ギャルのメンタル

最近になって、HoneyWorksの「可愛くてごめん」を初めてちゃんと聞きました。めでたい。

歌詞やメロディ、全ての要素がTikTok撮影欲を掻き立てる曲で、さながら精度の高いセンタリング。一度聞けばインフルエンサーは走り出し、本能でダイビングヘッドを決めてしまいます。心なしか、この曲を踊る TikTokerの表情は、あの頃の岡崎慎司を彷彿とさせます。

自分は割と、「かわいい」を絶対的基準とするギャルのメンタリティに憧れています。

「これ、こう出来たら可愛くない?」
「ここで敢えてこっち選ぶの可愛くない?」
「堅実なのはこっちだけど、こっちの方が可愛くない?」

みたいな生き方出来たら素晴らしい人生だと思うのですが、自分は「可愛くてごめん」を聞いても走り出せませんでした。「可愛くてごめん」を聞いて、バズりというゴールに向かって走り出すか、否か。おそらくこれがギャルの境界線。自分はギャルに向いていないのでした。

ここで、一石投じさせて頂きます。
確かに、自分はギャルのメンタリティを持ち合わせていないのですが、

これ、僕悪くないです。

これ、日本の教育が悪いです。

具体的には、日本の昔話が悪いです。
昔話にギャルを出すべきなんですよ。
現状「かわいい」が正義なんて、どの昔話も教えてくれないんです。昔話の教訓が、日本人の道徳のはじまりだというのに。

というわけで、今日の議題は
「昔話に出てくる猿をギャルに置き換えてみよう」
です。

桃太郎の場合
鬼退治に向かう桃太郎は、その道中で吉備団子で犬を仲間にし、その後ギャルと出会いました。

ギャル「おにいさん、腰につけてるそれ、もしかしてきびだんご?」
桃太郎「あ、そうですけど、、」
ギャル「マジで!持ってるやつホントにいるんだ!ウケんね!」
桃太郎「あ、ありがとうございます」
ギャル「一個ちょうだいよ」
桃太郎「でも、これは、、」
ギャル「いいじゃん、ケチんなよ」
桃太郎「あ、、」
ギャル「うん、意外とうまいじゃん」
桃太郎「本当ですか?」
ギャル「うん、結構悪くないよ」
桃太郎「じゃあ、、もう一個いります?」
ギャル「二個目はいいや」
桃太郎「ですよね」
ギャル「あんた名前は?」
桃太郎「あ、桃太郎です」
ギャル「桃太郎!?ヤバ!!めっちゃウケるんですけど!!」
桃太郎「名前、変ですかね?」
ギャル「いやいや、めっちゃいいっしょ。ウケるし。かわいいじゃん」
桃太郎「あ、ありがとうございます」
ギャル「てかなんで桃太郎なん?どういう意味よ」
桃太郎「僕、桃から生まれてて」
ギャル「は、桃から!?お前何類だよ(笑) 待ってまって、腹痛い腹痛い」
桃太郎「桃から生まれてるの変ですかね」
ギャル「いやいいじゃん!サイコーでしょおもろいし!変は変だけど」
桃太郎「あ、ありがとうございます」
ギャル「じゃあこの犬は犬太郎なワケだ」
桃太郎「犬太郎?」
ギャル「犬から生まれてるから、犬太郎でしょ」
桃太郎「いや、そうではなくて、、」
ギャル「じゃあメスなんだ。犬花子だ」
桃太郎「いや、そうでもなくて、、」
ギャル「じゃあなによ」
桃太郎「………ポチです」
ギャル「普通かよ(笑) ポチて(笑) あんたヤバいね」
桃太郎「今から鬼退治行くんですけど」
ギャル「止まんないねアンタ(笑)どんな文脈だよ(笑) なにそれめっちゃ面白そうじゃん!ついてってもいい?」
桃太郎「いいんですか?ありがとうございます!」
ギャル「で、鬼ってどこに居んのよ」
桃太郎「あ、鬼ヶ島って所で、今はまず海に出ようと思ってるんですけど」
ギャル「え、なに?結構歩く感じ?」
桃太郎「まぁ、そうなりますね」
ギャル「あー、、じゃあやめとくわ」
桃太郎「え、どうしてですか!」
ギャル「いや、うちヒールだし。痛いのとか無理だから」
桃太郎「なんでそんなの履いてるんですか」
ギャル「なんでって、かわいいじゃん。じゃがんばってね、応援はしてるわ」
桃太郎「あ、待ってくださいよ!………行っちゃった」


桃太郎「かわいいって、いいな…」
ポチ「ワン!」


教訓:可愛いは正義

これですよ。桃太郎が女子に慣れてない所がリアルで素敵。これを幼い頃に読み聞かせて貰えればギャルに近づけるはず。

分かりますよ、文句言いたい気持ちも。
「結局鬼倒してねぇじゃん。平和訪れてねぇじゃん」
そう言いたいんでしょう。

分かりました。
こちらが譲りましょう。大人なので。
鬼倒すバージョンも用意しました。

桃太郎(鬼必倒)の場合
さっきの途中からスタートです。

ギャル「鬼退治!?なにそれめっちゃ面白そうじゃん!ついていってもいい?」
桃太郎「ほんとですか!」
ギャル「べつにいーよ、てかさ、鬼倒したいんならユウヤさん呼ぼうか?」
桃太郎「ユウヤさん?」
ギャル「地元の先輩。暴走族の総長なんだけどさ」
桃太郎「暴走族!?」
ギャル「あー、もしもしー?ユウヤさん?ウチウチ。ギャルギャル。お疲れっすー。ユウヤさん鬼退治行きません?なんかダチがやってみたいらしくてー。あ、マジっすか!?族のみんなで乗り込んでくれるんすか!助かるー!じゃあ頼んでもいいすか?ありがとうございますー!!」
桃太郎「………」
ギャル「なんかユウヤさん全部やってくれるってー」


桃太郎「稽古、したのにな、、」
ポチ「ワン!」


教訓:友達は大事

はい。これはこれでいい教訓。ギャルが絡めばなんだかんだ良い教訓は得られるから。暴走族に憧れを抱く可能性に目を瞑れば、そこら辺の昔話よりよっぽど学びあるし。暴走族に固く目を瞑れば。

分かりますよ、言いたいことは。
「ギャルと桃太郎の相性が良いだけじゃない?」
そう言いたげな目をしてますよね。

分かりました。
こちらが折れましょう。紳士なので。
最後に別の昔話の例を挙げて終わります。

さるかに合戦の場合
おにぎりと引き換えにギャルから柿の種を貰ったカニ。すくすく育った柿の木は、きれいな実を実らせましたが、カニは柿の実を取ることが出来ません。そこにギャルが通りかかりました。

カニ「ギャルさん、柿の実を取って貰ってもいいですか?」
ギャル「いいよー」
カニ「ありがとうございます!食べてみたいので下に落としてくれませんか?」
ギャル「オッケー」
カニ「ありがとうございます!この柿、甘くて美味しいですね!」
ギャル「だよねー」


教訓:柿おいしい

ほら平和。なんて優しい世界。教訓なんて最悪無くても、子供の時にギャルに触れる機会があるのが大事だから。そこから人生楽しくなるから。

というわけで、これで多くの人に、昔話にギャルが必要なことが伝わったのではないかと思います。昔話関係者は検討の程、よろしくお願いいたします。

最後に、ここまで来てまだ文句を言いたい昔話過激派の皆様。


ムカついちゃうよね?ざまあ

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