【#32】尾崎翠「追憶のため息」
昔は良かったなぁ。
こう言った懐古趣味、ノスタルジーは良くないものだとされることが比較的多い気がする。
だが、尾崎翠の随筆、「花束」ではそういった“追憶のため息”は人生にとって必要なものだと書かれている。
人はいつだって「今」を生きている。積み重ねたいつかの「今」が今につながっている。そして、今日目の前にある「今」が、どこか未来の「今」へと通じている。
そうやって「今」を懸命に生きるときに、「あのころはよかったな」と、かつての「今」に思いを馳せることは決して悪いことではないじゃないか。
尾崎翠さんは優しい。
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