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6秒が左右する

人それぞれタイプと呼ばれるものがある。
主義と言い換えられるかもしれない。

集合時間ギリギリに行こうとする人、いやいや30分前からスタンバッテルって人。
トイレにて、『小』だから手洗わなくたっていいだろって人と、いやいやちゃんと両手洗うだろって人。
「つうか、全く使ってないし触れてもいない左手を洗わなきゃイケナイなら全身洗わなきゃダメなんじゃないの?」って呟きを正論だと納得する人と、詭弁だと鼻で笑う人。

どちらの立場かは置いといて、人それぞれ抗えないタイプがあると思うのです。
突き詰めると、そのタイプが人生を左右することもあるのではないかと。
つい先ほど、ふとそんなことを考えてしまう瞬間がありました。


電子レンジ。
食べ物はもちろん飲み物も温めてくれる生活に欠かせないマシン。
ひとり遅れた夕食とあいなった僕は、ラップがかかった麻婆豆腐を温めました。
600Wで70秒。
1分よりもちょっとあっためた方が無難かな、という僕の意図が伝わる数字ですね。
スタートボタンを押して僕は別の部屋で作業の確認を。
そろそろかなとレンジのもとへ戻ってみると、表示はあと「6秒」でした。
6秒ならもういいよ、と僕は躊躇なく取り消しボタンを押して、レンジの扉を開けました。
途端に熱気の塊が顔を覆い、手に持った皿からはじゅうぶんな熱さが伝わってくる。
さっと食卓に移ればいいのに、その後僕は6秒以上その場にたたずむこととなりました。

(たった6秒なら終わるまで待っても良かったのではないか?)

不意に浮かんだこの問いが、僕の動きを縛りつけたのです。


最初に僕がレンジに示した契約は『70秒あたためる』こと。
もしかしたらレンジは「最後の6秒」に、麻婆を劇的に美味しくする妙技を用意していたかもしれない。
なのに僕はその6秒を『時間の節約』という錦の御旗のもとに削り取った。
にもかかわらずその後6秒以上考えていた訳だから、早く取り出した意味はない。
これが、10秒、20秒なら大きな違いが出るとは思うが、今回は「6秒」。
だったら、自分が最初に決めた意志を貫く人間でいた方が良かったではないか!


この6秒を「待つ or 待てるタイプの人間」か「待たない or 待てないタイプの人間」かが、生活や仕事の面で大きく影響してくる気がしてなりません。

もしも、「僕が待つタイプの人間だったのなら・・・」
過去のあれやこれやの結果も変わっていたのかもしれません。

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