#101 髙森美由紀「藍色ちくちく-魔女の菱刺し工房」
2024年度の神奈川県公立高校入試の出題された小説。入試で使われた箇所もだいぶ泣けるのだが、それ以外も感動的な場面あり。
菱刺しという青森県に伝わる手芸が様々な年代の登場人物をつなぐという構成で。高校生の進路選択、結婚、親の介護、大切な人との死別、これらの悲しみを菱刺しが癒す。
人の数だけ悩みがあり、それを誰かに完璧に伝えることはできないし、他の人の痛みを理解しきることもできない。
どうしようもなくなったとき、菱刺しのように逃げ場があるというのはすごく幸せなことなのだと思う。