「魅惑の心理」マガジンvol.260(嫌な記憶は心に残る)
誰かが自分に対して言ったネガティブなひとことがずっと心の奥に残って忘れられない。特に夜になって、ベッドに入るとそのことを思い出す。あの人は「なんで自分にこんなことひどいを言うのか」という気持ちが湧き上がる。正面向かって言われたわけでなく、会話の最後にまるで本音がポロッと落ちたように言うから、きっとあれは本心に違いない。でも、言ったあの人が悪いのではなくて、そういう部分を抱えた自分が悪いのだ。悪いのは自分と無意識にため息をつく。気にしないようにしようと思っても、まるで心に鋭利な刃物でその言葉を刻まれたよう、冷たくなった石のようになった心に、その言葉はずっと刻まれている。
嫌な記憶はずっと心に残る。
昔、私はそんな性格だったと思います。
誰かに言われた厳しい言葉、自分が言ってしまった発言、行動。あのとはもっとこんなことをしたらよかったのに。
記憶を無くす消しゴムがあったらどれほど楽か。
星座の占いか何かで「あなたは努力家で前向きな性格」と書かれた言葉を受け入れられず、その言葉にも反発し、それ以来、私は星座占いを信じなくなったと思います。
ところが面白いことに、時が経ち今の私は全く嫌な記憶を残さないでいられます。いや、嫌な記憶はたくさん残っています。でも、気にしなくなったというほうが正解かもしれません。今回は嫌な記憶が心に残るメカニズムと、その形から抜け出して生きやすくなる方法について考えていきたいと思います。
日本人は基本的にネガティブな傾向になっていて、前向きに物事を捉えられない人が増えています。
そもそもなんで嫌な記憶が定着しやすいのでしょうか。
これには人の機能が関わっていると考えられます。
大きな影響を及ぼしているのは防衛心です。
人には嫌な記憶、危険な記憶を覚えておくことで、次にその状況に遭遇した場合、それを回避しようとするシステムがあります。危険を回避するめに備わっているものです。この防衛心が強すぎる人、不安な感情を強く持っていると、この部分が強化されてしまいます。適度にこの機能が働くと、危機管理に働きますが、過度に機能してしまうと、自分を苦しめるものになってしまいます。特にネガティブ思考が強い人、物事の悪い部分がついつい気になってしまう人は、この嫌な記憶を強く記憶してしまう傾向があると考えられます。
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