩けばよかったと反省が湧く。でも、学生の時のバイクの事故が一番の原因だろうが。
いつもは、イタイイタイと膝が疼いていても、数日すれば魔術か魔法が解けるように、消えてなくなるのだけど、今回は感じとして結構痛みが長引きそうだ。
「飛べない豚はただの豚」という名言があるが、まさに、「歩けない写真家は、役立たたずの人間(写真家)」
そんな、言葉が頭の中に漂って、あゝもう人生終わったなぁなんて、悲観に暮れてしまう。
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歩けなくなった写真家は
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もし、まともに歩けなくなったら、いかがしようか?ちょっと思いを巡らせる。
土門拳や竹内敏信などの写真の大家ならば、弟子が車椅子を押して、どこかの国宝や山河に連れて行ってくれるだろうが、絶対的にそんな存在にはなれないことは、残りの人生の短さを数えるに分かりきったこと。
それなら、自分の足や体が駄々をこねない範囲で、写真を写すという行為を行わなくてはならない。
一番手っ取り早いのが、今のNikon Z6を売っぱらって、写真を辞めちゃうことだけど。これを言っちゃおしまいか。
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世の中には小さく軽く良く写るGRがある
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この世にはGRと言う写真機がある。潔い単焦点のレンズはキレとコクが有り、全てを美しく表現する。これ以上も以下もない簡素な筐体は、絶妙にポケットに入るの大きさと、軽さを持つ。
写真機に一言ある諸先輩方々がこぞって手にするのも分かる。分かってしまう。素晴らしいスナップカメラだ。
前に、価格コムでこのカメラの評価を読んでいたら、体を壊して重いものを持って歩けなくなり、そのためにこのカメラを買った。と、書いていた。
これ以上膝の具合が慢性的に悪くなってしまったら、いよいよこの僕も、”GR”作戦を取るしかないか。と、考えてしまった。
少しでも軽く、小さく、それでいて芸術家(?)になれるこの写真機。やっぱり、人生の伴侶としての選択の一つとして、心に留めておかなくてはと妄想してしまう。
僕もかなり昔、GRを使っていて、まあ、GR digital IIと言うちっちゃいコンデジセンサーのものだったけど、スナップで使っていたら本当に楽しかった。
でも、腹立たしくも哀しくも、一年ぐらいでセンサーにゴミが付き、この問題で写真機としての信頼性が信じられなくなり手放してしまったけど。
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効果的なワクチンの無い抗う術のない病
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そう僕は、年に何回かGRを渇望してしまう。欲しくて欲しくて価格コムを何度も見ては、夢想している。しかしGRはびっくりするほど高い。あんな単焦点のちぃちゃい写真機なのに。
あれこれ考え思い悩み、結局ズームやら何やらつけれる一眼レフのが絶対良いと言う結論になる。それは、写真家として作品の評価と称賛を望む拭えない欲望の結果。写真創作者としての諦められない渇望。それら、捨てられない希望のため、一歩踏み出せないでいる。
しかし、何度諦めていても、性懲りも無く、年に何回かGRが欲しいという衝動に取り憑かれてしまう。
そうこれはきっと、「GRにいたる病」に違いない。僕は、まんまとそれにかかってしまった。この、効果的なワクチンの無い、抗う術のない病に。
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病を抱えつつも、良き伴侶のNikon Z6と共に
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しかし結局、まずほとんど絶対、せっかく右往左往しながら、無い金をかき集めて買ったNikon Z6を手放すことなんてありえない。GRを娶る勇気は心の中から引きづり出せやしない。それに、Nikon Z6は良き伴侶として、気に入って愛おしい。
当分はこの正妻と写真の旅を紡いでいくつもりだ。
とりあえずは、少しでも軽くするために、単焦点のレンズでも買ってしまおうかと、考えている。NikonのZ40mmf2あたりがいいか、思い切って50mmf1.8か。
ちなみに、この写真。NikonのNX Studioで現像してみた。あっさりしているけど、Nikonらしいすっきりとした絵になった。物足りなさも感じるが、とにかく透き通った空の青や、日に輝く紅葉の草木がとびきり美しく、いい塩梅だ。僕は好きだ。
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