思い出せない
最近考えても考えても
思い出せない
母親「おかんの顔」それがもう
共に過ごした
亡くなる前の顔しか思い出せないのはどうしてなんだろう
母は七十六で亡くなる
亡くなるとは思いもしなかった
ずっと一緒だと思っていた
あれからもう「5年になろうとするのに」
あの
亡くなる前の
顔
と
しばらく共に過ごした時の顔のみ
小さい時とか
20歳の時とか
あの時は
おかんは妹を産んだので
まだ若くて美しかったのに
思い出せない
再婚相手の子供ができたのがすごく
嬉しかったのだろう
「義父」の喜びなんて
もうすごかったのよ
亡くなった弟の顔も
亡くなった時の顔と
もうおっさんで
でっぷり太った中年の弟しか思い出せない
どうしてか
毎日
考える
深い記憶の底の底の方を辿るのだけれど
思い出せない
で
今日
もう考えるのはやめようと
そう思うのよ
そう思ったわ
あたし