人参とネパールのロックダウン
去年の今頃私はネパールでロックダウンでした。インスタグラムを見るとそんな感じです。
このロックダウンからチャーター便での帰国まで2週間ほどあったような覚えがあります。コロナのことが今よりっもっとわからなかった時で不安からどんどん痩せました。
普段は絵を描いて眠って、日本語のボランティアを少しするだけの毎日でした。そこにコロナがやってきて部屋から出れない日々になりました。日々の野菜だけは買いに出かけることができました。
台所で人参のへたを分厚く切ってしまい、もったいないないことをしたな、、と思いました。
水につけたら緑が生えるかなと思い日当たりのいいところに置きました。
少しづつ生えてくる人参のへたの緑にロックダウンの中で癒されました。絵が出来上がっていくわけでもなく、ずっと黙っているので語学ができるようになるわけでもなく、生活の中で成長するものが一つもありませんでした。
その中で人参のへたの緑は伸びていきました。時々ちぎってスクランブルエッグにのせてパセリっぽい色味を楽しみ、また人参を買ってきて水栽培の真似事、、を繰り返しました。
ロックダウンのなかチャーター機で帰国したのでこもった生活は二週間ぐらいだったように思います。
私は離島に実家があるのでチャーター便到着は東京。
私はどうすれば帰れるのか二週間の隔離先をどう確保すればいいのか血眼で探していました。
結果、インターネットの恩恵を受け帰国することができました。あの二週間は何もできないのにとても緊張した時間でした。
人参の成長だけが前に進むことでした。日本に帰ってきてもう一年です。日本で台所に立って人参のへたの栽培をまたはじめてみました。
ネパールに家財や描きかけの絵やいろんなものを置いてきました。日本にいったん戻りますの一言も言えなかった絵師のひとりとは死に別れました。コロナではなく友人はガンだったのですが。
一年たって遠い過去のような、でもすぐ思い出せるような不思議な感覚です。
また戻れますように、会えますように、岩絵の具を一から作る日々に戻れますように。