チョコレートの後の煙草は美味しい
最近になって喫煙をするようになってしまった。
酒が好きなのだが、車社会に住んでいるため、昼間は飲めない。だから、代替品を探した結果、それが煙草であると気付いた。
リンツのチョコレートを、目覚めてから最初に一粒、食べる。
そして、いそいそとアイコスを取り出して駐車場に出る。
これがたまらなく美味しいのだと、気付いてしまった。
死にたいと思いながら、生きている。
いま、人生の瀬戸際に生きている。
煙草を吸うと脳が活性化する、という人がいる。
その気持ちは少しだけ、わかる。
血管が締まるのが分かるのだ。細くなった管を血液が走るとき、血の巡りがよくなる。頭が冴える。
一日たった一本だけ。それでも、その一本がたまらなく美味しい。
私はきっと煙草が好きだ。
チョコレートが吸い口の端に付くのが、お行儀の悪い子供みたいで、
或いは口紅で色っぽく汚してしまったみたいにも見えて、いつも苦笑する。
元気になれるなら良いじゃない。
私は今、煙草に、メンソールとニコチンの快感に、少しだけ命を救われている。
今日もまた、チョコレートの後の煙草は美味しい。
だって、まだ生きているから。