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医学生共用試験CBT受験記 - IRT600を目指す方へ

ただいま。Kです。
今回は2024年度医学生共用試験CBT受験を終えましたので、記録として対策、模試、結果、考察についてまとめます。ご参考になれば嬉しいです。長くなりましたが最後までお読みいただけると幸いです。
初回記事で字数は長くても2000にしますと書きましたが撤回します。

私はCBTの対策を本番約7ヶ月前から開始しました。対策に用いた教材は『モントレCBT』(M3E Medical, TECOM)と『医師国家試験予備試験過去問』(ClinicalKey Student Japan, 以下CKS, ELSEVIER)です。問題数について、モントレが3580、CKSが1553です。CBT対策には他の多くの学生が問題集はQB、動画教材はQ-Assistまたはmedu4を利用すると認識していますが、このような対策パターンを取っている学生は恐らく一人だけだと思います。今回の趣旨から外れるので多くは述べませんが、私は動画を受動的に見る学習方法に対し嫌悪感に近い感情を持っています。動画を見ずに対策しようと心に決めていました。

モントレはアカウントを作成すれば無料で利用することができました。CKSについては所属大学がELSEVIER社と年間契約(1年更新)を結んでいる関係から無料で利用することができました。両方とも自腹を切らずに利用でき、クオリティがかなり高いと思っているのでとても満足しています。CKSは問題演習を行うAssessmentと教科書閲覧ができるFoundationに分かれていて、演習中のわからないところや詳しい機序などについてはFoundationの電子教科書を利用していました。電子教科書は契約内容によると思いますが私のアカウントでは26冊が利用可能でした。

この教材を活用しようと決めた理由は、モントレについては無料であるし、QBに比べてクオリティが劣らないと判断したからです。モントレは問題数はQBより多いですし、QBに比べて多少解説が薄めかもと思うときはありましたがそこは自己学習で補えば良いと割り切っていました。最新復元問題がQBにはありましたが、モントレにはそのようなコンテンツはありませんでした。CKSについては、医師国家試験予備試験という試験をそもそも知らなかったのですが、ふと問題演習をしようとサイトを眺めていたところこの試験の過去問を利用できることに気づき、試しに解いてみたらCBTと問題形式が同じで、問題の難易度はCBTよりも難しいレベルだと思いました(特に基礎医学領域)が、これは取り組もうと思いました。学問の本質は変わらないと信じ、取り組む価値を感じたからです。また、少し難しいレベルまで取り組むことで本番の余裕も生まれるかなと目論んだというのもありました。

難しいなと感じた基礎医学領域の医師国家試験予備試験過去問を3つ示します。このようなレベルで基礎も臨床も展開されました。3題の正答は次回執筆予定のOSCE体験記の冒頭で示します。

1 ナチュラルキラー細胞の生存・維持に必要なサイトカインはどれか。
 a IL-22
 b IL-21
 c IL-5
 d IL-3
 e IL-15

2 ウイルスを認識しないヒトのTLR<Toll-like receptor>はどれか。
 a TLR7
 b TLR9
 c TLR4
 d TLR3
 e TLR8

3 68歳の女性。糖尿病による慢性腎不全があり、自宅近くの診療所で定期的に薬
物治療を受けていた。主治医から半年以内に人工透析が必要になると説明されていた。昨日、果物と生野菜とを多く摂取した。今朝から気分不良があり受診した。意識は清明。体温36.5℃。脈拍数40/分、整。血圧138/82mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98% (room air)。まず行うべき検査はどれか。
 a 胸部エックス線撮影
 b 血糖測定
 c 心電図検査
 d 腹部超音波検査
 e 頭部CT

具体的な演習方法について、毎日取り組む問題数を決めて、コツコツ取り組んでいました。大学の講義や定期試験の対策、研究活動と学会発表などもありましたので、モントレを30題/日、CKSを10題/日として取り組んでいました。大切にしていたことは3つあります。1つは、日々の演習量はどんなに疲れていても、やる気がなくても、体調が悪くても、急用ができても取り組める量にしていました。頑張らないと消化できない数にしていると、咄嗟のイレギュラーに対応しきれず、計画が頓挫するおそれがあり、それこそやる気を削ぐ原因となると思っていました。また、やる気があるならば、その日はプラスアルファで好きなだけ解くとしていました。このプラスアルファは自己肯定につながり、おすすめです。2つ目は、問題の解説をしっかり読み込んで理解し、なぜ誤ったのか、必要であれば電子教科書などでしっかりと納得がいくまで調べる時間を設けることです。ほとんどは知識不足に起因していました。そのようにしてその日の学びについて、自分オリジナルのメモを1日に1つWordで作成していました。このメモは画像の挿入を積極的に行なって視覚的なわかりやすさも大切にしていました。メモは印刷してファイルにまとめ、視覚的に「おっ、勉強してきたな」とわかるようにしていました。3つ目は、1つ目に矛盾するのですが、進捗ゼロの日を許容するということです。1週間のうちで目標を消化できていればそれでよしとし、ゼロの日があったとしても、その日の演習分を細かく分けて後日"借金"返済をしていました。実際に旅行や急用などでどうしても取り組めない日がありました。

このようにして演習を続け、本番約2.3ヶ月前にモントレ1周、約2ヶ月前にCKS1周を終えることができました。正答率はモントレが平均65-70%ほどで、医師国家試験予備試験は平均55-60%くらいだったと思います。最低2周はしようと思っていたので、2周目は1周目よりもペースを上げて演習しました。結果として全てを2回解くことはできませんでした。途中でCKSの方で『CBTレベル基礎領域プール問題』というのがあるのに気づき、免疫学、病理学、微生物学、生化学、発生学、肉眼解剖学、組織学、神経解剖学の問題がプールされており、これらを利用しない手はないと思いこちらに手を出したのが原因だったかもしれません。しかし、新しいことに触れ、知識を蓄えられたので後悔はありません。

そうこうしていると本番1ヶ月前を迎え、模試を受けることにしました。本番1ヶ月前に1つ、2週間前に1つ、1週間前に1つを受験しました。得点率というよりも受験後の復習時間をしっかり確保することを意識しました。1ヶ月前にTECOM模試を、2週間前にメディックメディアCBT模試(QB模試)を、1週間前にマイナビRESIDENT全国統一CBT模試を受験しました。受験料はTECOM模試が6000円、QB模試が5500円、マイナビ模試が0円でした。お金の話になったので触れると、CBTの受験料はOSCEとセットで33000円です。共用試験の受験料という形です。再試験では同じ金額を納入する必要があります。以下に模試の結果をそれぞれ示します。

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