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「最悪のち最高」~2020 J1 リーグ第4節 vs 横浜Fマリノス(A)~【レビュー】

太古の森(以下太古)「皆さんどうも!」
漆黒の獣(以下獣)「ようやく再開後の連戦最後のレビューになりますね。」
太古「チームもここで1週間のインターバルを得て、コンディションを整えつつ、多少なりとも整理をする時間が出来ますね。」
獣「僕らも一旦一息つけるという事で!(笑)」
太古「追われていましたね~何かに。(笑)」
獣「好きだからとはいえこの間隔は大変でした、それでも今シーズンは今後もこの状況が続いていきますので馴れていきましょう!」
太古「という訳でマリノス戦の振り返りをしていきます!」

■試合雑感

太古「東京多摩川クラシコの惨敗からどうなるかと思いましたが、昨季チャンピオンを相手に逆転勝利を収めました!」
獣「いやはやお見事でございました、しっかりとメンタルを立て直して見事な逆転勝ちでしたね。色々と思うところはありますが、先ずは素直に嬉しいですし、チームに拍手を送りたくなる内容でした。」
太古「スタッツを見るとこれほど極端な数字も凄いですね、ここ数年の東京マリノスは確かにこういう構図になりがちですが、ここまで極端なスタッツは凄い・・・。」
獣「支配率、パス数で上回っていても負けるなんて事はよくありますけど、アッタキングサード(敵ゴール前のエリア)までマリノス側の選手はしっかり入り込んでいますからね。」
太古「実際にマリノスは先制点を奪って、その後も流れの中でチャンスを迎えましたが決め切れませんでした。」
獣「恐らくマリノス側の視点でみれば、事前に準備してきた事はしっかりやれていたと思いますし、1点目などは狙い通りだと思います。本当にあとゴールだけが遠かった。」
太古「ポステコグルー監督も満足した旨のコメントを出していますね。」

[ アンジェ ポステコグルー監督 ]
負けてしまいましたが、ゲームをコントロールできていましたし、良いゲームだったと思います。カウンターとセットプレーでやられてしまいましたが、チャンスを多く作りました。全体的には良いゲームができたと感じています。 ~中略~ もう少しできた部分もあると思いますが、相手も個の強い選手がいました。守備陣というよりはチャンスを生かし切れず、ゴールを奪えなかったのが敗因です。

獣「これは素直に本心だと思いますね。」
太古「そんなマリノス相手に先制されながらも東京は逆転勝ちしたのですが、かなりギリギリの闘いでした、多摩川クラシコの最悪とも言える内容から一転して、内容、結果共に今度は最高の結果になったのではないでしょうか?」
獣「極端過ぎる位の内容ですが、試合前に掲げていたテーマからすると間違い無く会心の出来だったと思います、少なくともこの一戦に限っては。」
太古「長谷川監督も試合後のコメントで内容、結果共に満足した様なコメントを出しています。」

[ 長谷川 健太監督 ]
厳しい試合になることは分かっていた。前節、川崎Fに完敗して、今日も立ち上がりから先制されて、ただ前回と違うのはしっかり切り替えてアグレッシブに戦えたこと。リバウンドメンタリティーや強い気持ちを出してくれた。そして永井(謙佑)が戻ってきたことは心強い存在。攻守で存在の大きさを再認識しました。今後、今までの部分を取り返してさらなる活躍を期待したい。終盤、全員が初めから飛ばして足がつる中、森重(真人)が最後まで声を出して統率していた。前節はらしくないプレーだったので、今日は彼の存在がすごく大きかったと思います。

獣「前節、川崎相手に全くといっていいほど良い部分を出せず、ここ数試合の迷いも含めてこのまま行くと東京にとっての強みである「ハードワーク」「闘争心」といった大事な部分が失われかねない状況で、長谷川監督としては戦術の熟成度云々の前にそういった根幹を成す部分を再確認したかった一戦でしょうから、これだけものを選手が見せてくれれば満足出来る内容と言えるでしょうね。この試合にはそれくらい「結果」に拘る必要があったと言うのはメンバー構成からも伺えます、移籍の決まった橋本、本来ならもう少し調整で様子を見る予定だった永井を起用しましたから。」
太古「相手はマリノス、しかも昨年の最終節で目の前で悔しい思いをした日産スタジアムでした、正に「自信」を取り戻すためにはうってつけの状況だったという訳ですね。」
獣「それは監督のみならず選手も良く理解して動いていたと思います、右腕を庇いながらもスイッチ役ととしてスプリントを繰り返していた永井はその象徴ですね、やはり彼のスプリントは東京全体の動きを前方向に加速させる働きがあるのじゃないでしょうか・・・というかあの状態で59分までプレーして1アシストって・・・(苦笑)」
太古「普通に考えておかしいですよね・・・(苦笑)」


獣「ただ、間違いなくチームが彼に引っ張られた感はありますね。この試合で1番のターニングポイントになったのは、先制点を取られてもチーム全体の姿勢が落ちなかった事だと思います、前節は先制されて一気にガクッと動きが落ちてしまったのですが、むしろ動きが加速した感さえありました。」
太古「メンバーも「前進」に優れた人選だった様に思えます。」
獣「田川アルトゥール・シルバ、この2人は推進力とボールを前に運ぶ力に優れていて、これまたチームに前向きなパワーを与えてくれました。」
太古「マリノスの中盤にフィルター役になる選手がいなかった事も大きく感じました。」
獣「天野扇原は攻撃の際に威力を発揮する組み合わせでしたが、守備面ではアルトゥール・シルバにフィジカル的なアドバンテージがあり、剥がされて前進されるシーンがありました。」
太古「喜田あたりが最初から出ていればまた違った状況になっていそうですが・・・。」
獣「そこはターンオーバー的な面もありますが、マリノスとしてはチームの哲学を優先させたようにも感じました、守備面でのデメリットは甘受してでも自らの強みを出したいという意思ですよね。」
太古「本当にこのカードは近年になって完全に異なる哲学同士のぶつかり合いなりましたね、東京にとっては噛み合わせが良いとは感じますが。」
獣「マリノスとしては完全に相手が待ち構えて構えているところに攻めていく訳ですから、それは分が悪いですよね、それでも年々東京の守備を攻略出来るようになって来ていますから、東京側としても大変だと思いますよ、生半可な攻撃力じゃありませんから回数を重ねる事に、紙一重になってきていると感じます。」
太古「東京の選手達も相当消耗しましたからね、当たり前ですけど楽な試合ではなかったのは外からでも分かりました。」
獣「単にボールを持たれている訳では無くて、ゴール前のギリギリのところで踏ん張っている訳ですからね、こんな試合は続けて出来ないですよ。(笑)」
太古「今回は東京に軍配が上がりましたが、次はホームで11月に再戦です。」
獣「シーズン終盤にお互いのチームがどういう形になっているのか気になる所ではありますが、願わくはこれだけキャラクターがハッキリしたチーム同士ですから、より突き詰められたて万全の状態で闘う試合が見たいですね!」
太古「マリノス側が今度はリベンジしたいと思っているでしょうし、こちらも万全の状態で迎え撃ちたいですね!それでは続いてここから両チームにフォーカスしていきます。」

■東京 ~この試合で得た自信はどこに繋がる?~

■共有出来た「狙い」とそれを支えた「ハードワーク」
太古「それでは東京からです、良かった点を教えて下さい。」
獣「先制後も心が折れずにプレー出来ていた点は先程触れましたが、チームとしてこの試合狙っている部分がしっかりありました、最終ラインが高い位置を取って前からプレスを仕掛けてくるマリノス相手に、背後のスペースを長いボールを使って攻略するやり方は今までも行ってきましたが、この試合ではプラスして相手のサイドのスペースを意識した攻撃が目立ちました。2点目のシーンが分かりやすいので見て下さい。」


獣「このシーンでは前から来るマリノスのプレスに対して、右SHのが相手の中盤3選手の背後のスペースを取る様に中央に降りてきて一度ボールを受けます、更にマリノス左WG遠藤の背後のスペースに室屋が入ります、これによってマリノス左SBのティーラトンはボールホルダーの室屋を両方見ざるを得ない状況が出来てしまい、ボールにアプローチに行くのか、はたまた室屋に付いて行くべきか迷いが生じます、はこの時間を使って中央にいるディエゴへゆっくりとパス、ティーラトンがボールに釣られて中央を見ている間に室屋は一気に加速して背後のスペースを駆け上がります、ディエゴ室屋の前方へワンタッチでパスします、ディエゴへのパスで一瞬足を止めた相手ディフェンスラインの背後に、快速永井田川が入り込んで先手を取っています、同じく快速のチアゴでしたがこの状況では間に合わず、結果的背後からの守備になってしまい、ファウルでPKというシーンでした。」

1点目のPKに繋がるシーン

太古「これは単純にディフェンスラインの背後によーいドンではなくて、前に引っ張って、中央を使い更に引き寄せ、そこから空いたサイドに展開してから背後を狙う、全体を振り回しながら自分たちが有利な状況で背後を付くための工夫ですか?」
獣「そうだと思います、単純な長いボールではプレス回避は出来ますが、広大なスペースをカバーするチアゴがいますから中々に難しいです、なのでマリノスのプレスの特性と前に推進力のある東京の選手の特性を活かす策だったのでしょうね。このシーン以外にも2点目のFK繋がる直前のプレイも一度右にずらしてから対角線にパスをするなど、色々と工夫が見られたので、前プレからのショートカウンター、背後へのロングボール以外の攻め手をチームがしっかりと準備してのだと思います。」

太古「その辺の細かい部分に関しては以下の記事を読んで頂ければ分かりやすいですかね。」

獣「はい、もうこれだけで充分ですね(笑)」
太古「あとは選手個々が頑張った!これに尽きるのでは?」
獣「乱暴だけどそれで合っていると思います。(笑)」
太古「最後の場面でも皆身体を張って止めていましたし、集中していました。」
獣「あとはレアンドロのクオリティですね、この試合で確信しましたがやはり仕上げの部分に関わる能力で、現時点で東京においては群を抜いた能力を持っている事を証明しましたね。」
太古「長谷川監督が何を置いても彼を使いたくなる気持ちが分かりすぎます・・・。」
獣「この試合は守備も頑張っていましたし、徐々に守備面も良くなってきている気がします・・・あくまで気がするだけですが、そこが出来れば一番の近道ですから(笑)」


太古「あとは他に気になった選手はいますか?」
獣「先ずは移籍の決まった橋本ですね、いて欲しい危険なエリアに鎮座して、機を見てすかさず厳しいタックルでボールを刈り取っていました。ゴール前中央のエリアでは殆どやらせなかったのは彼の働きが大きいですね、流石の実力を魅せてくれました。」

獣「そして両SBの中村帆室屋、超強力と言っても差し支えないマリノスの多種多様なWGの選手達を1失点目以降は抑えきりました、攻撃でも果敢に背後のスペースを突くなど、脚が攣るまでハードワークをしてくれました。特に中村は本来とは逆の左SBでも守備面では小川以上の実力を発揮してくれたのは大きいですね、これで不安のあったSBの層が3人でローテーション出来ますから。」

獣「あとは森重渡辺も後半はしっかり集中して最後の一線を越えさせないように身体を張っていましたね、特には攻撃で1点目と3点目の基点になりましたし、守備ではハイボールを安定してキャッチする事でチームを落ち着けていました。」
太古「ホントに時間があれば全員褒めたい位のハードワークでした、狙いがあって、それを実現できるハードワークとスピリットが体現できたと。」
獣「素晴らしい試合でした。」

■この試合限定

太古「続いては東京の良くなかった部分にも触れていきましょうか・・・というかありますか?」
獣「この試合に関しては少ないですね・・・強いて言うなら最終ラインの強度です、確かに身体を張ってマリノスの攻撃を1点に押さえ込んだのですが、昨年の良かったときに比べるとまだまだ安定感に欠けます、片側のサイドは捨てる守備をする東京ですが、それにしてもサイドを変えられて揺さぶられると簡単に崩れそうになってしまうシーンが見受けられました、更にはオマリを入れて終盤クローズ用の5-3-2にしたのですが、後ろに人数を揃えたにも関わらず、パワープレーが得意ではないであろうマリノス相手に少人数で決定機を作られていました、馴れないシステムとはいえここも今後使っていくのであればここは修正するべき部分だと思います。」
太古「今シーズンからゾーンで守る意識より人に付く意識が強いのも影響しているのでしょうか?」
獣「それもあるとは思います、いずれにしてもこの路線を今後敷いていくのだとしたら更なる安定は必須でしょうね。そして今触れましたが今後どうするかが目下1番の課題だと思われます。今回は自信を取り戻す意味でも昨年を踏襲する様な形を取りましたが、今シーズンの新しい試みが上手くいっていない中でのこの結果は複雑ですよね、更に4-4-2で重要な中盤のバランサー橋本があと1試合で移籍です、これもこの試合で活躍したことで非常に複雑です(笑)つまりはこの試合だけで見れば会心の出来です、今後を睨むと何とも言えないと言うのが個人的には良くないというか、不安な点です。」
太古「現に長谷川監督も悩んでいますね。」

[ 長谷川 健太監督 ]
新システム([4-3-3])に関しては再開後にどこと対戦するかは分かっていたし、(橋本)拳人のロシア移籍が決まっていなくなると分かって、アンカーかダブルボランチでやっていくのか、先月中旬あたりから手探りしながらやってきました。その意味ではアンカーの良さもあれば、ダブルボランチの良さ、今日みたいなトップ下がいるみたいな形や、右サイドは東(慶悟)がいるがもう少し攻撃力のある選手も含めて使い分けていきたい。

獣「おそらく戦の辺りから試行錯誤していたのでしょうね、中盤の構成をあれこれ弄っていたのもこのコメントで得心がいきました、今後のプレースタイルどうするのかはまだ分かりませんが、個人的には橋本のラストゲームになるホーム浦和戦は、マリノス戦と同様で臨むのでは無いかと思っています。いまのこのムードは大事にしたいでしょうし、浦和戦、橋本ラストゲームなら結果も欲しているでしょうからね。」
太古「どちらにしてもマリノス戦の結果はここだけのものになる可能性は高いという訳ですね、」
獣「橋本同様に重要な活躍をしていた田川の怪我の具合も気になります。」
太古「とりあえず今週末に注目ですね、個人的には橋本のラストゲーム、対浦和という事なのでこの試合のみに注力しても良さそうですが・・・果たして長谷川監督はどういう選択をするでしょうか?」

■横浜Fマリノス ~王者の矜持~

■割り切れる結果
太古「続いては対戦相手からみたマリノスに関して触れていきますが、先ずは良かった部分についてです。」
獣「これはもうマリノスサポーターの皆さんはよく分かっている事だと思いますが、ブレずに最後まで付き通せてチャンスも最後まで創れたのはポジティブだと思います、こちらから言うと嫌味に聞こえてしまうかも知れませんが、今年攻撃的にいくと決めていたチームをなりふり構わず守る選択をさせて、更にはギリギリのところまで押し続けていたのですから、そこは良い部分だと思っていいと思います。正に後はゴールが決めるだけですからね、実際に良い形で先制もしていますし。」

太古「監督同様にキャプテンの喜田がこういうコメントをしています。」

喜田 拓也
自分たちはボールを支配していましたし、最終局面での手詰まり感はありません。もちろん(FC東京が)ブロックを敷いて、あれだけ人数がいれば難しい部分はありました。(ベンチスタートだったので)アップしながら見ていたので、すべてを把握しているわけではありませんが、自分たちのサッカーを出せなかった印象は持っていません。皆さんを含めて周りがどう思っているかは分かりませんが、自分たちは一度つないだ手は離しませんし、どんなことでも一緒に乗り越えていきます。もちろんどんな結果であろうが、ブレてもいけません。自分はこのサッカーを、このチームを信じていますし、みんなも同じだと思っています。だから、そこは一ミリも心配していません。

獣「こういうコメントを試合後にキャプテンが出来るのは素晴らしいと感じました、開幕から研究対策をしてくるチームが沢山ある中で、チーム全体で目指すべき部分がブレないというのは大切な事だと思うので、率先してキャプテンと監督が発信しているのはとても良いと感じました。」
太古「逆に言えばここまで極端な戦い方をしてくるチームは東京以外には殆どいないでしょうからね、ある意味割り切れるのではないでしょうか?」
獣「むしろ割り切った方がいいまでありますよね、自分だったら仕方ないで割り切りますよ(笑)」
太古「東京に負けるのは悔しいとは思いますけどね、東京みたいなチームを正面から叩き潰す事をしたいでしょうし、それでいてああいうコメントを監督とキャプテンが出せるのは強いですよね。」

■最終ラインの連携、理不尽な攻撃

太古「続いてはマリノスの良くなかったポイントです。」
獣「これもマリノスレビュアーチームが隅々まで語りつくすと思うので、正直必要かは微妙ですが。(笑)」
太古「強いて言えば?」
獣「GK梶川と最終ラインの連携は気になりました、明らかにパク・イルギュと比較すると梶川のプレーエリアが狭い中で最終ラインの選手達がパクのエリアのつもりで守備をしているように感じました、これはチームスタイル的に梶川が合わせるしかないのでしょうけど、なかなか直ぐには馴れないと思いますし、チアゴもまだ不完全とあっては今後も狙われそうだなと感じました。」
太古「マリノスのGK特有の必須技能・・・大変ですね。」
獣「あとは攻撃についてですが、完成度が高い故に予測出来ない理不尽な攻撃が少ないなという印象も受けました、抽象的になってしまいますが、綺麗なんですよね、攻撃が。上手く表現出来ないのがもどかしいんですけど有無を言わさぬパワーみたいなものがあればもっと怖いなと感じました。」
太古「個の部分なんでしょうかね?確かにシステマチックなイメージがあるので何となく理不尽さは感じないですね。」

~あとがき~

太古「以上、試合を振り返ってみましたがいかがでしたか?」
獣「やはりキャラクターがハッキリしているチーム同士の試合は面白いなと純粋に思いました。」
太古「勝ったからいえる事でもありますよね。(笑)」
獣「ま~それは否定しないです。」
太古「そして最後に紹介を!」
獣「はい、レビュアーの多いマリノスレビュアーさん達がこの試合の記事を沢山上げてくれています、敵側からみた東京がよく分かると思うので下記に貼っておきますので、是非に!」


太古「というわけで次は浦和戦です!」
獣「次も難敵!詳しくはプレビューで!」
太古「最後まで読んで頂いてありがとうございました~!」

※画像作成とデータ引用元は下記サイトを利用

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