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オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー

優雅で長い名前。
オフィシーヌとビュリーの間のやつがいつまで経っても覚えられません。以下ビュリーと表記。

うろ覚えですが2020年くらいにX(旧Twitter)で「お店や商品の雰囲気が良すぎる」といった感じでバズっていた気がします。事実全ての雰囲気が良すぎます。
ブランドとしての立ち位置は、1803年にフランスのパリで開業し200年以上続く総合美容薬局なのだとか。
総合美容薬局の名のとおりビューティ&ヘルスに関係するものを幅広く扱っており面白い。マウスウォッシュやシェービングクリームなんかもあります。
あと歴史があるだけに店内内装にも拘りを感じます。ちょっとした博物館のよう。

ここに関しては初めからビュリーに目的があって行った訳ではなく、今年のSHIROのホリデー香水が見たくて行った先でたまたま立ち寄ったんですよね。

SHIRO 2023年ホリデー限定「SPARCLE HOLIDAY」(現在販売終了)。
りんごとラム酒とバニラの香りだそうで。すごく美味しそう。
すごく美味しそうなので実際に買うまで行かずとも一度香ってみたかったのですが、情報を得たのが遅かったらしく、どの店舗でも既に売り切れており願い叶わず。
再販求む。いえ一嗅ぎ!せめて一嗅ぎさえ出来れば…未練があり過ぎる。

そんなわけで都内で行ける範囲のSHIROの店舗をぐるぐる回ったのですが成果を得られず、まあ仕方がないと新宿NEWoMan店を最後に帰ろうとしたところ、ここに出会ってしまったという訳なんです。
前述のとおりお店が博物館ちっくな佇まいなのと、新宿NEWoMan店は細長いオープンスペースの形態であるため、最初は催事の展示か何かかと思いました。確か看板的なものも無かった気がします。きっとおそらくたぶん。
店員さんもレトロ可愛い制服を着用されているのですよ。私が行ったときは薄いグリーンのワンピース?セットアップ?を着ていました。オシャレだ…

つい気になり、立ち入ってちょっとして気づく。あ、これお店なのねと。
その時には既にオシャ可愛い店員さんに背後を取られており、あれよあれよという間に流れるような接客を受けるのでした。プロだ…

プロ店員さんから色々説明を受けている内に、過去のバズりツイートを思い出し、もしやここがかの有名な…!?という謎の感動を味わいました。
さしずめ意図せず伝説の地に辿り着いた冒険者のような心地といったところでしょうか。入っただけで満足感が高い。

オー・トリプル ユズ・ドゥ・キソ

ビュリーを代表する香水「オー・トリプル」。
これの興味深いところが水性香水という特性で、アルコール不使用であること。植物油と水を乳化させた乳液状となっているらしいです。髪や衣服にも傷みを気にせず使えるのが良いですね。
乳液状なので使用前にはしっかり振ってくださいねとのことでした。ズボラ人間こと私は毎回忘れがち。

ユズ・ドゥ・キソは柚子とミントと月桂樹の香り。
この並びで想像されるとおりの爽やかな香りです。柚子、大好き。ミント、大好き。結果、大好き。
これはミントが強過ぎないのがいいですね。ミントはアクセントとしてそこにいては欲しいけれど決してハッカ油を纏いたい訳ではないので…(仮にハッカ油の香りを纏っている人がいたら、潔さの面でも、香りの面でも爽やかが振り切れ過ぎていてそれはそれで良さそうではありますが。)

月桂樹は言われないとあまりよく分からないと思います。存在を感じはするものの奥ゆかしい。
月桂樹の香りと言われてすぐピンと来る人は少なそうですが、月桂樹の葉を乾燥させたものがローリエになるので、お料理が好きな人は何となく想像がつくかもしれません。
若く青い木の香り。木で連想されるようなようこそ森林へ、あるいはいらっしゃいませ材木店へなどという木!の香りより若干の甘み?があって優しさがあります。

香りの構成が互いを打ち消すことも主張し合いの喧嘩をすることもなくスンとまとまっており、全体的に非常にバランスが良いです。年中付けられます。

ところで名前のキソは木曽のキソであるらしく、香りは秋冬の木曽街道、あるいは木曽川のイメージなんだとか。他国由来のものに自国モチーフの何かがあると、ちょっと嬉しくなるのは万国・万人共通の感覚なのでしょうか?少なくとも私は感じます。
しかし秋冬の木曽街道・木曽川というチョイスがなかなか渋い。
観光地としては普通に有名な場所だとは思いますが、ロケーションチョイスが都(みやこ)の方面に行かないところに何となく拘りを感じます。

その辺りを踏まえると、なるほどミントの清涼感が冷えた空気のような、川のせせらぎのような、雪のようなイメージを想起させます。
柚子がゆず湯によく用いられることから、静謐な空気が近くの河川の音を微かに伝える、閑散とした冬の朝の温泉街といった風景が浮かびました。
年中付けられるものの爽やか度で言えば夏が最適解かなと思いつつ、バックボーンのとおりに寒い季節に付けるのも乙なものですな。

以上のようにこの香水はそれはまあ素晴らしいんですが、難点を挙げるとするなら香り持ちはあまり良くないこと。
これは水性香水という特性上致し方ない気はしますが、オードトワレ、あるいはオーデコロンくらいの持ちの弱さ。
いや、もっと言うとボディスプレー並かも…いやさすがにそこまでは…いやいや…

ちなみに私はユズ・ドゥ・キソの香りを大層気に入り、その香り持ちの弱さを嘆き、この香りをもっと全身で感じたい一心で同じ香りのユイル・アンティーク(ボディオイル)にも手を出すのですが、そちらも香り持ちはどっこいどっこいであったという末路を迎えております。
しかしこのオイルはサラサラでベタつかず、かなり重宝しています。
昔はオイルが苦手だったのですが、これは肌を柔軟にしてくれる。今の肌質に合っている気がする。加齢と含水率は反比例するので歳を重ねるとオイルが馴染むようになるんだと、呪術廻戦の歌姫先生も言っておりました。身をもって実感。

香りの消え方はたまに残滓を感じる残り方をするというより、いつの間にか消失している。本当に消失します。
しかしその控え目な香り立ち故に事故は起こらないので、香水初心者には良いのかもしれません。

しかしここでも難点があり、お値段が非常に高い。明らかに初心者が挑む価格帯ではない。
これはまあ、見ていただければ分かるのですが容器代込みだろうなと。
デカい・ゴツい・重いの三拍子が揃った容器はお部屋に置くだけで並々ならぬ威容を放ちます。火サス劇場なら余裕で殺人事件の凶器を務められるくらいの厳つさ。
万人が気軽に手を出せるかというと、正直難しい。

ただこれが手元にあるのを見るだけで非常にリッチな気分になれますし、毎回テンション爆上げ間違いなしでございます。私は毎回爆上げです。
お買い上げ時には無料で箱のラベルに名前のカリグラフィー(!?)をその場でしてくれるサービスもあります。プレゼント用でなくとも書いてくれます。何故…?そして箱とショッパーもまたオシャレなんですねこれが。

買うまでが難しいけれど、買った後は後悔しない。そういった所有欲みたいなところを満たしてくれるブランドなのかなと。
一度店頭で色々見てみるだけでも楽しいと思います。ぜひ。


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