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予備校の動画教材が苦手な医学生、経済的に苦しい医学生のための国試/CBT勉強法

Ⅰ. はじめに――本当に動画教材しかないのか?

 国試勉強の王道と言えば、Q-assistやmedu 4などの予備校の動画教材+過去問演習であろう。後者の必要性については、筆者も何ら異議を唱えるものではないが、前者が必要不可欠かと言われれば、必ずしもそうではないと考えている。そもそも、動画教材は、一般庶民の感覚(筆者の親族に医師はいない)からすればかなり高額であり、加えてけっこう向き不向きがある。実際、動画教材が自分には向いていないと感じる医学生も少なからずいるのではないかと考えている。自分のペースで勉強できないこと、講師との反りが合わないこと(対面でなくても、人間の好き嫌いは生理的なレベルで拭い難く存在するものだ)、詳しくは後述するが、そういった欠点が動画教材には存在すると筆者は考えている。

 しかしながら、現状、動画教材が独り勝ちの状態であり、これ以外に国試の勉強法があるのか?と疑問に思う医学生も少なくないだろう。まさか『ハリソン内科学』や『病気がみえる』などの教科書を読んで勉強する――白状すると、筆者はかつて『病みえ』での国試勉強を試みたことがあるが、長くは続かなかった――わけにもいくまい。また、大学の講義スライドや資料は、概して国試を意識して作られたものではないため、これらを国試勉強に用いる人など皆無と断言してしまってもよいのではないだろうか。

 かく言う筆者自身も、CBTの勉強を含めて大学5年生までは、尋常でないくらい勉強法に悩んでいた。先述のように、『病みえ』での勉強を無謀にも試みたこともあるし、『イヤーノート』に手を染めてみたこともあるし、もちろん動画教材も試してみた。しかし、これら教科書での勉強は早々に挫折してしまったし、動画教材ではどうもクセの強い一部の講師が好きになれない、モニターを眺めながら勉強するというのも辛気臭くてとてもじゃないが続けられない、といった問題にぶち当たり、悶え苦しんだのだ。しかし、現実問題として、動画教材以外に適当な勉強法も見当たらない……。

 そんな悩みを抱えながらも、やがて自分なりの勉強法を編み出し、最終的には動画教材を使うことなく(正確には「ほとんど使うことなく」だが、これについては後述)、危なげなく医師国試合格を果たすことができた。

 ここでは、筆者と同じく、動画教材が好きになれない医学生や高額すぎて手が出せない医学生に向けて、医師国試のコスパのよい勉強法を紹介したい。コスパがよいのはたしかだが、この勉強法はタイパのよい勉強法でもあると自負しているのだが、この点については後述する。

 また、ここで紹介する勉強法はCBTについても妥当するものなので、低学年の医学生にも参考になる内容となっている。

Ⅱ. なぜ動画教材を忌避したか

 ここで、なぜ動画教材を使わなかったのか?というもっともな疑問に答えたい。

 まず、シンプルに高額なこと。何万円、何十万円もする教材は、自分の経済状況ではやはりどう考えても高いと感じた。

 次に、一部の講師たちのクセが強いこと。新型コロナ感染症の最流行期に無料で視聴する機会があったので試しにまとめて観てみたところ、けっこう耳障りなしゃべり方をする講師が多かったのだ。筆者は「社会人たるもの公的な場では自分のキャラは限りなく希薄にすべし」というのが社会の鉄の掟だと考えていたのだが、少なくともこの業界ではそうではないらしい。大学受験予備校にもクセが強い講師が多いが、カリスマ性を醸し出すためにキャラの濃さに訴えるのは少しお門違いにも思える。

 そして3点目にして最大の問題点として、学習スタイルの問題。動画で勉強するとは、すなわち、動画教材をタブレットやPCで視聴しつつ、テキストの空欄を埋めたり必要事項をテキストに書き込んだり、メモをとったりするということである。このためには、ある程度まとまった時間とある程度整った環境――電車の中や大学での短い休み時間では動画での勉強に不適である――が必要になる。
 しかし、筆者はちょっとしたスキマ時間や、はたまた湯船につかりながら勉強したいタイプである。動画視聴による腰を据えた勉強というのは、(不遜かもしれないが)「医師国試というただのマークシート試験」のためには過大な集中力を要求されているようで、大層くさくてそぐわない感じがしたし、また時間がもったいないと思ってしまったのである。
 動画の再生速度を2倍速にしてみたところで、既知ゆえにまったく不要な情報と、じっくり聴きたい情報が混在しているため、常時2倍速にしておくわけにもいかず、再生速度の調整が本当に煩わしいのだ。
 つづめて言うなら、筆者は「もっと自由に勉強したい」と思ったのである。

Ⅲ. 筆者の経歴

 では、筆者の経歴について紹介したい。

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