Obey me!(おべいみー/おべみ) 天使の種類と堕天経緯まとめ

色々気になる部分の経緯をまとめました。
元ネタとして採用しているのは旧約聖書・失楽園あたりのキリスト教圏の考え方です。
にわか知識なので正しいかどうかは分かりませんが、参考程度に。
ちなみに容赦なく最新レッスンまでのネタバレが含まれます。
(ストーリー部分のバレというよりは設定のバレ)


・天使の立ち位置
天使はすべて全知全能たる父なる神(ヤハウェ)より生み出された子。
そのため天使はみんな兄弟。人間でいう血縁関係をもつ「兄弟」の概念ではなく、「同じものにより生み出された存在」を「兄弟」と表現している。
天使は神たる父とは異なり、自由意志を持つ不完全な存在である。
天使は善なる存在だが、自由意志を持つゆえに過ちを犯すこともある。
ルシファーを筆頭とする天使の軍勢が父に反発したのも、その不完全さからくる過ち(事実誤認)によるもの。
神はその過ちを正したが、彼ら堕天使たちが悪魔となって人とたぶらかすこともまた「試練」として容認している。
なお、天使は基本的に肉体を持たない存在であり、聖なる光が視認できる形状を取っているようなものらしい(一部肉体のある者もいる)


・天使の階級
天使とは神の御使い。九階級に分けられ、それぞれに役割を持つ。
「父」「子」「精霊」の三階級でそれぞれ三段階に分けられている。
どこの世界の宗教でもそうだが、天使だって上下関係の激しい縦割り社会なのだ。

~神に準ずる「父」の階級~
<熾天使:セラフィム>
一番すごい天使。6枚の羽根があり、神への愛と情熱で燃えているから「熾」天使らしい。
有名どころはラファエル・ウリエル・ミカエル・ガブリエル。
(この四大天使は大天使といわれるが、熾天使としても認識されている有名人。「失楽園」だと熾天使。ゲーム内でも熾天使扱いなので、ゲームは「失楽園」準拠なのだろう)
ルシファーも堕天前はこの階級。特別に12枚の羽根を持つ輝かんばかりの美しさだったとかなんとか。
シメオンはもともとこの階級だった(現状は後述)

<智天使:ケルビム>
二番目にすごい天使。エデンの園の東を守る戦士然とした天使。「叡智(神)を見ることができるもの」で、「智」天使らしい。
伝えらていれる形状がめちゃくちゃ特殊で人間型ではない気がするが、絵的には熾天使と似た形状で表現されることもある。
ゲーム内ではベルゼブブはケルビムだった。アスモデウスも智天使だったと言われる。

<座天使:スローンズ>
三番目にすごい天使。父なる神の戦車を運ぶもの。「正義の使者」「意思の支配者」ともいわれる。
顔のついた炎の車輪の姿と言われているので、想像すると輪入道しか出てこない。
物質である体を持つ最高位。月と太陽の運行に関わっているとされる。
上司はザフキエル、ラファエル。
マモンはルシファー付の座天使だった。元は大天使だったが、能力を見込まれ引き上げてもらったらしい。

~「子」の階級~
<主天使:ドミニオンズ>
四番目にすごい天使。「統治」「支配」を司る。神の意向を知らしめるため様々な働きをする存在。
神の主権を知らしめることから「主」天使と呼ばれる。
代表格はザドキエル(アザゼルと同一視されることも)。
ちなみに、アザゼルは別名マハザエル。マモンの「一人暮らし」のチャットで家賃を要求した堕天使である。よんでますよ!アザゼルさん。

<力天使:ヴァーチャー/デュミナス>
五番目にすごい天使。「光り輝くもの」と呼ばれ、様々な奇跡を人々に授ける存在。
善人に力を与え、難局を切り開く力を与えるので「力」天使。能天使とともに宇宙の法則を守ることもしているらしい。
上司はミカエル、ラファエル。

<能天使:パワーズ/エクスシア>
六番目にすごい天使。最初に神によって生み出された存在とされる。
様々な能力の源と同一化できるという性質があるため「能」天使。
いわゆる実働部隊で、悪魔たちとの戦いでは最前線を担う。
それ故に誘惑に打ち勝てず、堕天したものも数多くいる階級。
上司はラファエル、カマエル。

~「精霊」の階級~
<権天使:プリンシパリティ(ーズ)>
七番目にすごい天使。国家及びその指導者の守護、悪霊からの守護を司る。
地上の安寧を守ることが主たる仕事で、権威を守ることから「権」天使。
神の名において正義を体現する存在で、善悪二元論で区分する性質がある。
ルークが目指しているのはこの階級。ゲーム中の言動からもその傾向がよくわかる…というか適任以外に言葉がない。

<大天使:アークエンジェル>
八番目にすごい天使。九番目の階級の「天使」の中でも特に優れたものに与えられる階級。
本来は神の言葉を聞き、神と同席する非常に高位な存在であったが、宗教議論の中で下位へと追いやられた存在。
そのため、熾天使の項目で記載した四大天使と言われるラファエルらは「大天使」とも呼ばれる(初期は最高位だったため)
人間の前に現れ、神の言葉を継げる二枚羽の天使は主に大天使である。
人間にとっては一番身近な存在かもしれない。
ルーク曰くシメオンは現状この階級だそうだが…

<天使:エンジェル>
九番目の天使。いわゆる天使の「一般市民」。
実質的に階級がない「神と人との中間の存在」とされる。霊的存在とも言われ、肉体はあったりなかったり。
ルークはおそらくこの階級。キューピッドとかも多分これ。


・堕天の経緯
<旧約聖書/失楽園版 編成>
「明けの明星」と謳われた熾天使・ルシファーは、己が神にも匹敵する力を持つと確信していた。
ある日、父なる神は己に似せた御子を生み出した。御子は父なる神に変わり、天上を支配し、総ての敬意と称賛を得る立場として生み出された。
しかし、御子を己よりも劣った存在であると感じたルシファーは、御子にかしずくことを良しとしなかった。
神と同等であると傲慢にも思い上がったルシファーは、己が神になり替わらんと反旗を翻した。
それに従った天使の総数はおよそ天使の三分の一にも達した。
しかし、父なる神は御子に己が雷を与え、天使らの反乱を平定させた。
そして天界を追われた天使たちは、業火に燃える地獄へと堕とされたのである。
だが、ルシファーは地獄に留まることを良しとしなかった。たとえ一敗地にまみれようとも、天界を再び手に入れんと画策した。
しかし疲弊しきった堕天使たちはすぐに反撃をすることはできない。彼らは地獄の業火に身を焦がし、己が身を地獄に適応させることがすぐには出来なかった。
それ故に、父なる神が「人間」という新たな種を作ることを思い出したルシファーは、「人間」を堕落させることを思いつく。
父なる神が愛情を注いで生み出した人間を堕落させれば、意趣返しになると考えたのだ。
かくしてルシファーは人間の住むエデンへと赴き、天使たちの監視をかいくぐり、人類の祖先である女性・イブに禁じられた知恵の実を食べさせることに成功したのだった。
イブとアダムは神の定めた禁忌を犯した罪で、楽園を追放される。
しかし、それすらも父なる神は見越しておられた。
神は人間が堕天使―――悪魔によって道を踏み外したとしても、神への愛を失わない限り救われる、苦境にあって神への愛を忘れないこと、それが試練であると考えていた。
かくして、人はエデンを追われた。死を迎え入れ、愚かにも知恵を得た。
我々は与えられた神の愛を裏切った。それ故に原罪をもって生きねばならぬ。
そして悪魔のささやきに耳をふさぎながら、神への愛を忘れず、いつか救われることを祈りながら生きるのだ。
そう、審判の笛の音が響くその時まで。


<おべいみー内の堕天の経緯>
※前提として、人間が地上に増え、ある程度文明を築いた時点で天使たちが人間に関わっている世界観なので、聖書は当てにならない。あくまで元ネタ。
作中の世界観設定でも、天使時代のベルフェゴールが人間界のサーカスを見たり、地獄に移動遊園地があったり、リリスが人間の男性と恋愛をしたり、と聖書版ではありえない状態である。一体いつの時代なんだろう?

ルシファーが父なる神に反旗を翻した理由は以下。
兄妹の天使の一人・リリスが、恋仲である人間が病に倒れた際に、天界の食べ物を与えて寿命を操作したことを咎められたことに起因する。
禁制の食物を人間に与えたことに神が怒り、リリスが罰として消滅させられるという決定に納得がいかなかったルシファーは神に反旗を翻す。
それに従ったのはルシファーに恩義のある天使たちだった。
「天界大戦」と呼ばれるそれは大規模な争いとなり、ルシファーたちは敗北する。
その中でリリスは神に討たれて翼を失い、地獄へと堕ちていった。
リリスを追って地獄に落ちたルシファーは、リリスが消滅しかけていることを知る。そこに救いの手を差し伸べたのが地獄の王子・ディアボロだった。
ディアボロはルシファーに対し、己の右腕になることを条件に、リリスを救う提案をする。
一度は反発したルシファーだったが、その時点ですでに白い翼を失っている(堕天)ことを知り、リリスのために条件を受け入れる。
ディアボロは三界(天界・地獄・人間界)の掟を破り、リリスを人間として転生することで消滅から救う。
ルシファーはその秘密を心にしまい、自分に従い堕天した天使たち―――マモンを筆頭とする兄弟たち―――を引き連れ、魔界で生きることを決めたのだった。


<兄弟の概念:ゲーム内>
総ての天使が同じ父たる神から生まれているため、天使は全員兄弟/兄妹である。
天使には本来性別がないが、ゲーム中では男女の差はあるようだ。
特性などが異なっていても兄弟のため、人間から見れば違和感が多い「きょうだい」という表現である。
生まれについて後先が明確にあるかは提示されていないが、階級である程度の上下関係が発生していた様子。基本は天使であれば同列扱い。
堕天後の兄弟に関しては「悪魔として力の強い順」に長子~末子までが決められている。
なお、誕生日は「悪魔として名前を付けられた日」なので、実際に誕生した日にちではない(はず)
ゲーム内ではケルビム(智天使)であるベルゼブブよりも、スローンズ(座天使)であるマモンのほうが上位の悪魔とされているので、天使の階級は悪魔としての資質には関係ないようだ。


<ほかゲーム内外の小ネタ>
・リリスが人間に与えた禁制の食物は「知恵の実」が元ネタだと思われる。一方でリリスが天界/地獄にいられなくなるという状況は、いわゆる「ヨモツヘグイ」の逸話、「ペルセポネの冥界下り」に似通っているが、食物を与えた側が特定の場所にいられなくなるという点では「失楽園」なのかもしれない。

・サタンとルシファーは同一視されている。「失楽園(岩波)」では悪魔サタンと記されており、ルシファーの名前が出てくる方が稀(一応出てくる)。キリスト教ではほぼ同一人物。
しかし、「七つの大罪」で役目を担うにあたり、サタンとルシファーは分離されている。
どちらも魔界を統べる強大な力を持つものをさす。どちらかというと聖書ではサタンのほうが主流。
ルシファーの「怒り」からサタンが生まれた、というのは人間としては理解しがたいが、古事記で言うところのイザナギが黄泉の国の汚れを洗い流した結果、天照大神などが生まれたのと同じようなものなのだろう。

・アダムとイブのイブは、アダムの肋骨から生み出された存在。一方で、リリスはアダムの最初の妻とされることもある。リリスが生み出した子供がリリン。エヴァでカオル君が「リリンの生み出した…」というのはこれである。
アダムとの交わりで悪霊を生み出したともされ、リリス自体が男児を害す悪霊とされることもあるため、キリスト教的にはあまり歓迎される存在ではないのかもしれない。

・ベルゼブブが定期的に口にする「俺にはルシファーを守る使命がある」は旧約聖書等にも記されている。ベルゼブブはルシファーと並ぶ力を持ったものとも称されていた。「失楽園」においても雄弁に戦士としての持論を語るシーンがある。
ルシファーに次ぐ力を持つものと称されるが、なぜか七つの大罪では六番目のポジション。ベルゼブブ自体はかなり強大な悪魔とされている。

・「失楽園」においてマモンは「天使の中でもさもしい根性の持ち主」とされている。天界にあっても地上における黄金と財宝に心を砕いていたからである。人間に金銀宝石を見つけるすべを教えたり、地獄のルシファーの居城を飾る金銀を集める指示をしたのも彼である。
だが一方で徹底した実利主義でもあり、無謀な戦争よりは地獄での自主独立を主張した現実主義者。その部分は作中のマモンのキャラ造形にも活かされている(ような気がする)

・リヴァイアサン(レヴィアタン)は正確には天使ではない。神が天地創造の折、海に造り上げた生き物の中で最も大きなものとして生み出した存在。後世悪魔として認識された。
悪魔として認知された際に、リヴァイアサンの持つ特性から「海軍大将」と呼ばれるようになったようだ。

・ベルフェゴールは怠惰を司るが、一方で性愛を司るとも言われている。彼にまつわる逸話の中で、人間の結婚に幸福を見出せず絶望し人間嫌いになった経緯があるので、この辺りがゲームに反映されていると言える。

・アスモデウスはソロモン72柱の一人だが、唯一ソロモンの指輪の力に反抗したという逸話がある。色欲を司るからにはなよなよしているかと思いきや、意外と根性のある武勇伝を持っている。


<不明な部分>
・レヴィアタンの階級(天使軍を率いる将軍なので智天使?)
・ベルフェゴールの階級(言及無し?)
・アスモデウスの階級(一般的には智天使らしいが作中明言無し)


大分適当にまとめました。一部勝手な推測もつけてて申し訳ない。
誤り等も多々あるかと思いますので、お気づきの点はご指摘ください。

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