大腸内視鏡検査(前編)
自動配車アプリで呼んだタクシーを待ちながら、ぼんやりと冬の寒さも本番になってきたなと指を震わす。
2021年12月14日、埼玉の某病院で内視鏡検査の洗礼を受けている。
朝9時には病院入りを果たし、診察券と保険証を提出する。普段では考えられないほどスムーズだ。
まず起きることに成功している。
すぐさま血圧の測定をするように促され、それが終わると息つく暇もなく下剤の前に案内された。
今日は血圧がいつもより高かった気がする。
そんなことを考える余地はあまりなく、下剤の説明をされる。
モビプレップという名前らしい。
名前は可愛らしいが、なんとも受け付けない。
2Lあるそれは、早く飲めと言わんばかりに主張している。
どうやら1時間で下剤1Lと持参した水500mlを飲む必要があるらしい。バカか?
看護師「飲めますか?」
俺「はい(飲む以外の選択肢ない)」
こんな通過儀礼のやりとりを毎回してるとしたら、正気の沙汰じゃないと思う。
説明を受けた後、数秒の覚悟の時間を取り、嚥下する。
味は塩気の強い、甘味の薄いスポーツドリンクだ。
正直に言ってかなりマズい。
9:20に飲み始めて50分で1Lを飲み切った。
30分ぐらいしたところで既に便意が来ており、2回ほどお手洗いに駆け込んだ。
後500mlと水250mlをあと30分で飲めと追加攻撃が来てほどなくしてその半分を流し込んだ。
お手洗いに入る度に、これまで見たことのない量と勢いの水が自分の尻から流れ落ちた。
大小の区別はそこにはなく、前後の排出の違いしかなかった。
勿論羞恥もなくなっており、検査に伴って腸内洗浄が成功していることを認めてもらうために看護師に俺の排泄物を見てくれ!と2回も依頼した。
今思えば恥ずかしいことだが、そんな余裕はなかった。
2回目の依頼でOKとの返事をもらいホッとする。
下剤が回収され、検査を待つのみとなった。
待ち時間では、検査後に何を食べるかしか考えられなかった。
前日は卵粥と豆腐と卵しか食べていないし、夜9時から緑茶しか飲んでいない。フラフラだった。
(後編に続く)