私とGRAPEVINE

2022年7月2日(土)、東京・昭和女子大学人見記念講堂にて開催されたGRAPEVINEのアルバム『another sky』の再現ライブ「grapevine in a lifetime presents another sky」に行った。

ここ数年は音楽のライブに行くこともご無沙汰で、大きなホールでの単独に行くのは奥田民生のLIVEツアー「おとしのレイら」以来かもしれない。

GRAPEVINEのことは大好きだが、LIVEを観たのはフェスの出演と2011年のMO’SOMEの対バンだけで単独に行くのは初めてのことだ。
今回はアルバム再現ライブなので、『another sky』の曲をやることは確実だが、後半は盛大なおまけ(それ以外の楽曲の演奏)がついているはず。
私は前職で一緒に仕事をしていた先輩(GRAPEVINEファン)と一緒に観に行った。

「「マダカレークッテナイデショー」が『another sky』に入っているから、飲食物しばりで「コーヒー付」やるでしょ」

「予定時間2時間くらいになってるけど、アルバム再現だから40分くらいで終わるはずでしょ?」
「いやいや、いいアルバムだから「もう一回聴こう」ってなるんですよ。2周します」

なんて馬鹿な話をしていたら、『another sky』の1曲目「マリーのサウンドトラック」に始まり、最後の「ふたり」まで駆け抜けたかと思えばアウトロから流動的に「マリーのサウンドトラック」につながる演出が待っていた。
マジで2周目始まったかと思い「そんな伏線回収ある!?」と驚いた(もちろん2周目突入ではなく、「マリーのサウンドトラック」のサビをちょっとやって終わった)。

先輩と「いやー、びっくりしましたねー」なんて話をしながら後半のおまけライブに突入すると、なんと「コーヒー付」も演奏された。
言霊ってあるのかしら、と勝手にスピリチュアルな気持ちになっていた。

その後も(GRAPEVINE単独では名物の)意表を突く小粋な選曲が続きライブは終了。個人的には「R&Rニアラズ」が一番うれしかった。
ライブも良かったし、会場(昭和女子大学人見記念講堂)もいい会場だった。
頑張って勉強して昭和女子大学を受験しようと思ったが、いくら勉強しても性別が男なので入学できないことに気づき、またお客さんとして来ようと心に決めた。


アルバム『another sky』には「BLUE BACK」という曲が収録されている。

この曲にはちょっとした思い入れがあって、私がロックに興味を持ちだした中学2年生のころ、手当たり次第にいろんなロックバンドのことを調べたり曲を聴いたりしていた。
とはいえ、当時はスマホもなかったし今みたいにYouTubeを手軽にみられる環境もなかったので、なんとなく聞いたことあるバンドの名前を新聞のラテ欄で見かけたらチェックしてみるくらいのものだったが。

そんなある日、BSでGRAPEVINEのライブが放送されることを知った。当時の私は「グレイプバイン、なんか聞いたことはある名前な気がする」くらいの認識だったが、「そのくらいの渋めの知名度のバンドのライブを見ている自分」という自己実現のためにビデオ録画をした。

後日、録画したライブを視聴したが、お子様だった私にはGRAPEVINEのライブは静かで大人な雰囲気過ぎて放送のほとんどの時間は眠ってしまった。

途中、ふと目を覚ますと軽快な楽曲を演奏しているところが流れていて、画面右下には「BLUE BACK」と表示されていた。「あー、BLUE BACKって曲を演奏してんのか・・・」と認識をしたのもつかの間、成長期の睡魔には勝てず体感として3秒で意識を失った。あんなに明るい曲なのに。

しかし、中学生の私は幼心に「たぶんこのバンドのライブで寝るのは俺が幼稚だからだ。このバンドの良さが分からないのはダサいことなのではないか」と思い、苦し紛れに唯一タイトルを覚えていた「BLUE BACK」の着メロをダウンロードして携帯の着信音にしていた。その低音質のメロディを何度聞いても楽曲は思い出せなかったが。。。

あれから約20年。
あのときまともにライブを見ることもできず眠ってしまったバンドをこんなに好きになって、生で「BLUE BACK」を見ることになるなんて。
小さな伏線から大きな伏線まで色々回収できた素敵なライブだった。


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