人工膝関節全置換術における膝下脂肪パッドの除去:患者の転帰に影響するか?
▼ 文献情報 と 抄録和訳
Robert M, Derfel W, Nikolaos B, Richard F: Removal of the infrapatella fat pad during total knee arthroplasty: does it affect patient outcomes?. 2014 Dec;38(12):2483-7
[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar
[目的] infrapatella fat pad(IFP)の機能については議論されているが,生体力学的および生物学的な役割を果たしていると考えられている。人工膝関節全置換術(TKA)の際にIFPを除去するかどうかは、依然として外科医の好みの問題である。本研究では、TKA中にIFPを除去することが患者の転帰に影響するかどうかを確認することを目的とした。
[方法] 1,401名の患者(1,417名のTKA患者)について、IFPの切除(切除しない、一部切除、完全切除)と転帰データ(Oxford knee Score(OKS)とEQ-5D)を記録した。術前のスコアには両群間で差がなかった。
[結果] OKSとEQ-5Dの術後1年目のスコアは、IFPを温存した方がトータルスコアが有意に改善した(p<0.05 ANOVA)。IFPが温存された患者は、椅子からの立ち上がり、痛み、足を引きずる、道を譲る、仕事に支障をきたす痛みなどに関連するOKSが有意に改善した。
[結論] 本研究では,TKAの際にfat padを温存することが予後の改善につながることが示唆された。IFPの切除を日常的に行っている外科医は、これが臨床的に必要かどうかを考え、可能であればIFPの切除を制限することを検討すべきである。
▼ So What?:何が面白いと感じたか?
膝関節疾患における疼痛や機能障害に膝蓋下脂肪体が関与していることは臨床上よくある。TKA患者にリハビリを行う際は膝蓋下脂肪体の温存の有無は必ず確認する必要があるだろう。
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