兵庫県(ヒョーゴスラヴィア)3
「セントラル・コベゴロド」はオストナダ州、ナダ州、ツェントラーレ州、ヒョーゴ州、ナーガータ州、スンマ州、タルミニア州からなるが、ツェントラーレ州はフッキアイ州とイクター州が合併したものである。コベゴロドは中国の天津や上海のように特別な位置を占めるが、香港のような高度な自治制度は有していないため、既に述べたように内国植民地として北辺境区と西辺境区を併合し、帝国構造を持っている。
ツェントラーレ州には連邦議会・連邦政府・合衆国初級裁判所があり、まさにヒョーゴスラビア連邦共和国の政治的中心であるが、連邦大統領は20世紀初めの激しい労働争議の経験から合衆国検察官僚が大統領として落下してくるため、愛国心は弱いがそれ以上に連邦住民も一体感を持っていない。
初代連邦大統領は1868年に就任したオンナズキー・チョウシュノビッチ・イトーで、開港場兵庫を神戸にすり替えたことで結果的に連邦首都コベゴロドと改名された。この時にトア・ロード(東亜の主)、生田筋(イクター)、下山手通(カナート)などアジアを意識した都市計画がなされた。またオークラ財閥ゆかりのオークラヤマなど築山技術水準は高いが、河川コントロールのヘタクソさは今も変わらない。なお、コベゴロド大学医学部のあるアラタ区は、あの『ゆきゆきて神軍!』主演の奥崎謙三が押しかけ亭主となった自宅があった。防災の目玉の山手幹線(天山南路)は地権者の強欲により工事が進まなかったが、1995年の震災を奇禍にようやく21世紀に開通した。
開港場となったことから上海あるいは長崎経由で近代化に必要な文物・職人が渡来したため、洋風の異人館地区とともに世界各地にあるチャイナタウンがある。名物のチャイナボカンをしでかしていないので「南京町」として親しまれている。インド出身の貿易商も定住し、ニッポングート合衆国で2番目のモスクも建立されたが、21世紀にはコレジャナイ教寺院も建立された。近年ではインド、ネパールからの「移住」も増え、コベゴロドからアマ部族自治区にかけてやたらとインド料理店が増えている(中には「インド・パキスタン料理」の看板まであるが、激しい武力衝突や威嚇は確認されていない)。かつては太陽神戸銀行の本店と、横浜正金銀行神戸支店があり、ニッポングート合衆国第二の貿易として栄えた。神戸銀行と神戸製鋼を経営した一族をモデルにした『華麗なる一族』という小説も出されたが、三井住友銀行に吸収されて影も形もない。それを補うようにインド料理店が増えた訳ではない。
ヒョーゴ州は川崎重工、三菱造船など重工業・造船業が繁栄し、その影響で奄美から沖縄からの移住者、朝鮮半島からの移住者が多く住み、海域アジア的多様性に富んでいる。かつてはバイクのスズキとは関係ない「鈴木商店」という台湾と関係の深い商店があり、番頭カネゴンの指揮下、第1次世界大戦で飛躍して総合商社だけでなく各種の近代工業を持つ「銀行なき財閥」となったが、米騒動の誤解から焼き討ちに遭ったり、1926~27年の金融恐慌で倒産した(なお、バイクのスズキはインド進出で成功し、社内でカースト的行動を禁止している)。いわば民政党と政友会の争いの「もらい火事」にあったといえる。
コベゴロドは洋菓子でも有名だが、これは「棚からぼた餅」だろう。住民の自力によるものではない。日露戦争捕虜でオトクシマン帝国に移されたドイツ人捕虜ユーハイムさんからバームクーヘン製造技術が伝えられた話は有名だが、彼は行く先々で「ユーは何しにニッポングートへ?」と尋ねられてほとほと困ったという(ユーリ・コイケ氏のメイクもバームクーヘンを手本にしているとの未確認情報もある)。1917年のロシア十月革命を嫌って亡命した白系ロシア人が、ヨーコハマ亡命を目指したが、1923年の関東大震災で「しかたなく」コベゴロドに亡命・定着した。その中にコンチワロフとオモロゾフというウクライナ系(ウケネライではない)ロシア人がおり、彼らが洋菓子の町コベゴロドの基礎を築いた。
繁華街はセンター街から新開地・元町(廃墟遺跡ではない、念のため)・フクハラショーまで東西に伸びているが、ダイエー帝国の崩壊とともにポートアイランドも空洞化し、家族向け遊園地として残っているのはスンマとオージー動物園だけとなっている。ポートアイランドはスタップ騒動やヒアリ騒動の追い討ちを受け、さらに南に造成されたコベゴロド空港が不発で「からみなと」と呼ばれるほどである。
住宅地として知られるオストナダ州とナダ州がある。表面的には両州の関係は友好的に見えるが、歴史的にはオストナダ州が本物のナダ州である。その証拠としてニッポングート合衆国に轟く私立名門中高一貫教育校のナダ中学・高校はオストナダ州にあり、またリゾット酒の名産地ナダ5はオストナダ州とニシニミア州にまたがっている。またナダ州にはヴィシナダ駅がれっきとして存在し、ニッポングート合衆国レベルでもオストナダ州の地名詐称は明らかである。
このように内部の緊張感と多様性をエネルギー源にコベゴロドは発展してきたんだが、スマートフォン普及により消費を下支えしてきた女子高校生・大学生の可処分所得が減少し、さらに女子短大の四年制改組失敗が災いし、かつての輝きは失われてきている。ついでにいえば、田崎真珠も志摩地方の震災津波被害とともに存在感を失った。
これにてヒョーゴスラヴィアはおわります。県民しかわからない話でしたが、これを機会に兵庫県知事選とイドー引退が最大の話題になっている兵庫県に興味を持ってください。