「キャラクターを作る」をもう少し深掘りしよう


まえがき

 お久しぶりです。と言うか初めまして。Rです。
先日、「そういえばnoteなんてあったなーどうなっているかなー」なんて思い出したので、久しぶりに見てみたんですよ。

 …1周年記念?
いやいや嘘だろ?つまり俺らはこのプラットフォームを一年間放置してたってことか?

 というわけで、久々に記事を書いてみることにしました。お手柔らかに頼みます。

なりきるキャラのためのステータスが出ない!

 突然ですが、過去のnoteにこんなことが書いてありました。

 これ、キャラを作る際の方法としては正しいです。
しかしこの方法には「理想的なステータスが出るまで回さなければならない」というデメリットがあります。

 例えば、あなたが「屈強なプロボクサー」になろうとしたとしましょう。
この時点でSTR,CON,SIZは高めでないと「キャラクターに沿ったステータス」にはならないでしょう。
筋力も、体力も無く、体が小さくても、屈強なプロボクサーだと自称することは確かに可能でしょうが、やはり不自然になってしまいます。ダメージボーナスもマイナスでしょうしね。

 狙ったステータスが出ない、というのは割とあるあるの悩みです。
かといって、狙ったステータスを出すために、出るまで何度も何度もダイスを振る、というのは、いわゆる「キャラ厳選」になってしまいます。これではランダムダイスの意味がありません。

 卓によっては、ステータスを合計してから個別に割り振ったり、ステータス同士をスイッチしたりなどで、ダイスで決めたステータスを変えることが許可されている場合もあると思います。
その場合は、そのルールを使用するのももちろん良いでしょう。上記のルールが適用されている場合は、KPと相談の上、ステータスをいじっちゃってください。それで解決です。

 これ以降の文章ではあくまで「ダイスによって決定されたステータスを変えない」ということを前提として記載しています。

 実際にキャラシダイスが無限に振り直せる点を利用して、数時間かけてとんでもない回数のダイスを回し、途轍もなくステータスが高いキャラを作る人もいます。
しかしこれでは、やっていることはダイスを個別に振って意図的に厳選しているのと何ら変わりありません。

ダイスを振ってからキャラを作ろう

 というわけで、本題です。
キャラシダイスを振ってから、それに合ったキャラを作る方法を紹介します。

まずはダイスを振る

 振ってきました。こんな感じでした。

STR:5
CON:15
POW:7
DEX:12
APP:13
SIZ:9
INT:10
EDU:18

 うーむ…何ともし難いステータスです。
体力が高いのに筋力が無く、教養はあるのに知性が無い。
ぐちぐち言っていても仕方ありません。とりあえず考えていきましょう。

 なお、今回は20〜40代程度の探索者と仮定して、考えていきます。この範囲からはみ出ると、年齢によって色々と不都合が起きますので。

とっかかりになりやすいのはEDU

 EDUは他のステータスと違い、そのキャラが置かれてきた「環境」によってのみ変わるステータスです。

 他のステータスは多少なりとも生まれつきの遺伝子的な部分はありますが、EDUだけはそれがありません。
どれだけINTが高くても、EDUが低ければ、そのキャラは勉学に触れない人生を送ってきたということになります。
勿論、多く学べるかどうかも遺伝子的な部分ですが、他のステータスと比べると些かそのキャラの人生を考察する手掛かりになります。

 今回は「18」。かなり高いです。
つまり、このキャラは多くの事柄を勉強してきたということになります。

 ここでINTに注目。「10」しかありません。人間の最低値は「8」ですから、地頭はむしろ悪い方だと言えるでしょう。
更にPOWにも注目。「7」ということは、このキャラは精神的にも弱いということになります。
この時点で、このキャラはあまり物事に対して全力でぶつかったり、我を貫き通すことは難しいタイプだと分かります。

 では、なぜこのキャラはINT10、POW7にも関わらずEDU18になったのか?
これが、このキャラの人生を考える上でのキーとなりそうです。

 ここで一度、身体的な特徴に着目してみましょう。
特徴的なのは、CONが「15」と高めな割に、STRが「5」しか無いことです。

 SIZが「9」、つまりこのキャラは非常に小柄ということになるため、STRが低いことは自然なことである、と割り切ることも可能です。
ですが、今回は敢えてこのSTRに着目し、利用します。なんせそれ以外の特徴が無いのでね。

「この肉体で歩んできた人生」を考える

 ここで一つ、回想をしてみましょう。

その子は、人一倍体力はあったが、筋力がなかった。
だから、肉体を使わずとも行える勉強を人一倍頑張り、沢山の教養を身につけた。

 よし、背景ストーリーの骨格はこれで行きましょう。
正直これで完成でも全く問題ありません。頭は多少悪くとも、がむしゃらな努力家で、多くの教養を身につけた。いいじゃ無いですか。

いくつかのことを「仮定」する

 しかし、このままだと少し捻りが無いなと感じます。

 また、何故POWが7しかないのに、EDU18になったのか。その説明ができていません。
むしろ、努力などが苦手な性分である可能性は上記の通り、十分に示唆されています。

 ここでひとつ、仮定をしてみましょう。
このキャラには、「精神的な弱さを押し除けてでも学ばなければならなかった理由があった」とするのです。
その仮定の上でステータスを見ると、また違うものが見えてきます。

 STR「5」。これは尋常ではなく低い値です。
人間の平均値が「10.5」ですから、その半分も無いことになります。テストなら赤点です。
成人の人間ならば、身体的な障害を持っていてもおかしくない値と言えるでしょう。
※この記事に特定の身体的・精神的特徴を貶める意図はございません。

仮定を基にしてストーリーをアレンジ

 こういうのはどうでしょうか。

その子は元々、得意とは行かずとも体を動かすことが好きな子だった。
だが、ある時事故に遭ってしまい、体に力が入れづらくなってしまった。
彼はその経験から体を動かすことが嫌になり、最も身近にあったものとして、勉強をし始めた。
結果として彼は勉強が好きになり、多くの教養を身につけた。

 このストーリーにすれば、彼が異常に筋力が弱いことも、精神的に弱いのに勉強を続けたことも、全て説明がつきます。
更に、INTが低いのも、「嫌なことを忘れやすい性格だったから事故から立ち直れた」と解釈できますし、CONが高いのも、「その体力で長く集中力を保てた(勉強が続いた)」と捉えられます。

 おまけに、「事故に遭ったがその悲劇にめげず猛勉強した」というドラマ性まで付与することができました。

後は年齢と職業を決める

 ここまで来ればもう簡単です。後はこのストーリーに合った年齢と職業を決めちゃいましょう。

 職業は「事務員」としましょう。このがむしゃらさと教養の深さにはぴったりです。

 年齢は「25歳」としましょう。まだ学生気分が抜け切っておらず、それでいて社会人としてのスキルは着実に身についてきている段階です。
メタ的な話をすると、25歳程度なら多くの人間はまだ自分自身の思想の方向性が固まっていないので、生き方を左右するような神話的事象に遭遇した際に比較的柔軟に立ち回れるというのもあります。
また、この年齢にしたのは僕がRPをしやすいからというのもあります。PLの好みに合わせるのも大事ですよ。

 後は名前と誕生日に出身、細かい身長・体重などを決めれば、完成です。

完成

 というわけで完成しました。「綾野 陽也」君です。

 名字ですが、僕は基本的に1D10000を振って、出た順位の名字をランキングで調べて使用しています。
今回の出目は「6515」。ランキングで調べると6515位には「綾野」が該当したため、名字は「綾野」に。

 名前は、小柄+嫌なことをすぐ忘れる、というところから直感的に「春」のような感覚を感じたので、朧げながら浮かんできた名前である「はるなり」に。漢字は適当です。

 誕生日・出身はダイスで決めました。誕生日は1D12+1D28/30/31で。出身地は基本的に1D47で都道府県を決めています。

あとがき

 というわけで、いかがだったでしょうか。
今回は、探索者の性格をステータスから決める方法を紹介しました。

 探索者の特徴や性格を決定づける要因には様々なものがあります。
例えば今回は使用しませんでしたが、「クトゥルフ2015」収録の「特徴表」を使用すれば、新たな個性が追加されて、より一層そのキャラのバックグラウンドを考えやすくなるでしょう。

 そしてここまで長々と書いておいて身もふたもないことを言いますが、結局のところ、その探索者の生き様を決めるのは「神話的事象」であり、「遭遇したシナリオ」です。
そのため、あまり設定に凝りすぎず、性格や行動方針、大まかな背景ストーリーさえ決めておけば、後はシナリオに特攻すればいいと思います。

 セッションにて神がかった偶然が起きることなんてざらにあります。それがTRPGの醍醐味でもあります。

 この記事が、皆様のCoCライフの手助けになることを祈っております。

 では、またどこかで。

記事執筆:R

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