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「ルビンの壺が割れた」の個人的主観レビュー

はじめに


・今回は「ルビンの壺が割れた」という作品を、普段大して本を読まない一般男性がいっちょ前にオタクガタリ(自己満足)するだけ
・多分いっぱい間違ってる個人的推察をたくさん含む。
・一人称が定まってない
・特にネタバレとかもないから安心して読んでね。

目次


1 ルビンの壺とは
2 タイトルの意味
3 この本の推しポイント
4 この本をお勧めしたい人ってどんな人?

1 ルビンの壺とは


そもそもルビンの壺が何かって話をするんだけど、人間は特定のまとまりを認知するとそれ以外を知覚できないことを示した画像なんだよね
何言ってるか分からないと思うからとりあえず、ルビンの壺を見てみよう!

ルビンの壺。トリックアート展とかによくあるよね


この壺の画像をよーく見ると二つ見え方があると思うんだ。
1:二人の人が話しているように見える(顔を見合わせている)
2:一つの壺(聖杯にも見えなくはない)があるように見える

俺が今まで見たやつとかだと老婆と後ろ向きの女性のパターンとか、ウサギと鳥みたいなトリックアートもあるね。
でまぁ、これが人に見えようが壺に見えようがどっちでもいい。
本質は壺と男女は同時に認識できないことにあるんだ
この画像を壺だと思っている人は二人の人には見えないし
逆に二人の人だと思っている人は壺には見えない
両方を同時に認識することは難しいんだ。
ようはこういう↓こと

壺だけ認識する人
人だけ認識する人
両方認識する人はいない


こんな感じで人間の脳は一つの認識で満足しちゃうんだ。
人間の脳って単純だね。

2 タイトルの意味


そしてこのルビンの壺が割れたというタイトルから分かるとおり
これは文章で構成されたルビンの壺でありトリックアート、
もといトリック文学なんだよね。(そんな言葉はないから適当に名付けた)

まず、この本のあらすじをざっくり話すと、ある日フェイスブックを見ていた男が、過去に別れた女のアカウントらしきものを見つける。
男は気になってメッセージを送ってみる。
そんな感じで始まって男と女のやり取りが始まっていくんだ。
だから読者視点としては他人のDMのぞき見してるようなもんだよ。


この本は常にメール形式でずっと続いていってこの二人が実際に会うとか男の日常風景とかは一切描写されずに、このメールのやり取りだけが永遠に続いていくんだ。
つまりこの物語は一つの画面の中(絵の中)だけで展開されていく
そして僕ら(読者)は、というか僕らの脳はこのやり取りを勝手に自分流に解釈してしまうんだ。ルビンの壺を見て人か壺かを考えるようにね。
でも、メールとかDMって相手が目の前にいないから相手の真意は分からない偽装し放題の媒体でしょ。みんなもラインで「まじで草www」とか打ってても実際の顔は真顔だったりするでしょ。

文章通りが正しいとは限らない


だから僕らが文面だけで想像する解釈は、登場人物の解釈とは異なるわけだ。でも物語が進んでいる毎に僕らの解釈がズレが徐々に修正され、真実に近づいていくんだよ。そうすると、文面上に残されたかすかな違和感が、恐怖や驚きに変換されていく。一回読み終えた後に見返すと、もしかしてこのときの行動って違う意味合いがあるんじゃ・・・とか変に考察しちゃうんだよな。そんな感じで僕らが考えていた壺の認識なんて所詮はその程度と言われているかのようにぶっ壊していく。
まさに「ルビンの壺が割れた」ってね。

3 この本の推しポイント


この小説、帯に日本一の大どんでん返しとか書いてるけど、個人的にこの小説の何がいいってこの話はテンポ作りが本当にうまい。
最初は徒歩くらいのテンポで歩いていると思ったら、急に下り坂になってきて気づいたらジェットコースターに乗ってるくらいどんどん進んで最終的には読者の理解が追いつく前にゴールするから。
だから読み終わった後に謎の爽快感があるんだよね。あまりの速さに俺は一回存在しない次のページを探してたよ。
さらにこれ長さの設定がちょうどよくてめちゃめちゃ小さいサイズで170ページっていう普通に読めば2時間くらいで読める分量になってるから。

すぐ読み終わっちゃう


もし読んでみようって人は寝る前とかに一気見することをお勧めする。
壺とか言ってるけど物語は新鮮な状態で食べる方がおいしいやつだから。
でもってこれを俺がお勧めする理由というかレビューを作った経緯なんだけど、この物語はルビンの壺、つまり読んだ人間によって最初の捉え方が違うんだよ。俺はみんなとこの本を初めて読んだ経験を語り合いたいんだよ。
俺の読んだルビンの壺が割れたという作品と他の人が読んだルビンの壺が割れたは若干違うものとして映ってるんだよ。多分、ルビンの壺が割れたを読んだもの同士が顔を合わせると自分だけのルビン考察を話さずにはいられないと思う。
もちろん「物語って大体そういうもんじゃん」って意見もあるだろうけど、この作品はトリック要素以外をできるだけそぎ落とした作品でその無駄のなさは一種の芸術性すら感じさせる。
極限までそぎ落とした文章に面白さが宿る
だから同じ視点で異なる考えを共有できるからオタクガタリしやすさのレベルが高い。ほらよく「ワンピース好きなんだよね~」とかいうと相手がガチファンすぎて知識量の差と熱量の違いで若干気まずくなるやつあるでしょ。この本の感想は基本的に土俵が一緒だからその辺の心配がないんだ。だって170ページだぜ?知識マウントもくそもねえよ。

4 この本をお勧めしたい人ってどんな人?


でもってどんな人におすすめかというとこの本は読書体験を今まで楽しんでこなかった、読書って学校で無理やり読まされるものって認識がある人におすすめなんだ。
1 難しい概念とか単語が出てこない
2 複雑なことも書かれてない
3 場面もみんなが慣れ親しんだSNS上でのやりとり
だからすんなり読めると思うし、作品を読んだ後に語りたくなる俺みたいなきもいオタクの気持ちが少し理解できるかもしれない。
そのかわり、やっぱり分量が普通の小説より少ないし、ギミックもぶっちゃければ後出しじゃんけんみたいなもんだから読書通の人からすると少し物足りなさを感じるかもしれない。
だけど、読書を通して楽しむという経験を積むにはかなりいい作品だからもし機会があれば手に取ってほしいし、なんなら友達も誘って一緒に読み始めてもいいかもね。
まぁ、さらに欲張るなら俺に君だけのルビンの感想を送ってほしい。

そんな「宿野 かほる」さんが執筆した「ルビンの壺が割れた」は新潮文庫で税別490円で好評発売中だ。ちなみに案件とかそういうものは一切かかわってないしこれでみんなが本を買っても僕の財布は一切潤わないぞ!
それじゃあバイバイ!

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