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私がイスラム教徒を助ける理由①食の制限がある人との出会い

訪日イスラム教徒専門の旅行会社&OTAの Xpathを運営しているKanaです。
外国人に向けての情報発信だけでは足りないと感じ、noteを始めました。
イスラム教徒に向けた活動をしている日本人の方と繋がれますように。


ということで今日は私がイスラム教徒を助けたい理由について書いていこう。
日本は宗教に対する拒否反応も強く、訪日イスラム教徒を助けたいなんて書いているだけでちょっと怪しい人だからだ。

でも心配しないでほしい。私は無宗教だし、日本の文化が何よりも大切だ。

昨今インバウンドによる観光公害や、日本に移住してきた人たち(イスラム教徒含む)による問題が声高に騒がれているが、
日本人としてこの問題も許容できない。

なぜなら“郷に入れば郷に従え“だと思っているからだ。

日本大好き

食への制限がある人との出会い

元々英語や外国語に関することが好きだった。
中学校の時に父の仕事で香港に移住し、その後英語を使って学ぶ姿勢を大切にしている高校に入学。外国語大学では国際関係を学んだ。

そんな私はひょんなことから、新卒で台湾のエバー航空にCAとして入社。
日本大好きな台湾で、文化もそこまで遠くないこの国で働いてみてまず驚いたのは

食への制限がある人が意外と多いという事実だった。

台湾では仏教の教えから、不殺生(肉を食べない)・五葷抜き(にんにくやニラなど香りの強い野菜)を含まない精進料理を食べる人が多い。

乗客は事前に特別食として注文するので、CAの私はそれを一つずつ確認し、手で配っていく。

お隣の国でありながら日本ではほぼ見られないこの食事へのこだわりにを目の当たりにしたのが食への制限がある人に触れた最初のポイントだった。

台湾からドバイへ移住

世界中の国々をもっと見たいという気持ちからエバー航空を退社した私は、ドバイのエミレーツ航空に転職。同時にドバイに移住した。

ドバイという国は90%が移民によって占められている。中でも多いのがフィリピン・パキスタン・インドなどの出稼ぎ労働者だ。

エミレーツ航空に入社すると、まずはエコノミークラスから担当することになる。そこでもっとも大変なフライトに乗務することになるが、それはインド・パキスタン・バングラデシュなどのいわゆる南アジア路線だ。

乗客の大変さはひとまず置いておいて、気がついたのは食事への制限の多さだ。

ある人はヒンドゥー教。牛が食べられない。
ある人はムスリム。豚は絶対NG。
ある人はベジタリアン。ある人はヴィーガン。

・・・

こんな人たちが200名狭い機内にごっちゃになって座っており、特別食が乗客の半分以上ということもザラにあった。そして皆例外なくちょび髭を生やしているかサリーを着ているので、乗客を間違えることも多々あった。

ターバンは実はほとんどいません。

牛肉を食べてしまったインド人のお客様

機内での食事にはたくさんトラブルがある。
そこで上司から「渡す人には気をつけてねー!」と共有される伝説的な小話が、ビーフを食べてしまったインド人のお客様だ。

ある日、あるCAがビーフがNGなお客様にビーフを提供してしまった。しばらく経って特別食がキッチンに残っていることで気がついたそのCAは、ビーフ抜きの食事を持って再度お客様のもとへ。
するとそこには、もうほとんど中身が残っていないビーフのお皿が・・・

「申し訳ありません。間違えて先ほどビーフをお出ししました」と謝罪したCA。
するとお客様、インドアクセントバリバリの英語で
「Oh my God, I ate my God (ああ神よ、私は私の神を食べてしまったのか!)」と叫んだらしい。

日本の航空会社ではきっとあり得ない話。でも中東系の航空会社では日常茶飯事だ。

言い訳に聞こえるかもしれないが、皆ほとんど英語ができなかったり、名前を確認しても同じ苗字だったりで意味がない。
そもそも席も勝手に入れ替わっていて、席番号と名前が一致していないことも多々。
そして間違えたものを持っていったところで、その人も実は特別食を頼んでいたりするからそのまま受け取ってしまうのだ。

中東系の客室乗務員が大変だといわれるのは、ここに大きな理由がある。もうみんなが食べられるヴィーガンの食事にしてしまえ!と何度思ったかしれない。
(あ、でもヴィーガンでもNGのものがあるジャイナ教もいたなそういえば)

フライトで出会ったムスリムが教えてくれたこと

今だから懐かしく思えるし、クスッと笑うこともできるけど、本当に当時は毎日が戦いだった。

それでも数年してビジネスクラス、そうしてファーストクラスに昇進しても、食事への制限がある方はまだまだ世界中にたくさんいた。

エミレーツ航空では、日本人客室乗務員は日本路線を乗務することが多い。そこでは中東出身の富裕層で、日本に向かう人たちと話をする機会がたくさんあった。

こんな格好で普通に飛行機に乗ってくる

マンガ・アニメ好き、意外とオタク文化の浸透している中東では日本のファンが多い。
「日本はどうでしたか?」と聞いたら彼らは皆

「すっごく良かったよ!!」と一見とても良い反応だった。
でも「何が良かったのか」と少し踏み込んで話を聞いてみると、どうやらそれだけではないことがわかった。

「でも・・・食事が心配で心から楽しめなかったの。英語もあまり通じなくて」と高い確率で続いた。

旅慣れている人でもそうだった。

日本に一緒にフライトをしたCA仲間たち。彼らの中にもベジタリアンやムスリムは当然のようにいて、やはり日本での食事には困っていた。
中には国から持ってきた食事で済ませて、せっかくの日本滞在なのに外に出なかったという人もたくさんいた

私は日本が大好き。だからこそ

海外に長年住んでいると、どれだけ日本という国が恵まれているのかを実感することが多かった。

美しい風土、文化、そして一見シャイだけど親切な人々。
夜中に女性が1人で出歩いても安全。財布や携帯を落としてもそのまま戻ってくる。電車の中で寝る人さえいる。

働くのは大変だけれど、日本人として生まれてきたことほど運の良いことはないと感じる。

だからこそ、食事への制限があるという理由で、日本を知る機会を損失している人がいるという事実はとっても勿体無いし、日本人としてこれ以上残念なことはないな、と感じた。

また同時に、外国・中東ドバイに長年住んだ私だからこそできることがあるのではないかと感じた。

時はちょうどコロナ禍。同時に結婚も決まり、10年働いたエミレーツ航空を退職し、次へのステップに進む時が来ていた。

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