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働くなら非常勤?! 〜学校現場のスケッチ〜

X(旧Twitter)でなんとなくフォローしていた教員の方々の投稿を見ていて、学校現場の苦しさを訴える人が増えてきたなと思います。
非常勤講師になって半年、(正確には正規教員になる前に1年間だけ週5の非常勤をやっていましたが)そこから思ったことを書きます。

端的にいうと、非常勤講師、いい感じ!です。

私は公立中学校に17年間、正規教員として勤務し、今年の3月末で退職しました。
うち14年間はずっと担任としてクラス経営や教科指導(美術)や部活指導に打ち込み、市の研究会で研究発表をおこなったりと相当熱心に活動し、教員の生活=自分の人生だったこともあって、まさか自分が教員を辞める世界線があるなんてこれっぽっちも思っていませんでした・・・世界は広いのになあ。

最後の3年間は思いがけず学年主任として学年・学校経営に携わりましたが、この2年目で頭部を中心に原因不明(ストレス以外にないけれど)の発疹に苦しみ、心身が限界を迎えていることを自覚しました。
辞めることを決意したのは昨年の10月で、校長面接の際に告げて管理職に引き止められたものの、決意は変わりませんでした。
自分の学年の卒業式後、私自身も一旦教諭の立場を「卒業」しました。

オンラインで自分の作ったものを販売したいという夢もあり、オンラインショップを立ち上げましたが、それだけでは生活していけません。
不登校支援をオンラインで行うという活動をしている団体の面接を受けましたが、健康状態の不安が相手側に伝わってしまい、採用ならず・・でした。

ここを収入のあてにしていたこともあり、4月からどうしようかな・・と思っていたところ、研究会でよく話をしていた美術科の教員の方々から、
「来年度の非常勤でうちに来ませんか?」というお話と、同じ時期に退職予定の先生から「次に来る常勤の方が時短を希望していて、非常勤が必要なので来ませんか?」、また以前勤務していた学校の教員の方からも非常勤のお誘いをいただき、ありがたくも計3校からお声がけいただきました。
美術の教員は、というか、そもそも教員自体が足りないんですよね。

全部にお応えしてしまうと常勤を辞めた意味がないので、うち2校を選ばせていただき、週3日で片方の学校が4クラス(1日6時間勤務)、もう片方が6クラス(2日で9時間勤務)という形で非常勤講師として働くことになりました。

そんなこんなで約半年が経ちました。
自分の時間感覚では3年くらい経ったのではないか、というくらいで、まだ半年ということが信じられません。それくらい、時間がゆったりと過ぎています。
2ヶ月に1回くらい、以前の勤務校の教員の知り合いの方々にご飯に誘っていただいたりしていますが、皆一様に「忙しい」「辞めたい」と口にします。

じゃあ辞めたらいいのにな、と思うのですが、結局、誰も辞めません。
わかります。収入が減ったり不安定になって生活が変わるのは怖いことですから。特に公務員を選ぶ人は超安定志向です。(私もまさにそうです)

でもここ数ヶ月の暮らしで、この「安定」ってやつは、本来もっているはずの「その人らしさ」を奪い、結局のところ幸福感から遠ざかってしまうのではないかと思うようになりました。
非常勤で不安定な立場になりましたが、私は自分の気持ちと向き合う時間が増えたことで、昔からある自分の好きなこと、気になることをやることができ、心が満たされるような感覚を覚える瞬間が増えました。
これだけでも常勤辞めてよかったなと思っています。

今勤務している2校、どちらも先生方が朝からバタバタです。
勝手に教室を出ていく生徒を追いかける先生、保護者からの電話に1時間以上対応している担任の先生。PTAの役員っぽい保護者がものすごい「上から目線」で若い先生を叱責している・・3月末まで私もそうでしたが、これが普通の風景になっていた自分が今はむしろ怖いです。
みんな疲れていることもあり、常に変な緊張感のある空気が職員室には漂っていて、学校には正直あまり居たくありません。
授業がないときは美術準備室で一人でお茶を飲みつつ、生徒の振り返りにコメント書いてます。(特別教室がある教科っていいですよね)

どう考えても常勤の学校の先生方は、一人の教員ができる以上の仕事を押し付けられています。一日が終わった頃、心身ともにくたくたになってしまいます。
一晩寝たって簡単に心身の疲れが取れないので、ストレスで変なギャンブルに走ってしまう同僚もいました。
また真面目な先生方は大量の仕事をこなせない自分を責めます。保護者の感情的な叱責にも耐えなければいけません。そりゃあ心身を壊しますよね・・・。
今の片方の勤務校、夏明けに4名の正規教員が療休に入ってしまい、急遽、数名の非常勤が入りました。異常事態です。

生徒たちのことを第一に考える先生たちは真面目だから耐えます。
でも耐えていては学校は何も変わりません。学校の仕組み自体が変わらない限り、先生たちは報われないと思います。
ほんと、辛いなら逃げたほうがいいです。一回心身が壊れてしまうと戻るのにかなりの時間を要します。
そういう意味では、教科オンリー、校務分掌のない非常勤講師はおすすめです。
ただ、生徒との人間関係は希薄になります。勤務日が少ないから仕方ないですが、そこは教科指導の際に会話を深める努力をする必要はあります。

もし非常勤という働き方を選ぶなら、常勤の間に
① 別の学校に同じ教科の知り合いをたくさん作ること。
→研究会などは積極的に参加したほうがいいです。知り合いの先生の口コミから話がきます。私がまさにそうでした。教育委員会って、それに関して動いているのがあまり見えなかったです。
②  常勤の際の仕事の仕方で、ある程度の信頼を得ておくこと。
③ 非常勤1本ではきついので、何かしら副業をもてるように仕事探しや資格取得はしておくこと。
→あまり時間的、空間的拘束のないものがいいと思います。若い人、元気な人ならUberとか清掃業とか。
④ 貯金、投資など当面の金銭的保障を作ること。

というようなことを意識してやっておくといいのかなと思います。
真面目で心優しい先生方が辛い思いをしないで、心身ともに元気かつ明るい気持ちで教科や生徒と向き合えるようになってほしい、心からそう思います。









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