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vol.6 英国最大のキャットフィッシング事件
こんにちは、イギリスで働く犯罪データアナリストのpatoです。
(以下、センシティブな内容を含みます。ご注意ください)。
今回はオンラインでの子どもの性被害について、昨年メディアで大きく取り上げられたキャットフィッシングによる子どもの性被害について書いてみたいと思います。日本でももしかしたら報道されたでしょうか。
2024年10月、北アイルランドの26歳の男性が、未成年を標的とした深刻なオンライン性犯罪で有罪判決を受け、最低20年の服役を含む終身刑を言い渡されました。
この事件は、オンライン上での子どもへの性犯罪の深刻さと、それが被害者や社会に与える大きな影響を改めて浮き彫りにしたと思います。ちょうど私がデータアナリストとして就職した頃だったので、タイムリーで印象に強く残りました。
キャットフィッシングとは
キャットフィッシングとは、インターネット上で偽の身元を使い、他人を欺く行為を指します。今回の加害者の男は若い少女になりすますことで、被害者の信頼を得た後、親密な写真を要求。得た写真を使い、さらなる搾取や脅迫を繰り返しました。被害者の多くは10歳から16歳の未成年であり、その手口は巧妙かつ悪質でした。
事件の詳細
加害者は2013年から2019年の間に、世界30カ国以上で約3,500人の未成年を標的にしました。SnapchatやInstagramなどのSNSを通じて接触し、得た写真を使ってさらなる要求をし、それを拒むと「家族や友人に写真を公開する」と脅迫しました。さらには、幼い兄弟やペットを巻き込んだ虐待も含まれるなど、その手口の非道さが際立っています。
特に注目されたのは、2018年にアメリカ・ウェストバージニア州に住む12歳の少女が受けた被害です。執拗な脅迫に耐えきれず、彼女は家族の銃で自ら命を絶ちました。この出来事は彼女の家族にも深い影響を与え、父親も18カ月後に自ら命を絶つ結果となりました。
今後の課題
この事件は、オンラインでの子どもを狙った性犯罪が国際的かつ広範囲に及ぶ現実を示しています。海外のニュースだからと言って、日本や他国での安全が保証されているわけではありません。
こうした状況に対し、国際的な法執行機関の連携やテクノロジー企業による犯罪防止対策の強化が一層求められています。同時に、被害者支援や未成年者への啓発や教育も重要な役割を果たすことを再認識しました。
今回の終身刑という判決。オンラインでの犯罪も現実世界の犯罪と同じように重く処罰されるべきだという強いメッセージを社会に発信していると思いました。私たち一人ひとりがインターネットの危険性について理解を深め、自分ごととして子どもたちの安全を守る行動を取ることが必要だと思います。
参考文献:
北アイルランド警察のホームページ
https://www.psni.police.uk/latest-news/alexander-mccartney-sentenced-life-imprisonment-minimum-tariff-20-years