その寿司は二度死ぬ

しばらく気付かないようにしていたのですが、どうやら認めなくてはならないみたいです。

僕のネタがまた一つ、没になりました。

その名も「寿司言葉」というコントです。
どういうネタかざっくり説明すると、花言葉みたいに寿司ネタ一つ一つに寿司言葉があって、男が寿司を用いて女性に告白するっていう設定です。

手前味噌ではありますがそこそこ好きなコントで、またやる機会を伺っていたのですが、一度だけ披露したっきりでもうやらない可能性が高いです。

ズバリ、このコントの死因は最近の回転寿司問題。
これに尽きます。

昨今 Twitter を中心に問題になっている回転寿司での迷惑行為。ピーク時には満席になるほどのチェーン店も客足が遠のき、寿司は回るが客は回らず、一番回っているのは動画の再生数というもどかしい歯車が出来上がってしまっています。

不思議なことに、毎日新しい動画が検挙されていってますよね。多分いま見つかっているものも、氷山の一角に過ぎないのでしょうね。なにが彼らをあそこまで駆り立てるのでしょうか。

たしかに、おれもたまにはレーンから外れたくなるときもあるけどさぁ、さすがになぁ。

中トロもそう言ってます。

そして、回転寿司問題は次なるステージに突入します。「#スシローを救いたい」運動が始まるのです。
回転寿司での迷惑行為がニュースで取りあげられるようになったあたりから、どこからともなく「#スシローを救いたい」のツイートが横行し、蔓延し、跋扈するようになりました。

敢えてマイナスの表現を多用したのは、僕はこれが善意から起こったムーブメントだとは思わないからです。
ひねくれててごめん。可愛くないけど許して。

もちろん、純粋な気持ちであのハッシュタグを使っている人もいるのでしょうけど、多くの場合は世間の関心に便乗しているだけ、特に何も考えずに首を突っ込んでいるだけのように感じます。
有名なインフルエンサーがあのハッシュタグを使うことは多少効果があるのかもしれないけれど、回転寿司に行くことよりも、あのハッシュタグを取り巻く思惑に抵抗を感じてしまうのが正直なところです。

というか、「スシローを救いたい」っていう言葉の違和感すごくないですか?
#スシロー大好き とか、 #スシローに恩返し
だったらまだ飲み込めるんですけど、

#スシローを救いたい
は自分の行為を美化しすぎてないですかね?
本当にそれで救えてますか?

それに、真摯に回転寿司のことを思うのなら、
#くら寿司を救いたい
#かっぱ寿司を救いたい
#はま寿司を救いたい
とかも同じくらい使われててもいいと思います。
「#スシローを〜」 に比べてかなり見かけないですよね。

僕たちは承認欲求じゃなくて、食欲を満たすために回ってるんですけどね。

ほら、かんぱちもそう言ってます。

で、こういった世相によって人知れず僕のネタは没になりました。ここから本題です。

お笑いはかなり時事に左右される気がします。
ネタの中でホットなワードを扱うことが、吉となることもあれば凶となることもあって、僕の場合は後者だと判断しました。

今、寿司を扱っちゃうと、どうしてもあんな迷惑行為やこんな迷惑行為がチラついちゃうじゃないですか。そういうことを連想させるつもりで台本を書いていない以上、それはノイズになります。
運が悪かったと諦めるしかないのです。

こういうことはよくあって、
つい先日も、あるスキャンダルによって、
「うちの知り合いでさ、今度プロ野球選手になる奴がいるんだよね」
「マジで?」
「マジで。なんか球場のカフェで働いてるところをスカウトされたんだって」
「篠田麻里子か」
というショートコントがお蔵入りになりました。
まだまだ蔵から引っ張り出せそうにありません。

こういったものは、日を置いてほとぼりが覚めてくればまた採用できる可能性があります。
「寿司言葉」もそうだと思ってました。


ただ、「寿司言葉」はもうしないと思います。


なぜなら、「寿司言葉」が本当にあったからです。

花言葉が存在するように、寿司ネタひとつひとつに象徴的な意味を持たせた「寿司言葉」が既に存在していたのです。

マジびっくらぽん。


これ本当で、調べたらすぐ出てきます。
あるサイトによると、例えば、
さけ(サーモン)の寿司言葉は、

「冒険」

らしいです。遡上するからかな。


他にも、大トロの寿司言葉は、

「成熟」

おいしそう。

このように、寿司言葉は比較的しっくりきます。
鯛の寿司言葉は「幸福」だし、
桜エビの寿司言葉は「合格」です。

なんなら、ほっきの寿司言葉は「発起」です。
直球勝負すぎ。

ツナの寿司言葉は「一筋縄」です。
ツナ→綱ってこと?

かっぱ巻きの寿司言葉は「空想」。
これは河童が空想上の生き物だからで、
鉄火巻きの寿司言葉は「熱き心」。
なんか分かる。
納豆巻きの寿司言葉は「ねばり」。
そりゃそうだ、なんて思っていたら、
かんぴょう巻きの寿司言葉は「一触即発」。
なんか作風変わった。

個人的に面白かったのはタコとイカの寿司言葉で、
タコの寿司言葉は「執着」であるのに対し、
イカの寿司言葉は「憧れ」。
なんか、イカが主人公で、タコが闇落ちするライバルみたいで良いですよね。
スプラトゥーンってまさかここから…

寿司以外のものにも寿司言葉があります。
あがり(お茶)は「上昇」、わさびは「刺激」。
試しにむらさき(醤油)の寿司言葉を調べたら、
寿司言葉は、「脇役」。
寿司言葉の闇を見ました。

このように、寿司言葉は既にこれ程までに完成されたものなのですが、まだまだこれだけでは終わりません。

なんと、「誕生寿司」なるものもございます。

生まれ月にそれぞれ存在する誕生石と同じようなノリで、「誕生寿司」というものまであるのです。
しかも、こっちは1日ごとに寿司が当てはめられています。恐怖すら覚える。


試しに、自分の誕生寿司を調べてみました。


僕の誕生寿司は、、、、


「かれい」


「かれい」の寿司言葉は、、、、


「永遠の恋」


どうも、永遠の恋こと、田代です。

なんか急にロマンチックでした。
正直「加齢」とか覚悟してました。

調べてみたら、
〆さばが「告白」、はまぐりが「恋愛」と、
ロマンチックな寿司言葉も沢山あるようです。
これで、薔薇がない日は寿司で告白できますね。
薔薇の方が成功確率は高そうですが。

というわけで、「寿司言葉」というものが実際に存在する以上、「寿司言葉」のネタはユニークなものとは言えません。とどめの一撃をくらい、二度目の没の烙印が押されるのでした。お忘れかも知れませんが、これが本題です。


ともあれ、回転寿司の苦境が早々に好転すると良いですね。回転寿司屋さんたちはコント「寿司言葉」の屍を越えていってください。そうなれば「寿司言葉」も天国で喜ぶと思うので。

しかしよぉ、食べ物としてもお笑いとしても、寿司ネタを気兼ねなく楽しめるようになると良いよな!

大将もそう言ってます。

というわけで、
敬愛なる回転寿司関係者の皆さまへ。
僕からは、「ネギトロ」を送らせていただきます。



「ネギトロ」の寿司言葉・・・「繁盛」

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