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「魅惑の心理」マガジンvol.259(ニュースな心理学/2024年12月)

毎日、たくさんのニュースが報道されますが、その中に見える興味深い人の心理について解説するニュースな心理学。心理学の視点でニュースを見るとまた違ったものが見えてくるかもしれません。謎に満ちた人の行動、その中に何かしらのメカニズムを見出せば、私たちの日常にも役立てられるかもしれせん。

では今回のラインナップです。

・「なぜ殺した?」スーパー侵入のクマをめぐり苦情が多発
・兵庫県の知事選、PR会社社長の心理
・都職員の週休3日の導入を都知事が表明
・カンドゥーの値上げ戦略
(追加)・韓国非常戒厳令に対する著名人の反応からその人が見える

・「なぜ殺した?」スーパー侵入のクマをめぐり苦情が多発

秋田市のスーパーに侵入し、男性転々を襲い、肉売り場の食品を食べ、居座ったクマは捕獲されて殺処分されました。毎回そうですが、市には「なぜ殺した?」という苦情がたくさん来ているようです。

一般的に苦情には「謝罪を求めるもの」「共感してほしいもの」「改善を求めるもの」があります。クマを殺処分した苦情は「クマがかわいそう」と言うものや「生かして山に帰せないか」という共感や改善をもつめるものです。クマは学習能力が高く、一度、スーパーで食品が出に入るのを知ると山に返しても戻ってきてしまうと可能性が高いと言います。

以前、北海道ではクマの処分に対して「1時間以上、抗議を受けることもあって、電話対応だけで忙殺された。中にはうそつき呼ばわりする人や泣き出す人もいて、説明を聞いてもらえないこともあった」ということもありました。

なぜ、毎回こんな苦情が集まるのでしょう。

クマは自然に生きている動物で、私たち人間が生活範囲を広げていく中で、クマの生活環境にも人間が進出しているもしれません。クマはむしろ被害を受けている側で、人間が殺すなんてかわいそうだという思考はわかります。このようにたとえば「わいそう」「けしからん」と強く感じると、自分の感情は正しくて、行政が間違っていると思い、意見を言いたくなる気持ちが生まれます。今はインターネットで行政の連絡先が容易にわかります。何かを言いたくなった瞬間、その欲求を解消する方法があることが、この行動をエスカレートさせています。

また、厄介なことに人は何かを利用して自分の欲求を晴らそうとすることがあります。日頃から社会や行政に不満があると、このクマの駆除がトリガーとなって自分の不満を晴らそうとする行動を取りがちです。苦情の電話は匿名でできます。人は匿名になるとさらに行動が冷酷になったり、過激にエスカレートする傾向があります。

まちもうひとつ大きな問題が人の認知に隠されています。
それは

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