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地方のローカル鉄道はどうなるのか、またはどうあってほしいか② 誤解をほどく
・前回記事からの間にあったニュース
こんにちは、パスタライオンです。Twitterで気ままにポンポンツイートする楽さに甘えて全然記事を書いていませんでした、反省しています。
前回の記事 から一か月半、その間に注目すべきニュースが出ました。
ローカル線「鉄道以外も選択肢に」 JR東日本社長、持続可能な在り方を沿線自治体と協議の意向 | 河北新報オンラインニュース / ONLINE NEWS (kahoku.news)
かなりセンセーショナルな記事で、紹介した私のtwitterのリプ欄、引用も大荒れでした。そのリプや引用で、これは今の状況を誤解してるな~と思ったものをいくつか紹介します。
・「本業をおろそかにするな」
・「自社ビルを売ってから言え」
・「需要を戻そうという姿勢が見えない」
・「まず便利にするのが先」
これらの意見に共通する誤解は「JR東日本の怠慢によって、地方の鉄道が縮小されようとしている」というものです。現在の状況、および公共交通の抱える問題においては、これらはまったく見当違いな批判です。
・このニュースを題材に、現在の状況を整理する
では、現在の状況ってなんでしょう。
~単にJRの地方線区が赤字だよってことでしょうか?
~その赤字が都市圏(ドル箱)の利益で賄えないほどなの?
~それとも、赤字路線を守るつもりがなくなっちゃったの?
どれも違います。
現在の状況というのは「このままじゃ地方の公共交通自体(いわゆる地域の足)が無くなるおそれがある」というものです。
・なんでそんなおおごとになるの?順を追って説明します
① 人口減少に歯止めがかからない
地域の人口減少、少子高齢化、ないし駅周辺の人口の減少…これらが改善しないからです。列車もガラガラだけど、バスはというとこっちもガラガラ…車以外の移動手段は実際上ほぼ無いんです。
② 自治体に当事者意識がない
そんな状態で、鉄道を残し続けることが本当にその地域のためになるのか。それを、当事者である自治体が考えてないんです。
なんでそんなことが言えるのか、それは国交省から各都道府県宛てのアンケート調査の結果から見えてきます。
↓は、都道府県が鉄道事業者に求めること(抜粋)
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次に、自治体として自分たちが何をするのか
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どうでしょう、このコントラスト。求めることは多いし大きいけど、自らやることは少なく小さい。前回の記事 で紹介した、北海道の事例をやはり対岸の火事のごとく傍観していたわけです。
駅中心の街づくりとか、マイレール意識とか、観光とか、あなた方一体何十年間同じこと言ってきたんですかって話です。
(*もちろん、真摯に取り組んでいるところもあるのは承知です)
・この状態でバス転換だけを提案すると・・・
という現実に立って考えると、仮に鉄道を廃止すべきだとなった場合に
ただ単に列車をやめます→バスに転換します、というだけではすぐにバスも無くなるし、現実にバス転換後に無くなってる事例もあります。
だから
「このままじゃ地方の公共交通自体(いわゆる地域の足)が無くなるおそれがある」んです
地方の自治体や都道府県にとっては、JRの鉄道輸送は「これからもずっとあるものだ」と思って、もしくは「無視」してこれまで都市整備や都市計画を行ってきました。イチ民間会社に対する態度としては当たり前のことですが、JRに対して自治体の積極的関与はあまりありませんでした(*要望はめっちゃ出すけどね…)
JR各社も出せるデータは出してほしいし、自治体にも考えてほしいところです。
・本当に鉄道じゃなきゃダメ?JRじゃなきゃダメ?
JR東日本、および各社については、そういった「地域の足が無くなる」という危機感を持って収支状況などの発信を行っているわけです。だから、沿線自治体と「協議」をしようとしているのです。(少なくとも表面上は)
国やJRの考えとしては、地域の足を確保する(=憲法上の移動の自由の保障や交通権の確保)のは「その地域に適したモード」でやるべきと言っています。
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逆に言えば、鉄道でやるべき意義がないならほかのモードを使うほうがいい ということです。
もう一歩踏み込めば、鉄道を残したいとなったとして、それはJRがやるべきことですか?という問いでもあります。
では自治体はどのように鉄道の意義を捉えているのでしょうか、先ほどの国交省から都道府県へのアンケート調査をまた抜粋します。
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どうでしょう、仮にこれらが「輸送量の少ない」線区において、それでも鉄道を残す意義として説明される場合、説得力があるでしょうか。私には謎です…
・おわり
と、いうことでJR東日本の社長インタビュー記事から、どんな視点でこの記事を解釈すればいいか、そのベースとなる現在の状況をざっくりとご紹介しました。こういった視点で、鉄道会社や国の動きを観察していただければ、と思います。
交通網の維持の大切さ、交通事業のすばらしさについては、第1回のnoteに書いた通りです。交通網の未来を、これからも発信していきます。
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パスタライオン
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