「理想と現実」~2020 J1 リーグ第1節 vs 清水エスパルス(A)~【レビュー】
漆黒の獣(以下獣)「ど~も~、よろしくおねがいしま~す、太古の森と漆黒の獣というものでございますけれどもね。今年も頑張ってレビューやっていきたいと思いますけれどもね。」
太古の森(以下太古)「安心してください、彼女はいませんよ。」
獣「結婚してるんでね、いたらヤバいんですけども。」
太古「ヘッ。」
獣「今日はね、ちょっとFC東京のリーグ開幕戦についてなんですけども、書いたので皆さんに読んで頂こうと思うんですけどもね。」
太古「お前はセルジオかっ!?」
獣「あの僕、獣っていうんですけどもね。」
太古「ウィ。」
獣「皆さんの中にね、あの、ちょっと難しい話苦手な人もいるかもしれませんけどもね、」
太古「誰に話してんだよ!?」
獣「読んでくれてる人にだよ、お前!レビューなんだから読者さんだろバカヤロウ、お前。」
太古「ウィ。」
獣「あのね、昨日ね、DAZNで開幕戦観てたんですけどもね、」
太古「どこが難しい話なんだよ!?」
獣「まだこれからだろ!まだ導入の導入だろ、お前。」
太古「なんで二回言ったんだよ!?」
獣「強調したんだよ!バカだからお前…皆さんもね、観たと思うんですけどもね、」
太古「観てるわけねぇだろ!」
獣「失礼だろ!なんで決め付けんだよ。謝りなさいよ、失礼だから。」
太古「ゴメンネ!」
獣「謝ったらね、許してやって欲しいんですけどもね。」
太古「おい、本編いかないのか?」
獣「お前が邪魔してんだよ。」
※失礼しました、ここからは真面目にいきます。
■導入
獣「さぁ、いよいよ待ちに待ったリーグ開幕戦となりました!」
太古「ACLがあったのでもう開幕してる感が凄いんですが・・・。」
獣「それはそれ!リーグ戦はやっぱり別物ですよ!さて、開幕戦の相手は清水エスパルスでした!太古さんはこの試合を観てどんな印象を受けました?」
太古「そうですね、ルヴァンカップでは清水サポーターからポジティブな反応が散見されましたが、実際に観た印象でもガラッとプレイスタイルが変わってまして、普通に楽しいサッカーしますね。今までの清水エスパルスとは違うチームになりそうです。」
獣「監督は昨年までマリノスで参謀を務めたクラモフスキーさん、選手も結構入れ替わりましたからね~、実際マリノスの様なサッカーを目指しているんですかねぇ?」
太古「まだまだこれからとは思いますが、かなりチームの特色は出ているという印象でした、特にボール保持の部分とサイド攻撃に関しては短期間でも仕込まれていてるな~と感じました。」
獣「と言うと?」
太古「東京はACLで主にボールを奪うのに苦労していたわけですが、システム上噛み合わせが悪いシステム3-4-2-1のチームが相手という事も理由としてありましたけど、清水エスパルスは4-2-1-3でした。」
①対3-4-2-1の守備(1例)
①対4-2-3-1の守備(1例)
獣「ほうほう・・・確かに後ろは守りやすそうですね、でも実際は結構苦労しましたよね?」
太古「当たり前じゃないですか、この盤面をどう崩して相手の守備を攻略するかが戦術なんですから(笑)」
獣「馬鹿にしてんのか!」
太古「いやそうじゃなくて、だから清水エスパルスは良く仕込まれてるなって話ですよ、特にサイドの局面においては非常に厄介な攻撃を仕掛けてくるチームだなと。」
獣「あぁなるほどね・・・まぁその辺も試合を追いながら話をしましょうか、では結果から見てみましょう!!」
■試合結果スタッツ
獣「イエェェェーイ!!開幕戦勝利ぃぃぃぃぃぃぃ!!」
太古「(うるさい・・・)」
獣「もう細かい戦術とかどうでもいいじゃん!」
太古「いやそれじゃレビューやる意味ないでしょ」
獣「え?良いじゃんもう別に」
太古「良くないわ」
獣「良いとこだけ見ていたい!!」
太古「ダメです」
獣「へいへい、ではスタッツですけど・・・結構良い勝負ですね、スコアが逆でもおかしくないくらい。」
太古「簡易ゴール期待値では東京が上回っていますが、清水にもかなりのシュートチャンスがありました、最後の場面では東京の守備陣が身体を張っていた証ですが、全体的な数字からはスコアほどの差はありませんでしたし、内容では間違いなく清水の方が良いゲームをしていたと思います。」
獣「言い切りますか・・・では順を追って試合を観ていきましょうか。」
■前半 ~東京の守備の狙いは?~
獣「先ずスターティングメンバーですが、お互いに選手を前の試合から入れ替えてきました。」
【東京】安部→三田 小川→中村(帆) アダイウトン→田川
【清水】竹内→中村(慶) ドゥトラ→ティーラシン
太古「東京はターンオーバーか?なんて話も出ていましたが、勝負に拘る長谷川監督が大事な開幕戦に思い切ってベンチ外に置くとは個人的に思わないので、安部と小川に関しては何らかのアクシデントがあったのでは無いでしょうか、田川が先発は後述する理由からだと思います。」
獣「清水側の交代は?」
太古「正直分かりません(笑)、対戦相手の選手個々の情報まで把握していないので。」
獣「あ・・・そ(笑)」
太古「基本的には清水はボール保持から丁寧に繋ぎながら攻める形になると予想していたので、東京が課題の守備でどう守ってくるかを注目して観ていました。」
獣「上で話していたシステム云々ですか。」
太古「そうですね、この試合、東京は基本的に前からプレスに行く選択を取りました。」
獣「つまりは後ろで構えるんでは無くて、相手の陣内で奪ってやろうという事?」
太古「そうですね、下が清水のゴールキックに対する東京の守備を図で表したものになります。清水は両SBがやや高い位置を取って、中盤のCHどちらかがゴール前まで降りてきてボールを受けて前進しようとします。それに対して東京は3トップと3センターがボールを前進させない様に圧力を掛けていきます。」
獣「前半の立ち上がりは図の様に良い感じで前進を防いでいた様に思うのだけど?」
太古「立ち上がりはね、それとアダイウトンに替わって先発した田川が良い働きをしていました、外国人3トップに比べると単体の攻撃力では劣るものの、SBと連動して追い込む守備や前への推進力、献身性でこの試合は貢献していました、起用されたのもそれを狙ってのものでしょう。それが活きたのシーンが下記の図です。(前半31:30のシーン)」
獣「これは撃って欲しかった・・・!!でも確かにこの試合の田川は良かった。」
太古「あとは結果で目に見える部分があれば最高なんですが、それでも現状は1stチョイスでも不思議の無い働き振りでしたね。今後もバランスを考えて先発起用は全然アリだと思います。」
獣「しかし、前半は上手くいったのこのシーンくらいだったのでは・・・?」
太古「ソウデスネ」
獣「何故に片言!?」
太古「要するにこの試合も前から中盤で相手の前進を防ぐ、奪って攻撃するというミッションには失敗しました。下記の図は一例ですが、清水が直ぐにプレス回避ルートを見つけてしまったからです。」
獣「ゲェッ!?人が余ってる!?」
太古「(・・・横山三国志)」
獣「だからサイドからの前進を止められなかったのか・・・。」
太古「この試合は三田と高萩が前から行く事によって空く後ろのスペースに清水の両SBが入り込むことで、サイドで数的余裕を作りそこから起点を作って前進、形は違えどACL同様に橋本の左右のスペースを使われてしまいました、ここら辺のプレスにアジャストしてくるチーム全体の能力を見るとクラモフスキーさんは良い仕込みをしているなと。」
獣「例えばこれを解決するには?」
太古「手っ取り早いのはACL蔚山戦でやったような、WGを下げて4-5-1に近い形でスペースを埋める。」
獣「oh・・・これでは奪った後の距離が・・・。」
太古「ソウデスネ」
獣「結局一緒かい!!」
太古「前半は立ち上がりこそ良かったものの、清水の方が狙い通りに試合を進めたまま終了しました。」
■後半 ~どこまでがプラン通り?~
獣「後半もメンバーチェンジは無し、そしてやり方も特には変えませんでしたね。」
太古「はい、というか4-1-2-3のままでは現状では修正のしようが無いのでしょうか?というのがここまで3試合を観た感想です。」
獣「ぐぬぬ・・・そして立ち上がり早々に失点しましたね・・・。」
太古「これは今年顕著なんですが前後の距離感が離れすぎる嫌いがあります、この失点シーンもそうなのですが、奪って勢い良く上がっていく前線に対して後ろが付いてきておらず、中盤の空いたスペースを使われて相手にプレッシャーがかかっていない状態でスルーパスを真ん中に通されています。2CBの対応も拙かったですが、それ以上に前後の中途半端な距離感の方が気になりました。」
獣「前後分断自体は別に良くありませんか?」
太古「ええそうですね、問題は狙ってやってるかどうかなのですよ、現状の4-1-2-3では期せずしてそうなっているのが問題なんです。結局攻守において現状はデメリットの方が多くなっているので。」
獣「むむ・・・。」
太古「特にその割を食っているのがアンカーと呼ばれるポジションに位置する橋本です、人に強いタイプではありますが広範囲にカバーする事で活きる選手では無いですし、昨年良かったのは高萩とのコンビでチャレンジ&カバーの関係が良かったからなので、動き方が整理されていない状況では非常に窮屈そうにプレイしてる印象です。」
獣「救いはないんですか!?」
太古「ここからが東京のターンです、失点直後に東京はアダイウトンを三田に替えて投入します。」
獣「アダチャンキターーーーーー!!直後にいきなり決定機がきましたね!!」
獣「なんかここら辺からポジションが変でしたね・・・。」
太古「2FWに2SHなんですが、SHの2人がほぼWG気味だったので実質4トップ気味になりました、これには正直かなりビックリしました。」
獣「ここから裏への長いボールが増えた気がします。」
太古「アダイウトンが入ったことで裏へ抜ける動きが加わったので、前線はこんな感じになっていました。」
獣「カオス・・・。」
太古「今まで難しい事で悩んでたやつがぶち切れて物理で押しつぶしにいった作戦だなと改めて観ると思いました。」
獣「ちゃんとやる清水にぶち切れたと・・・(笑)」
太古「更にシルバを高萩に替えて橋本とCH2枚にします、対人守備(回収)と前への推進力を強化します。」
獣「清々しいくらいの前後分断ですね・・・守備は後ろにお任せ・・・。」
太古「ですが、前後分断に巻き込まれるのは清水も同様、そして守備陣の対人能力と攻撃陣の質を考えると・・・。」
獣「ギャンブルに見えて勝算はあった・・・と。」
獣「こんなシーンも」
獣「中村(帆)は左足でも良い質のクロスあげてましたね!」
太古「逆に追いつくまでに守備では下の図の様なシーンも作られていました、正直ここでやられていても不思議では無かったです。」
獣「・・・めっちゃ数的不利。」
太古「オープンな展開に持ち込んで、前線の個人の質で勝負する、今回はこれが実って見事に逆転勝ちとなりましたね。」
獣「ブラジル人トリオは半端無いんですけど、これ後ろが耐えたからこそですよね・・・。」
太古「そうですね、下手すると更に突き放されていた可能性も大いにありましたから・・・今回はまだ発展途上の清水だったから助かったところもあります。」
獣「上位陣相手にはこれは正しくギャンブルですね。」
太古「あと橋本の動きも変化があって面白かったですね、2CHになってからは思い切って前へ持ち上がったり、彼の本来の良さが出ていた気がします。シルバも同様にボールを奪って持ち上がるなどしていたのでこのコンビの働きは大きかったです。」
獣「もう最初からこれで良いのでは?」
太古「勝てればね(笑)個人への依存度が極めて高いこのやり方はあくまでもスクランブル的な使い方が良いと思いますね、セレッソの様にしっかりした守備ブロックを作るチームや対人能力の高いDFがいるチームには案外あっさり止められてしまう気がしますし。」
獣「うーん、あと気になるのはこれってどこまでプラン通りなんですか?」
太古「そこは全然分からないですが、選手の動きなんかをみてもいきなり試した感じはありませんでしたから練習はしていたんじゃないでしょうか、妙に整理されてましたし。」
獣「オプションの一つとして準備していた形だと・・・。」
太古「アダイウトンがベンチスタートなのも関係あるかもしれませんね。」
■清水について
獣「さぁ・・・なんか凄いものをみてしまった開幕戦ですが・・・清水についてはは改めてどう感じましたか?」
太古「現状は良い方向で進んでいるんじゃないでしょうか、強烈な個が無いのはキツイですが、仕組みは良く出来てますし、公式戦2試合目にしては良く仕込んであるな~と思いました。あとは最後の精度ですね。特にクロス、スタッツにも表れてますがサイド攻撃が肝のチームとしては精度の低さはちょっと厳しいですね。ただ間違いなく更に良くなるとは思うので結果が出なくてもどこまで我慢できるかでしょう、理想を追いつつ結果が出ない時に貫く覚悟があるのか…試されてますね。」
獣「理想と現実ですか・・・選手はどうでした?」
太古「良い形で個々人がアジャストしてると感じました、特に両SBの石毛と奥井はめちゃくちゃ厄介でしたね。あとは中村(慶)ですか、運べるしはパスも出せるわでいやらしい相手でしたね。」
獣「正直、このタイミングで当たれたのは良かったかも知れませんね、他の外国人選手が合流してきたらかなり期待出来るんじゃ無いでしょうか。」
■東京について
獣「東京で気になった選手はいますか?」
太古「先ずは中村(帆)でしょうね、素晴らしかったです。攻守にバランスが良く、頭の良さも感じるポジショニングなども含めて総合力の高い選手だと思いました、本職で無い左SBでここまで出来るのは正直驚きでした。室屋と小川のバックアッパーとして現状は最有力かと。」
獣「同じく大卒の紺野はどうでした?」
太古「彼も良いですね、ボールキープ力に加えて周囲との関係も良いので切り札としてベンチでもいいですが、個人的にはレギュラーでも不思議ではな無いです。安部も含めて大卒組がここまでやってくれるのは期待以上ですね。」
獣「さて・・・次は横浜マリノスとのホームゲームですね。システム含めてやり方はどうするでしょうか?」
太古「現状の4-1-2-3の完成度では間違いなく厳しいでしょうね・・・個人的には昨年から言ってますが、4-4-2ベースに個人の質を上手く組み込んでいく形が良いと思います。特にマリノスの様な相手にこそ刺さる戦い方だと思うんですよね。やはり守備を安定させた上で前線のタレントを活かして欲しいんですが・・・現に清水戦ではそれで結果が出たわけですし。」
獣「4-1-2-3を諦めると?」
太古「そればかりは分かりません、以下のインタビューにもあるように4-1-2-3は長谷川監督が昨年から暖めていたプランです。」
うちは(横浜)F・マリノスのように3トップをワイドに開かせるのではなく、3人が近くでプレーして連係しながら攻めたいと思っています。昨シーズンは2トップでしたが、2トップにもう1枚が絡んだ時にチャンスが作れていた。タケ(久保建英)がいた頃は自然とそうした形になっていたんですが、タケが移籍してからは、ディエゴ(・オリヴェイラ)と(永井)謙佑の2トップ+1の形がなかなか作り出せなかった。だから今年は、3トップにして必然的に3人が絡むような形を作ったほうがいいんじゃないかと。それで、攻撃により厚みの出るシステム(4-3-3)にチャレンジしています
獣「石川ナオCCのインタビューを聞いてもチームとしてこういうサッカーをしたいというのは共有されているようですしね・・・キャンプも含めて練習した事をそうそうに放棄できるかというと・・・。」
太古「難しいと思います、東も戻って来ますし、永井も復帰して来ますから、ここからどうするのかは注目ですね。」
獣「東京も理想と現実・・・悩ましいですね、そんな試行錯誤な中でも公式戦4試合3勝1分7得点2失点は凄いんじゃないですか?」
太古「前線のブラジル人トリオで6点ですから(笑)まぁ課題がありつつも勝ち続けてるのは良い事ですね。」
獣「次はリーグチャンピオン!次もパワハラでいきましょう!(笑)」
■監督談話
--攻撃のスイッチが入らないとありましたが、風の影響もあったでしょうが、前になかなか勢いが出ませんでした。
清水は中村 慶太をボランチに使って、より攻撃的に戦ってきました。受けるつもりはなかったが、前線でスイッチが入らずうまくボールを奪えませんでした。システムに慣れていないこともあるし、ACLから中4日でナイターの試合が続いたので、デーゲームで選手たちも体のスイッチが入らなかった。ボールも走らない粘っこい芝生でもあったし、清水自体も良かった。良い守備ができないところで、奪う位置が低く、清水のプレスも速かった。さまざまな理由があってボールをつなげなかったのが前半と後半の始めだったと思います。
獣「やはりプレッシングが上手くいっていなかったのはここからも読み取れますね。」
太古「疲労も若干の原因と言ってますね。」
--今日は3トップの一角に田川 亨介選手を入れた。その理由とJリーグデビュー戦となった中村 帆高選手の評価は?
帆高は及第点でした。開幕スタメンでキャンプでは左サイドもやらせていたが、本人は右が慣れている。小川(諒也)の足のケガもあり急きょ先発しましたが、やれることはやってくれたと思います。さらなるパフォーマンスを期待したい。前線については3トップで機能しない部分もACLで感じられた。田川のコンディションもよく、攻撃にアクセントをつけてくれると期待して起用しました。
獣「中村(帆)は長谷川監督からも評価が高いようで・・・というか小川は怪我ですか・・・。」
太古「マリノス戦の先発もありそうですね、田川も評価されてます。」
--アダイウトン選手の投入後はシステムを[4-4-2]に変えたように見えました。その意図は?
この状況を打開するにはどこで彼(アダイウトン)を使うか。ACLでもああいう形はオプションとして持っていたので、FWに入れて前線に起点ができた。そこに相手が引っぱられてレアンドロも空いてきた。今日はアダイウトンが流れを変えてくれた。アル(アルトゥール シルバ)もボランチから前に出てくれた。
獣「やはりオプションとして準備していたんですね。」
太古「問題はこれがオプション止まりかどうかになりますか。」
※データ引用元は下記サイト
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