喰う寝るふたり住むふたり続

ずっとぼんやり気になっていた「喰う寝るふたり住むふたり続」を読んだ。

もう3〜4年前になるかな?
グルメ漫画好きな私がTSUTAYAで「喰う寝るふたり住むふたり」を見つけて、タイトルだけで「グルメ漫画だ!」って思ってレンタルしてみた作品。
読んだら全然グルメ漫画じゃなかったけど、長いこと付き合ってもう夫婦同然みたいな関係の男女が周囲の人間や環境の変化に伴い色んなことを感じて、考えて、話し合ったり話し合えなかったり、分かり合えなかったり突如分かり合えたりして結婚というステージに向かうという、まぁあると言えばあるストーリーがなんとなく心地よくてすごく楽しんで読み切った。

またこの作品のすごくいいところが、ひとつの出来事に対して男性(のんちゃん)パートと女性(りつこ)パートを一話ずつ交互に掲載されるという構成なので感情移入の先があっちこっち行くことなく、主人公の男女それぞれに丁寧に寄り添える点だ。
どの男女も同じような悩みを抱えていると思うし、これを読むことで「自分のパートナーがこんなふうに考えてるから怒ったり悲しんだり、笑ったり楽しんだりしてるんだ!」と発見でき、それまで理解できなかったパートナーの思考や言動がスッと腑に落ちたりする。
ほんとにおススメの漫画です。

温度感や絵のタッチもちょうど良くて終わり方も綺麗だったし、読んだ後に「いいものを見た!奥さんに優しくしてみよう!」って温かい気持ちになれる素敵な作品だった。
それ故に続編になかなか手が出せなかった。

だって、男女が結婚して綺麗に収まった話の続編って、ねぇ?なんか想像できるというか、ろくなもんでもないでしょ?
綺麗に終わったものを人気だからって無理に引き伸ばすみたいな、あの頃の少年ジャンプみたいなことやめてくれよ、ってみんな思うでしょ?
綺麗な思い出で終わらせてくれたらいいのに、変に思い出をかき乱されるんじゃないかと思うとなかなか続編を読む気になれない私がいた。

でも、いざ読んでみるとそんなことはまったくの杞憂だった。

きっかけは妻とTSUTAYAに行き(妻も3〜4年前に「喰う寝るふたり住むふたり」を一緒に読んでいた)、

「なんか『喰う寝る〜』の続編出てんだよね。でも前の綺麗に終わったし、なんとなく読む気しないんだ」
「あー、まぁ分かるよ。どうせ結婚した後なんて妊活して子どもが出来ました、幸せ!涙!だもんねぇ」

なんて話をしていたと思ったら

「ワタシ、借りる!」

と突然の方向転換をしてレンタルしてきたからだ。あまりの方向転換に妻の脳内の滝沢社長が突然社長辞任したのかと思った。

妻が読んだ後、「どうだった?」と聞くと「面白かった」という回答だったので、私も読んでみた。
すると割とすぐ「妊活」の話が出てきて「おやおや?」と香ばしさを感じたものの、主人公夫婦の決断は「妊活はやめてふたりでふたりらしく過ごす」だった。

これはこれで周囲にスタンスを理解してもらったり、普通にスポンスポンと子供ができている同世代の話を聞くたびに心が少しざわついたりと色んな困難があることを知ってはいるが、その辺も今作では丁寧に描いていて、やっぱり読んで良かったなと思える仕上がりになっていた。
それにしても、作者の日暮キノコ氏は夫も妻も両方経験したことあるんじゃないのかと思うほど毎回好対照なふたりを描き分けている。一度お会いしてお話ししてみたいものだ。いっぱい奥さんの話して、「それはこういう感情ですよ」って教えてもらいたい!

とりあえず現時点で発行されている3巻まで一気読みして、その勢いのままダラダラ感想書いてたらもう夜の1時半だ。高校生じゃないんだから。

結婚して7年経つけど、まだまだ私は大人になれないみたいだ。でも楽しいからいいか。

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