ファン層の拡大に大事なのは知識ではなく“熱量”
現在カタールで開催されているサッカーFIFAワールドカップが非常に大きな盛り上がりを見せています。
それと同時に最近話題に上がることが多いのが、“影ちゃん”こと日向坂46の影山優佳さんです。
影ちゃんはサッカーに関する知識と分析がえげつなく、他のサッカー好き芸能人やプロの解説者までもを圧倒させています。
影ちゃんをきっかけにサッカーに興味を持ったアイドルファンや、逆に影ちゃんをきっかけに日向坂46を知ったサッカーファンも少なくなく、影ちゃんの存在はサッカー界にとっては希望の星になりつつあるとも感じます。
ただ、その一方で個人的に危惧している点がひとつあります。
それは、影ちゃんがあまりにもガチすぎるがあまり、他のサッカー好きアイドルや女性タレントが出づらくなってしまうのではないかという点です。
今回はサッカーを例にして話を進めますが、この件は他の業界にも言える話だと思うので、それぞれに置き換えて考えてもらえばと思います。実際自分もサッカーについては全然詳しくなく、W杯の時くらいしか見ない超にわかなのですが、“ファン心理”というものはよく理解しているつもりではあります。
先にも述べた通り、影ちゃんの存在によってサッカーを見始めたという人も多く、サッカー界にとってはファン人口の拡大に一役買っています。これはつまりサッカー好きの芸能人がサッカーに入るきっかけを作っているということで、サッカー好きの芸能人が増えればそれだけ入口もどんどん増えていき、ますますファン層の拡大が期待できます。
それと、サッカー好きの芸能人が多くなれば、それだけファンの多いスポーツなんだと認識され、よりメディアで取り上げられる機会も増えてもっと盛り上がっていくと思います。
しかしここで、「影ちゃんくらい知っていないと、あれくらい喋れないとサッカー好きを公言してはいけないのではないか」という空気になってしまうと、この道は閉ざされてしまいます。
正直影ちゃんレベルで知識量を持っていて、分析や解説もできる人は異例中の異例だと思います。なので、影ちゃんの存在にビビることなく、もっとたくさん出てきてほしいと思っています。
ここで大事になってくるのがファンが迎え入れる姿勢だと思います。
例えばテレビにサッカーが好きだと言って出てきた芸能人に対して、「全然知らないじゃねぇか」「にわかなのに出てくるな」と文句を言っていると、それに怯えてどんどん出てきづらくなり、結果的にファンの裾野は広がらないと思います。
何よりも一番大切なのは知識や歴の長さではなく、サッカーが好きだという“熱量”だと思います。
別に好きじゃないけど盛り上がってるし仕事が貰えそうだからとりあえず乗っかろうとしている人は叩かれるべきだと思いますが、仮に知識はそこまでなくても“好き”という熱い気持ちさえ持っていればそれはファンにも十分に伝わると思います。
自分は鉄道ファンなのですが、鉄道が好きと言ってくれる人が増えるのはやっぱり嬉しいですし、もっともっと盛り上がっていってほしいと思っています。
芸能人に限らず一般人同士であってもどうしてもガチなファンの人に対してはおっかないイメージを持ってしまうとは思いますが、比較的ガチな鉄道ファンである自分からしたら、“好き”という気持ちさえあれば、もっと気軽に好きと言っていいのになーと思っています。
知識は後からいくらでも増やしていけますし、いつから好きになったかなんてのも全く関係ありません。
タモリさんや中川家礼二さんなどの存在によって今でこそ鉄道はわりとメジャーな趣味になりましたが、他のマニアックな趣味においても、ファンが締め出しているようではいつまで経ってもマニアックなままになってしまいます。
自分の好きなものが盛り上がるのはみんな嬉しいはずです。
そのために自分たちにできることは、にわかを叩くことではなく、知らない人には魅力を伝え、にわかの人にはいろいろ教えてあげてもっと好きになってもらうことだと思います。