離婚7年目にして結婚観が変わる
一度(不幸な)結婚からの離婚を経験している人がよく口にする言葉がある。
「結婚はもうこりごり」
「ひとりが楽で楽しすぎる」
「結婚したからって幸せになれるわけじゃない」
私も同意見だ。
6年半の結婚生活ののち、元夫の浮気で離婚をした。
何も食べられなくなりやつれ果て、実家に救助してもらってなんとか生きながらえた。ひとりであのまま過ごしていたら、本当にどうなっていたかわからない。
離婚することは、不幸な結婚生活からの卒業だ。幸せになるために離婚をする。みじめで悲しく寂しかった日々を思い返すと、本当に日々幸せである(無職はさておき)。
かと言って、幸せな時もあったし、結婚しなければよかったとは思わない。結婚はさておき、お互い思いやれるパートナーがいる生活はかけがえのないものだ。
私も離婚後何人かとお付き合いをした。好きだったし楽しかった。
けれど「どうしてもこの人と結婚したい」と思うことはなかったし、離婚後7年経っても思うことはできなかった。
それは以前の結婚生活、もとい離婚沙汰になった黒歴史があるから、というのもあるが、両親の不仲を子供の頃から見ていたことが大きい。
両親の不仲を目の当たりにし続けていた
私には、大人になっても、結婚するときになっても「結婚したい」「こんな家庭を築きたい」という思いがなかった。
いつもいつも激しいけんかをする両親、嫁姑バトルを見て「なんで離婚しないんだろう」と子供心に感じていた。
「子供のために離婚しない」という両親ではなかったが、二人が仲良くしているところなんて見たことがない。そもそも両親が笑っているところなんて、ほとんど見たことがない。
そんな家庭で育って、「幸せな家庭」なんて想像もできなかった。
7月に母が亡くなった。8年の闘病の末だったが、その間父はまめまめしく母の介護をした。
しかし、その2年前から父は「専業主夫」になった。定年退職をしたからだ。というのも、退職した日に母から「主婦やーめた、よろしくね」と言われたからだそうだ。
「何が主婦やめただ!こっちだって新しい仕事も探したかったのに!でも、まぁ、おばあちゃんの世話があるから難しいのはわかるけど…、ゆっくりしてね、長年ご苦労様でしたの一言もないんだぞ!」と、憤りながらも、看護士として働く母、老人ホームに入っていた祖母の世話を、退職後せっせとこなしていた。
母に先見の明があったのかわからないが、父の主夫スキルは母以上で、掃除や食事の準備、家庭菜園の手入れなどは長年の主婦顔負けのレベルとなった。
母の病気がわかった後も、母に負担のない車での通院や、母の病気に合った食事など気を遣っていた。
それでも「このおかずおいしくない!」「文句あるの!?」とヒステリーを起こす母。そしてそれに対する父の愚痴を、私は何度も聞いては「だから子供の頃に離婚すればよかったのに…」と内心思っていた。
母が亡くなってからの父の気落ちと母の想い
前述の通り母が亡くなり、明日100日を迎える。父の気落ちは目も当てられないほどだ。
正直に言うと驚いた。あんなに仲が悪く、いつも私に母の悪口を言っていたのに。
仏壇に向かっては涙をこぼし、「おかあさーん」と、返事がないのに声をかけ続ける。「もっと、優しくすればよかった」「なんであんなこと言っちゃったんだろう」「後悔しかない」と言いながら涙をこぼす。
泣き虫な父だということはわかっていたが、母の死から100日経っても、父にとって大きな大きな苦しみとなっていることが、痛いほど伝わる。
そして、私の手元にある母の日記にも父への思いが書いてあった。
結婚記念日に「あと何回一緒にむかえられるんだろう」と書いてあった。別の日には「お父さんが優しすぎて怖い」「けんかしちゃった、お互い様だよね」と書いてあった。
今更わかった「夫婦にしかわからない愛」
なんだよ。
なんなんだよ。
あんたたち、本当はこんなにも愛し合ってたんじゃない。
どうして素直に優しくできなかったの?
どうして笑顔で「ありがとう」って言えなかったの?
言わなかったら、わかんないんだよ。
本当はこんなに想い合っていた夫婦だったのに。
私の両親は、愛情にあふれた最高の夫婦だったんだ。
家族の形は、目に見えることがすべてじゃなかった。アラフォーになっても、そんなことがわからなかった。
離婚して7年、ようやく私は「両親のような夫婦」になりたいと思えるようになった。今まで想像ができなかった「幸せな家庭」が、本当は身近にあったことがわかった。
素直に態度に出せなくても、お互いにとっては大事な存在。夫婦ってそういうものなんだな。(浮気なんて形で裏切るなんて、以ての外だ)
結婚って悪いもんじゃないんだ、とやっと思えるようになったバツイチアラフォー。もしいつかいい人と巡り合えたら(もっと素直に気持ちを伝え合える)両親のような夫婦になりたい。そんな私の婚活事情もいずれ…。
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