PARKS という映画
この世に生を受けて22年間。これまでずっと過ごしてきた東京を離れて、2か月が経った。僕の働く業態の繁忙期ともいわれるGWも終了し、僕はようやく新生活に慣れてきた頃合いである。ああ意外と本州最西端での生活も悪くない、そう感じてきた一方でそろそろ住み慣れたコンクリートジャングルが寂しくなってきた頃合いでもある。
そんな時、僕はシネマックス小倉という映画館でPARKSという映画が上映されていることを知った。橋本愛主演、井の頭公園100周年を記念した映画らしく、ほぼ全編にわたって井の頭公園で撮影されたらしい。予告編でも、でてくる風景は吉祥寺駅の周辺にある通り、ハーモニカ横丁だった。
ところで、僕にとって吉祥寺はとても慣れ親しんだ土地である。幼稚園の頃から定期的に家族で吉祥寺のユザワヤにいって、その帰りは必ずいせやに向かっていた。未だにあそこの焼きトウモロコシと牛すじ煮込みを超えるお店は見たことがない。また高校生大学生の時も、友達と遊びによく行った。井の頭公園をゆっくり歩いたり、ハンモックカフェやライトアップコーヒーに行ったり、もちろんハーモニカ横丁にも訪れたものだ。だから吉祥寺を歩いているとだんだん落ち着いてくる、それくらい僕にとっては慣れ親しんだまちだ。
さて、そんな故郷に近いまちで撮影された映画を観ずに僕は美女と野獣を観に行っただろうか。いやいや、観に行けないでしょう! 美女と野獣をみたら終電間に合わないし!ここはやっぱりPARKSでしょう!ということで観に行きました。
1.PARKSの紹介
http://www.parks100.jp/
あらすじ
吉祥寺・井の頭公園の脇に建つアパートに住む大学生の純(橋本愛)は、最近なにもかもがうまくいかない。同棲するはずだった恋人とは別れてしまい、大学からは留年の通知が届く。なんとか卒業しようとゼミの担当教授(佐野史郎)を訪ねて交渉し、アパートに戻ると、見知らぬ高校生のハル(永野芽郁)が訪ねてくる。亡くなった父親の晋平(森岡龍)について小説を書こうとしていたハルは、晋平が保存していた昔の恋人、佐知子(石橋静河)の手紙を読み、その住所と50年前の写真を頼りに吉祥寺にやってきたのだった。
Introduction
2017年5月に、開園100周年を迎える井の頭恩賜公園。吉祥寺の街とともに歩み、戦前からの長い歴史を通して愛されてきたこの公園を舞台に、画期的な映画が誕生した。 『PARKS パークス』が描くのは、公園の過去、現在、そして未来。50年前に作られたひとつの曲が引き金となり、1960年代の恋人たちの記憶が、2017年の吉祥寺に生きる若者たちの夢と冒険につながっていく。さまざまな人々が忘れがたい時間を共有し、やがて去っていく公園のような映画。かぎりなくオープンで自由で、祝祭の高揚感にあふれながら一抹の哀切な後味を残す、極上の青春音楽映画が完成した。企画を立てたのは、ファンに惜しまれながら2014年に閉館した吉祥寺の名物映画館「バウスシアター」のオーナー、本田拓夫。「映画館の終わりを映画の誕生のきっかけにできたら」という思いが、本作の制作を実現させた。
2.感想
いやー、よかったです。九州にいながら、心は吉祥寺にかえることができました。それに橋本愛らの演技がとても自然で、同年代の僕としては彼らと一緒に大学生に戻ってその場にいた気さえしました。それくらい彼女らの演技と、展開、音楽は素敵だな、と感じました。
井の頭公園の美しい背景、主役たちの自然な演技、作中の素敵な音楽全てよかったのですが、個人的には大学生くらいにある青春と心の葛藤といいますか…自問する場面の表現がとてもツボに入りました。物語が大きく展開していく中で、今いる自分はどこ?となるような小説と現実、現実と過去とのリンク。一気に物語に引っ張られました。とても好き。
…なんですが、その混沌とし始めたところから一気に僕は置いていかれました。現実と小説、過去と現在が複雑に絡まり始めて、自分の居場所がわからなくなる展開それ自体はとても好きなんですが、最終的にそれらはミュージカル調に一気に明るい雰囲気となり映画は終了します。見終わった後の爽快感はあれど、結局どうなったの?という点がたくさんあります。端的に言えば卒業とか、友達のリサとのこととか、ハルのこととか、その後の3人のこととか…。
もう一度ちゃんと見ればわかることもありますし、想像というかあのエピローグからわかるでしょ?という部分も大いにあります。
でもだからこそ、結末も腑に落ちるように描いてほしかった。なあなあで終わらせないでほしかったと感じています。きっとこうなったんだろうともちろんわかるけど、ちゃんと明示してほしいと思ってしまう僕にとっては、うーん?と首をかしげてしまいました。
まだ上映している映画だし、ネタバレもあまりしたくないからそこらへんは控えたのだけど、それでもnoteでいいたかった。もしかしたら瀬田なつきさんの作品がそういう感じなのかもしれないし、それならいいんだ。いいと思う。でもね?
とりあえず、そんなことはいいつつも、この映画はとても素敵だったなーと感じています。音楽と雰囲気、自然な演技は本当に好きで、家で四六時中流しておきたいくらいでした!!