世界史漫才第一中継ポイントその2
閑話休題。ここから「です・ます調」に文体チェンジ。
それならば、お笑いブームに便乗し、「歴史的知識を使って勉強すればするほど笑える漫才台本を作ろう!」と半ばヤケクソでやってみたのがこの「世界史漫才」です。「このネタに大笑いできる自分は、よく勉強したよなあ」と笑いながら自信を持つことができれば、学習の効果も上がるかな、と少しだけ期待しています。最近、この路線で当てたのが『聖☆お兄さん』です。
きっかけは、2007年度の3年生の授業「現代社会演習」です。受講者は7人。少人数だと、授業は自然と、生徒諸君の質問という「ボケ」「ツッコミ」に対して、担当者による回答という「ツッコミ」「ボケ」を返すという形になっていきました。「学校の授業でも、こんな感じ(漫才っぽい感じ)で授業ができるのなら、授業で教えた事件や人物をネタにした漫才=紙上ライブもできるかも」というのが、作ってみようと思ったわけです。漫才をかけ合っているコンビのSとTは私のイニシャル、要するに自分でボケて自分でツッコミを入れる自己内対話です(この自己内対話は教員がバランスを失わないためにも必要です)。作り始めたのは2007年12月はじめ。2008年10月までになんとか26本でき、一旦は『世界史漫才』として冊子にしました。しかし、もっと増やして欲しいという要望に押され、2009年5月に59本に達しました。ですが、一本あたり3~4時間、まとめにくい素材は8時間かかります。
スタイルの手本は、爆笑問題の『日本原論』から時事ネタの取り込み方を、柳下毅一郎氏&町山智浩氏の映画漫才ユニット=ファビュラス・バーカー・ボーイズの『映画欠席裁判1~3』から話の運びのテンポを、ネタのいたぶり方とマニアックな広げ方は『社会派くんがゆく!』の唐沢俊一氏&村崎百郎氏から「イタダキ」しました。しかし、素材は自分で探すより他はありません。よく利用したのは朝日新聞社の『週間百科世界の歴史』、東京創元社の西洋史事典、そして「ウィキペディア」の個々の人物の記述・関連項目です。将来、世界史上のかなりの数の有名人をネタに「勉強するほど笑える漫才」というアメ(蜜をまぶした毒)をラインナップし、生徒諸君の意欲をかき立てることができればいいのですが、その日は来るのでしょうか?