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3度目の秋。
kekoriちゃんの優しい声が流れてきた。
夜神くんとさよならして、3度目の秋が(これを書き始めた時)まさにきていた。(もう冬ですね)
そして、昨日、夜神くんは、33歳になっているはずだ。
もう、ずいぶん歳をとってしまったのに、
私はまだ、彼を手放せないままでいた。もうずいぶんとあの頃は客観的になって、遠い過去になったけれど、それでも思い出の夜神くんのことが好きで仕方なかった。
好きだというあの時の情動ほど、熱くて強くて揺さぶられて震えて溢れ出す何かはないけれど、
静かにやっぱりあの頃、私に見えていた夜神くんを愛おしく思っていた。好きというよりは、愛おしくなっていた。少しばかり思い出が美化されていることもちゃんとわかった上で、その美化されたことも含めて、彼を愛おしく思っている。これだから、進めないまま歳だけとっているってわかっているし、昨年か今年から海外に住んでいるらしい夜神くん(実のところ私はブロックされているけれど私の側はLINEを切っていない)は、もう遠くて手も届かなくて触れることもできないし見ることもできないのもしっかりわかっているし、
新しい大切な方が一緒かもしれないなということも少しばかり想像していて、その上で、私の中の夜神くんを愛おしく思っている。
愛おしくなってしまっていたら終わりだと少し思った。
好きならまだ止められたかもしれないしいつか、消えたかもしれないけれど、愛おしいになっていたら、もう下がれない。
愛おしいというのはもう、どこが好きとか、どんなところがいいとかそういう次元じゃない。その存在があるだけで、というよりは、自分の中には、その人が棲みついていて、それが過去の恋愛でも今の恋愛でも、ふとした時の仕草や思い出や、思い出す感触とかが全身に蘇ってきて震える感じだ。
そうは言っても、私の場合はずいぶん時間が経ってしまってもう、一昨々年、ongoingで感じていた感覚は、本当にそれだったのかわからなくなってしまっている。
Kecoriさんの「桜色」が、手放した恋に未練がありつつも、現実はわかっていて、けれどまたいつか君と出会えると、確信的に信じている、そういう雰囲気にさせてくれて、夜神くんと見たかったはずの、来なかった春に想いを馳せる曲なら
「Heart」は、まさに、この3年後の秋をピンポイントで刺してくる歌だ。特に、好きなのに自分から別れた私には。そしてまだ、夜神くんと会えたら、もし互いに同じように好きになれたら、とどこかできれずにいる私には。
本当はね 言うつもりなかったのにな
ごめんね 最初からもう
戻れないコトわかってたの
バカだね
君を想い続けて
3度目の秋がやってくるよ
どこで間違えたのだろう。今でも考える時がある。10月のお泊まり?11月の最後のデートの時にはもう完全に、これはおかしいってわかってた。そこからどうにか修復したかったからもがいただけで、修復しなければならないんだって11/4のデートの約束をドタキャンされた時にはわかっていた。そして、11/9のデートになる前、10月に夜神くんの家に泊まって帰ってきたあの日、あの日にはもう、夜神くんの様相が違うことに気づいていた、気づいていたからどうにかしようと思っていたんだと思う。どうにもならなかったけれど。
どこで掛け違えちゃったのか、考えても考えても、私の側のマイナス点はやっぱり10月に1週間、夜神くんの家にいた間、「ただ休みたかった、何もしたくなかった、何もできなかった」当時の私と、「親や周りの人や仕事などの環境から6日間離れることでやりたいことをそこでやれる環境を作ってあげよう」と思っていたらしい夜神くんの、考え方の違いだった。
「休日」になったら、好きなことや趣味に勤しんで、どこかへお出かけして、誰かと会って、やりたいことややろうと思っていたことをやるactiveタイプの人間にとっての、「休む」と
「休日」になったらやっと、無理やり動かしていた身体や心が、突然もう動かなくってバッテリー切れで本当にもうベッドから出られない、部屋も片付ける心持ちにもなれない、起き上がれなくて天井を見つめて、休みなのに、休んでいるはずなのに、疲れはとれず力の入った身体もずっと力んだままのような、だからベッドに横になっているのが精一杯のようなinactiveなタイプの人間にとっての「休む」の違いだった。
わたしは平生から、inactiveで、ただ単にどんどん予定がたつから、予定の分は「こなしている」「こなしているとまではいかなくてもとりあえずなんとか処理している」だけであって、activeの人にとってのON(仕事など)のような捉え方と私にとってのONの捉え方は全く異なっていた、
そういうことなんだと思う。
夜神くんと過ごしていたあの秋から、
3度目の秋が来た今、
いつかさ 約束したよね
忘れちゃったかな
何一つ叶えられないまま
遠ざかっていく君のハートに
何度も名前を呼ぶんだ
けこりちゃんの歌は、どうにも私の恋愛と、
というより、夜神くんを想う私と、重なる。
あの時した約束…いや、夜神くんにとっては約束なんて感じじゃなかったんだろうね。恋愛中の高揚のノリみたいな。
もともと髪の量が多いからあまり長くはできないけれど、私、しばらく短めの髪が好きだった。夜神くんが、下でまとめてコンコルドみたいなのでさらっとまとめているような髪型が好きって、言ってたから。髪の量が多い私には、難しかったけどさ。
伸ばしてた髪を切ったの
ショートにしたよ 君が好きな
振り向いてくれるかな
「可愛いね」と言って欲しかった
君を想ってからの切なさももう慣れたかな
って聴いて思い出した。
私、付き合う前より付き合っている時より、別れてからの方が、ずっと夜神くんのこと、想ってしまっている。好きだった夜神くんの香りも夜神くんの家のシャンプーも、夜神くんが作ってくれたご飯も、一緒に食べたご飯も、一緒に聞いた曲も、夜神くんの職場がある方の別荘(住んでいる家)も、東京にある家も。
離れてからどんどん、わからなくなるのに、記憶が薄れていくのに、もう夜神くんの香り、わからなくなっちゃったのに、どうして好きだって思い込んでいるんだろう。いや、まだ、会いたいんだ、本当に。
もう、夜神くんがなんの仕事をしてどこに住んで、どんな人と付き合っているのかとか何も、何もわからないのに。
親愛なる友人に話して、相談もして、
私から別れを告げた。私から、離れた。
夜神くんが、答えを出そうとしなかったから、
そのままなあなあに消滅させようとしていたから、だから、私が終止符を打った。気づいたら消えてしまっていたよりずっとよかった。自分からさようならして本当によかった。それなのに、
まだ諦めたくなくて、まだ愛おしくて、
でも、1年前とかには考えられなかった、
「新しい彼女」がいる可能性について想定してしまっている。
君はさ 今どうしてるの?
何してるかな 誰かと笑いあってるかな
私じゃないね
君が守りたい子は 私じゃない方がいいね
答えを待っていたの
どちらとも言わないのはズルいよね
でも、ちゃんと、終止符を打たなければいけないよって、けこりちゃんに、言われている気がした。
温かく包み込んでくれるけど、夜神くんのこと、まだ、手放せないけれど、胸がキュッと痛いけれど、少し前とは、もっと前とは、その形や感覚は変わっていて、やっぱり、時間が経っていて、私はもうあの頃の私とは違うんだって思った。
あの時の夜神くんと同じ年齢になった。
私は相変わらず、たいして働いていないまま、親に世話になってばかりだけれど、友人たちを見ていて、少しばかりあの頃の夜神くんのこと、あの頃よりちゃんと理解できるようになってきた。もう少し、さっぱりとした、自立した関係がやっぱり必要だった。
いつか、いつかまた逢うか、わからないけれど、また逢えた時に、胸を張ってあの頃の自分も、今の自分も、逢えた時のその未来の自分も、自信を持って肯定して笑顔で、ありがとうくらい言える女になろうって思うようになった。
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