しくじり

 まっさらな新天地。私のことは誰も知らない(それもどうかとは思うが)。しかしそこでは部活に入らなければならなかった。野球をやりたいがお金がかかる。バスケットボールも得意だったが陽キャでないといけない気がして気が引けるし最近やってない。テニスをしたいけどたぶんラケットを買ってもらえない。陸上部はちょっと興味がない。
 「そういえばなんかスポーツやってた?」
あー、サッカーかな…と言った途端に
 「よし、それじゃサッカー部に一緒に行こう」
なんと彼はサッカー部だった。

 まあなんか適当にと思ったが、行き着いたサッカー部の雰囲気が物々しい。これは来てはいけないところに来たのかと思った体育会の空気だった。どうしてサッカーをしていたと言ってしまったのか。激しく後悔をした。
 「おっ、新入部員か?経験者?じゃあちょっとレギュラーの練習に入ってもらえるか?」といきなり拉致された。えっ、1年生はほとんど基礎練習しながら球拾いをしているのだが。しかし私のしくじりが始まるのはここからが本番だった。
 「ないっシュー!よく決めたな!」
 「おお、今度も難しいの決めたな」
なるべく目立たないように力を抜いてしょぼいシュートを打とうとするも、球拾いばかりでろくな練習をしてこなかったため全てきれいにヒットしてしまうのだ。
 「なんか技術ありそうだし体格もいいしもうレギュラー組でいいんじゃないか?」という判断となり、初日で私のゆるふわ生活は終わりを告げた。

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