Blues Driver BD-2の回路解析
BOSS Blues Driver BD-2は、
オーバードライブエフェクターとして非常に人気が
あります。
その魅力は、カリッとしたクランチサウンドにあります。
今回、この人気ペダルの中身について解析してみました。
BOSSの公式サイトでは下記のように説明されています。
オーバードライブの回路をアンプ設計の視点により
進化させることで、真空管アンプのような
ドライブ・サウンドを実現しました。
BD-2は、真空管アンプに用いられる多段クリッピング
回路設計を採用し、ディスクリート構成で回路を
組むことで、ノイズを抑えながらもワイルドなクランチ、
ジューシーなドライブ・サウンドなど、
ギタリストが愛してやまないサウンドを実現しました。
TONEノブは、高い倍音成分を調整できる
パッシブ回路を採用、使用楽器に合わせたサウンドの
調整も簡単に行えます。
では、回路図を見てみましょう。
ディスクリート構成による回路構成になっています。
①ブロックの前段は、一般のエフェクターで見られる
バッファ回路とバイパス/エフェクトの
スイッチング回路です。
①ブロックは初段のブースト回路です。
J-FET入力のオペアンプ回路と同じ構成です。
この段では一般のオペアンプに見られるような
ダイオードクリッピング回路はありません。
②ブロックはトーンキャラクターを決定させるべく
フェンダーアンプのトーンノブ回路が
デフォルト設定で挿入されています。
③ブロックはディストーションペダルで見られるような
ダイオードクリッピング回路です。
ディストーションより歪みを軽くするためか、
2段構成になっています。
④ブロックは①ブロックと同様なブースト回路です。
ゲインボリュームは①ブロックのものと連動するものが
使用されています。
④ブロックと⑤ブロックの間に、パッシブのトーン回路が
設定されています。
⑤ブロックはバッファ回路、苦労の痕が見える回路です。
⑤ブロック以降は①ブロック前段同様の
スイッチング回路とバッファ回路です。
回路の解析結果から、この回路はオペアンプ回路ありき
だったのではないかと考えられます。
何らかの事情によりオペアンプ部分を
ディスクリート化しているようです。
なぜBOSSはディスクリート路線に舵をとったのか?
BD-2の発売時期と考えると、当時米国で流行していた
FETによるSRPP回路を使用したオーバードライブ回路
「μAMP」というムーブメントに乗った製品だった
可能性が高いと推測されます。
あえてディスクリート化するより、
オペアンプ回路のほうが安定動作が補償できるのでは
ないかと思います。
製品化されなかったオペアンプによるBD-2を作るのも
面白いかもしれません。
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