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好きなことを極める大事さ(自分ブランディングの原点)

私は競争心が強かったらしい。
自分の認識に反して、友人たち言われることがありました。
確かに振り返ってみると、何か言われると対抗意識が出て、よく言い返していたことを思い出します。口で自分が優位な状況を確かめようとしていたのかもしれません。
端的にいえば自尊感情やら自己肯定感が低かったのです。
自尊感情は自分が価値あると思う感覚。自分で認められないから、他人に認めてもらいたくて仕方ないのです。

私は自分がやりたいことをやるためにはまず技術が必要だと思い、創作活動でも自分の苦手な洋服のデザインを勉強しようと、洋服のデザイナーが集まるある企業の企画室に就職しました。勤務して数日目、デザイナーと営業に付いてお客様のところに同行。いわゆる現場研修というものです。そのとき、そこでお客様から「君の会社、キャラクターデザインできる?」と言われました。営業は持ち帰って、デザイン室に相談したのですが、キャラクターが描ける人はいないので、断ろうとしていました。

ずっと我慢していたのですが、私は思わず「私にやらせてください」と口から出ていました。デザイン室長も悩んでいたのですが、面白いからやらせてみようという結論になり、キャラクターを描かせてもらうことになりました。入社後、たぶん3日後ぐらいに初めてもらった仕事だったと思います。

やることになったのはいいのですが、納期は1週間ぐらいしかありません。どうしても納得いく見栄えが良いものが出来上がりません。どうしたらそれらしく見えるだろうと描いては消して、消したは描いての繰り返し。そして仕事から帰ってきたら、3日ぐらいほとんどで寝ないでなんとか仕上げました。結局、作品を5案ぐらいを会社にもってくことができたのです。そして自分の不安とは対照的に、デザイン室の評価は概ね好評だったと記憶しています。なんとなく期待感をもって客様のところに行きました。

そのイラストを見たお客様は一言。

「君のところでキャラクターデザインが無理なのはよくわかったよ」

といって机にイラストの封筒ごと置いた。ほんの数秒しか見てもらえなかったと思います。お客様は描いた人間が営業の隣にいるとは思わずズバッと言ったのです。

私はできるだけ顔に出すのをやめようと懸命に顔を作っていたが、心の中はただ悔しさが、悔しさだけが広がりました。笑顔だけは崩さないように意識していましたが、たぶん愛想笑いになっていたと思います。そして自分の技量の無さをただ呪いました。そして、出しゃばったことへの恥ずかしさと、申し訳ない気持ちで溢れていました。

しばらく、なんだかよくわからない気持ちだったのですが、しばらくして、まず、なぜダメだったかを冷静に考えようとしました。

最初に考えつくのは「自分の技術の無さ」。
これは間違いない。人を感動させるには気持ちだけでは無理かもしれない。それには間違いなく、文章でも、絵でも、表現力を磨かなくてはダメたど思いました。そもそも私はこの会社に、そんな技術を学びに来たのだと思い出すのです。「よし技術を学ぼう」と改めて確認したのです。

でも、それだけで大丈夫なのか?

私はそんな思いがしました。自分がなぜこの仕事をやらせて欲しいと思ったのかを考えてみたのです。私は単に会社で認めてもらいたかったことに気づきました。そして、見栄え良いものを求め、イラストを「置き」にいったのです。形を整えようという思いでした。

そこに「人を感動させたい」その気持が欠落していたのです。

これで人の心を動かせられるわけがない。

自分はキャラクターを描くのが好きです。なぜ、それを追求できなかったのか猛省しました。私が描いたのは、お客様でも、ましてや自分の真の目的のためでもなく、ただ社内での「評価」というとても浅ましくつまらないもので仕事をしたのだと思います。たぶんそうでしょう。

それから、私は気持ちを切り替えて、楽しみながら学び、学んで楽しもうと考えをそっくり変えることにしました。

もともと色に興味があった私は、自分の好きなものを極めようと色の知識をひたすら集めて、デザインの現場で検証していきました。文章の表現力や、苦手だった人体画の練習をして、苦手意識を減らそうと考えました。今でこそ心理学的に長所を伸ばすべきなのは知っていますが、当時は弱点改善の方にこだわっていました。そこから、自分の強みを活かしていこうと、舵を大きく切ったのです。

それからしばらくして、ある大きな仕事のプレゼンに参加することになり、デザインの担当になりました。かなり華やかな場所の制服のプレゼンでした。大きい場所の制服は百貨店や大手服飾メーカーがみんな押さえています。うちのような小さなメーカー兼販売会社ではなかなか勝負にならないこともありました。何年かに一度、挑戦していても通らず、会社としては名前も大きく欲しい仕事だったのですが、プレゼン相手が強大だったので、負け戦と思っていたのかもしれません。もしかしたら、何か起爆剤として考えていたのかもしれないです。営業も同期の新人でした。1年目の営業と1年目のデザイナーだから、やっぱり、そんなに期待感はなかったのかもしれません。

私と営業は土日の誰もいないデザイン室で、作戦会議を立ててました。私は世界観やコンセプトを作るのが得意で、何よりも好きでした。コンセプトを作り、服を売るのではなく、服を通して世界を作ろうとデザイン、コーディネイトを考えました。休日出勤でもめちゃくちゃ楽しかった仕事でした。楽しみながら、お客様が喜ぶ姿、その場所で働く人が笑顔になり、利用する人が笑えるようなイメージを作っていきました。

そこに「会社からどうみられたい」みたいな気持ちは微塵もなかったのです。

企画書を作り、お客様に見せました。開口一番「そう、これ、これだよ」と喜んでもらえました。担当者が自分がイメージしている形に一番近いと言われ、大手他社とのプレゼンよりも優位になったことがわかりました。

結果、このプレゼンには勝つことができました。社内の評価がそれでガラリと変わりました。先輩たちが急に親しい感じで近くなってきました。が、そんなものはどうでも良かったと思います。自分は自分が楽しいと思うこと、好きなことを極めていって、それが形になることの気持ち良さを知ってしまったのです。

すると勉強も仕事もより好循環で動いていけました。
「好き」を極めていくと、その先にあるのは「武器」だと感じました。

もし、自分の武器がないと思われている方は「好き」を突き詰めていくのがひとつの道かもしれません。私はたまたまかもしれないです。でも、そんな道があることも知って欲しいと思います。
道はきっとたくさんある。ひとつじゃないのです。

どうせなら、好きなこと、たのしいことをやっていきたい。
あなたもそう思っていませんか。
心理学や脳科学の視点から考えても、その方向は間違っていません。
「今に見ていろ、見返してやる」
そんな思いがあるなら、怒りや嫉妬の気持ちを、好きなことを少しでもやる時間に振り分けたほうが良いと思います。楽しく突き詰めた方が良いでしょう。たぶん、ここで私はポーポー・ポロダクションの原点を学びました。これがポーポーというブランドの原点だと思います。そうそうプレゼンにはあり得ないぐらい遊び心を入れました。従業員の人が私がデザインした服で仕事をしている。私の遊び心ギッミクを活用して、楽しそうにしながら。

武器はきっとあなたを救ってくれる。そして誰かも救える強さを持つ。

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